約束の果てに

秋月

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*琉の過去

琉の過去#15

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真衣さんの話を聞いて許される事では無かったにしろ…
今の私は2人の関係が少しでも良いものに変わってくれたらなって少し思ってしまった
でもこれは2人の問題だから、良い結果にしろ悪い結果にしろ、私が必要以上に口を出すことじゃない

琉「…あんたが俺に対して今更謝罪したところで、俺の傷は消えないし、俺が許すと思ってるのか?」

真衣「そんな都合良く思ってるわけないでしょ…
許されるなんて思ってない
それでも琉にちゃんと謝りたかった…」

琉「…あんたの謝罪は受け取る
でも過去にあんたがしてきたことは、あんたにどんな理由があろうが、俺は許すつもりはない」

琉…

琉「過去の事は許さないが、あんたが俺に対して心から反省して謝罪してくれたのは良く分かった
だから今のあんたの事は許すよ」

真衣「私の事を…許してくれるの?
でもさっき…」

琉「過去の事と今の事は別問題だ
それに俺の記憶に残ってる過去は苦しい事ばかりじゃない
微かでもあんたの愛情を感じられた瞬間は覚えている」

真衣「琉…」

琉「それに今は捨てられて良かったと思ってるよ」

琉?どうしてそんなこと…

琉「あんたが捨ててくれなかったら、華さんや 陸人さん、そして蓮や直人達にも出会えなかった
こいつ等のお陰で今は充実してる
それに俺と離れた事で鬱陶しいしがらみからも抜け出せて、あんたの精神面も安定したなら、離れてて正解だったと思う」

琉、真衣さんに対して冷たかったけど、今は思いやるような発言をしてる…
琉も真衣さんに対して見る目がほんの少しだけ変わったのかもしれない
僅かでも良い方向に

真衣「そう…なんか変わったわね琉
私が貴方を知ったような口聞けないけど、それでもこの間私と会った時とは違ってる気がする」

琉「…俺は何も変わってない
それとさっきの質問の答えだけど」

さっきの…?
あ、幸せかどうかってやつ?
もしかして…

琉「俺は幸せだよ
義理とはいえ良い両親に出逢えて、こいつ等にも会えて
あんたが心配することは何もない」

琉…淡々と話しているけど、やっぱり琉は優しいよ
真衣さんの質問にちゃんと答えて、真衣さんを心配させないような言葉…
ちゃんと向き合うことが出来て、冷たそうに見えてその小さな優しさが琉の良いところであり、私はそんな琉の事が好き
好き…?私…今…
チラッと琉の横顔を見ると胸が跳ねたような感覚がした

蓮「……っ」

桜「蓮?どうかしたの?」

桜の問いかけに私は首を振って答えた
待って待って…こんな所で自覚するの…?
今それ所じゃないし、今は忘れなきゃ…っ

琉の答えを聞いた真衣さんは涙を浮かべながら、安心したように笑った

真衣「…最後にあんたと話が出来て良かった
こんな事ならもっと早く向き合うんだった…
琉がこんなに立派に育ってくれたのは華達のお陰ね…
私は伝えることが出来ないし、華達にも会う資格は無いから、伝えてほしい
ありがとうって」

蓮「最後…?
そういえばさっき遠くに行くって言ってましたけど…」

真衣「私…明日引っ越すのよ
北海道に」

引っ越し?!
しかも明日って…
それに北海道に行くなんてそれじゃ、もう会うことも難しい
せっかくお互いに理解し合えたのに…

真衣「北海道に経つ前にさっきも言ったように琉を一目見ようと1ヶ月だけここに来た
結局うじうじして引っ越し直前になっちゃったけど…
あの日、私と一緒に居た男性覚えてる?」

蓮「あ…あの人…」

真衣「琉はあんまりいい気はしないだろうけど…、彼は今の私が交際している人
誤解してほしくないから言うけど、高校を中退してから初めて付き合った人なの
竜哉の事も琉の事も忘れられなかったから…
彼は私がこの街から出ていった後に職場で知り合った先輩なの
お節介な人でね、放っておいてもくれなくて、ずっと私の事を献身的に支えてきてくれた
私の過去の事も琉の事も知っていて受け止めてくれて…プロポーズもされてるの
琉に会いに行く決意を促してくれたのも彼で…
だけど琉に会うまではってプロポーズは保留にして貰ってて…
琉と和解できなかったら断るつもりでいた
琉を残した私が幸せになる資格なんて無いから」

琉「…あんたはあの男が好きなのか?」

その問いかけに真衣さんは黙り混んでしまった
琉の手前、言いにくいことなんだと思う…

琉「ハッキリ答えろ
別に俺は気にしないし、あんたが結婚しようがしなかろうが興味もない」

琉…

真衣「…好きよ
竜哉以来もう一度誰かを好きになった
出来ることならプロポーズも受けたいって思ってる…でも…」

真衣さん…

琉「…俺も最後にあんたに言っておきたい事がある」

琉が何かを決意したように口を開いた

真衣「なに…?」

琉「俺は今でも幽霊が見えている
陸人さんの元で修行もして、これでも陸人さんも認めてくれてる一流の除霊師だ」

真衣「まだ…やっぱり見えてるのね
この前の反応からしてそうなんだと思ってた…
この前は気味が悪いなんて言ったけど、信じて貰えないかもしれないけど、本当はそんな事思ってない
琉にとって特別な力なら…でも、そのせいで苦労してないか…」

琉「正直、あんたが俺を捨てた要因でもあるし、苦労ばかりだ
世話のかかる奴も居るし」

そう言って琉は私をチラッと見た
う…何も言い返せません…

琉「けど、俺はこの力を誇りに思ってる
大変な事も多いけど、それなりに良いことだってある
子どもの頃はちゃんと伝えられなかったみたいだけど、今ならハッキリと伝えられる
あんたの元彼…いや、父さんは今でもずっとあんたの側であんたを見守ってるよ」

真衣「竜哉が…っ?」

真衣さんはとても驚いてるように見えたけど、でも…まだ竜哉さんの事を想っているようにも見えた

琉「子どもの頃の記憶は覚えてないが、この前あんたと再会した日も、今日あんたに会った瞬間からもずっとあんたの側に父さんは居た
今の今まで父さんは何も喋らなかったからあんたの話を聞くまでその人が俺の父さんなんて分からなかったけど…
漸く口を開いてくれたよ」

ずっと気になってた
真衣さんの側で真衣さんと琉に優しい笑顔を向けてこの人が宮嶋竜哉さん…
琉の本当のお父さんだったんだ…

真衣「口を開いたって事は琉…貴方竜哉と話せるの…?
竜哉は何か言ってるのね…」

琉「あぁ、あんたに伝えたい事があるみたいだけど聞く気はあるのか?」

真衣さんが少し怯えてるように見えた
その怯えは琉の事が気味悪いとかじゃなくて、竜哉さんに何を言われるのか、愛した人に嫌われるのが怖いという恐怖心…

真衣「…竜哉との事も向き合わなきゃいけないもの
どんな事でも聞く、話してくれる?」

琉「…これから俺が伝える言葉は父さんの言葉だ」

そうして琉が竜哉さんの言葉を代弁し始めた

琉「『真衣、癌の事、何も話さなくてごめん
ずっと1人で苦しい思いさせてごめん
ずっと俺の為に琉の為に頑張ってくれてありがとう
真衣、俺の事は気にせずにどうか幸せになって
俺は真衣の幸せを祈ってるから』」

真衣さんを思う竜哉さんの優しい暖かい言葉に私まで泣きそうになった
もちろんそれは真衣さんも同じだけど、動揺してるように見えた

真衣「待って…どうして竜哉が謝るの…?
それに今まで私の事を見てきたなら分かるでしょ!?
私に幻滅したでしょ?もう嫌いになったでしょ?
どうしてありがとうなんて…幸せになってなんて…
私は竜哉にも責められる覚悟でいたのに…っ」

琉「…父さんはあんたを責めるつもりは無いし、父さんも自分のせいだと後悔している
万が一、父さんがあんたに幻滅したり嫌いになっていたなら、今も側であんたを見守ってるはずないだろ
…好きだったから言えなかった
愛していたから心配で側に居続けた父さんの気持ちが、本当に分からないのか?」

そう琉が真衣さんに問いかけた
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