バンパイアガール

秋月

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*最後の…

最後の…#4

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バンパイアの血の匂いが2人…
綺麗な赤茶色に染まっていた髪は漆黒に染まり、瞳は紅く変化してしまった陽香
私が誰なのかももう覚えていない
血を欲する本能と共に私を獲物として見ている目
もう本当に…目の前に居るのは陽香では…
私のお姉ちゃんじゃない…
絶望に打ちひしがれる私に陽香が再び近づいてくる

リーダー「陽香やめろ!依月早く逃げるんだ!」

ダメだ…今の依月は戦える状態じゃない
早くこいつを片付けないと依月がやばい!

…こんな状況すぐに飲み込められるわけない
今まで容赦なくバンパイアをこの手で葬り去ってきた
それなのに今は銃を握ることも立ち上がることもままならない
目の前に居るのがバンパイアじゃなくて陽香だと認識してるから…

"私は醜い化け物になって2人を殺したくない"

陽香…もう自我も意識も無いだろうけど、きっと悔しくて苦しいよね…
不思議…陽香にしっかりしなさいって怒られてる気がするの
私がきっと逆の立場でも…そう願ったよ
だけどその願いはあまりにも、目の前に居る私には残酷すぎるよ…陽香

「殺れっ陽香!!」

リーダー「依月!!」

"へぇ、唯奈のコードネームは依月かぁ
これで唯奈も晴れて組織の仲間入りしたってことね
ねぇ依月、依月の事はどんな事があっても私が守ってあげるからね
なんたって私はあんたのお姉ちゃんなんだから♪"

そう言ってくれた事が昨日の事みたい…
私は静かに銃口を向けて涙で霞む中、しっかりと陽香を見つめた

依月「…さよなら…香澄かすみお姉ちゃん…」

そして…私は引き金を引いた
1発の銃声が山全体に響き渡った
銃口からは硝煙が静かに空へ向かって出ていた
これ程…引き金が重く感じたことは無かった
私の1発の銃弾は陽香の胸の真ん中を貫通した
そして銀の銃弾の効果で、バンパイアである陽香の姿はたちまち黒い霧状になって消えていき、青白い魂だけが残った
バンパイア化してしまった体では亡骸さえ残らない…

「ちっ、失敗かぁ、ここは逃げますかね」

リーダー「待て!!」

バンパイアは残った私達に見向きもせずそのまま夜の暗闇へと消えていった

リーダー「依月…」

銃を持った手が微かに震えてるのが分かる

依月「リーダー…私…私っ…」

言葉にならない悲しみが涙と共に溢れ出る
ポッカリと穴が開いたまま塞がらない空虚感
リーダーはそんな私をただ抱き締めた

リーダー「…よくやった依月…」

リーダーの声も微かに震えていた
次の瞬間にはただ泣き叫んでいた

依月「うわぁぁぁ…あぁぁっ…」

声も涙も枯れるほど私は泣き張らした
そしてどれくらい時間が経ったか分からない
リーダーから離れて宙に浮かぶ陽香の魂を手に取った

リーダー「依月…その魂どうするつもりだ…」

依月「陽香の魂は私が貰う
良いでしょ…リーダー…」

リーダー「俺に決定権はない
依月の好きにしたらいい…」

依月「ありがと…」

陽香の魂は私が受け継いでいく
そして陽香の魂が私の最後の魂となった
例え魂だけになっても共に戦っていくことに変わりはないよね、陽香…

依月「…リーダー、私決めたよ
このまま狩りを続ける
バンパイアが存在する限り私は狩り続ける!
陽香の恨み…皆を助ける為に私は…!」

リーダー「…向こうの世界はいいのか
あいつは…きっとお前を待ってるぞ」

蓮斗の姿が脳裏に浮かんだ
少し前は望んでいたかもしれない
それでも今の私に重要なのは陽香の無念と恨みを晴らす事

依月「蓮斗が待ってるのは佐々木唯奈だよ
佐々木唯奈はもう死んだの…
今、ここに居る私は依月
行こうリーダー、組織に報告しなきゃいけない」

リーダー「そうだな…
依月、俺はお前の側に居るからな」

依月「…うん…行こうリーダー」

私達はそのまま姿を消した

ー…あれから時は少し流れた
唯奈が亡くなったとされる日から早くも1年が経った

「今日で唯奈が死んでから1年だね…」

「早いね… やっぱり唯奈が居ないのは慣れないや…」

唯奈の命日ということで、唯奈の友達も唯奈を思い出ししんみりとした空気が流れた

蓮斗「俺…帰るわ」

そんな中俺は1人先に教室を出た

「蓮君も変わらないね…」

「なんだか唯奈が帰って来るのをずっと待ってるみたい…」

唯奈が生きている事は誰にも話さず、俺の胸の内にずっと秘めている
生きている事は分かってるけど、会うことも話すことも出来ず、ずっと寂しさが付きまとう
あれ以来、街で会うことも姿を見ることもない
唯奈…お前は今どこに居る?
バンパイアに殺られてないよな…
生きてるよな…
もう1度…お前に会いたいよ…唯奈
その時、俺の横を1人の女性がが通り過ぎた
ふと香った懐かしいバニラの香り
俺は振り返ったがもうそこには誰も居なかった
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