約束の果てに

秋月

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*桜の想い

桜の想い#13

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最後の海を一望出来る展望台に到着するまで、景色と会話を楽しみながら、辿り着くのを心待にした
そしてあっという間に時間が過ぎて最後のスポットに到着した

桜「……」

列車がここに近づくに連れて症状が出始めてる
今は指先が微かに透けてる
まだ…まだ駄目
蓮に気づかれちゃいけない
どうかこの夕陽を見終わるまでは…
どうか持ちこたえて

蓮「わぁ~、潮風気持ちいいね、琉」

琉「ん、寒くはない?」

蓮「全然平気だよ
まだ太陽結構高いけど若干夕陽っぽい色合いになってるね
どれくらいで沈むんだろう」

琉「あと3、40分くらいじゃないか」

蓮「そっか…じゃあのんびり待ってよ♪
あ、飛行機雲」

飛行機雲を見つけてそのまま静かに空を見つめる蓮

桜「ずっと空眺めてどうかした?」

蓮「ううん、ただ空が何処までも高いなって思って」

私も蓮と一緒に空を見上げる

桜「本当…何処までも遠いね」

手を伸ばしても届くことが無いのに、どうして空を見上げると手を伸ばしてみたくなるんだろう
あの上には何があるの?
私はあの上に行くのかな…なんて考えても分からないね
でも怖い場所なんかじゃない

蓮「海かぁ…今更だけど海で遊んだり花火とかしたかったね
もうすぐ夏も終わっちゃうから遅いけど」

桜「確かにバタバタしてるうちにあっという間に終わっちゃったね
海には入れないけど、プールとか花火ならまだ間に合うよ」

蓮「プールかぁ、子どもの頃以来だね
琉は海とかプール好き?」

琉「別に普通かな
今年、直人達に1回連れて行かれたけど俺は見てる方
結人達は服着てようがお構いなしにびしょびしょになってたけど
てゆうより、無理矢理ぶっかけられたけど
まぁ、それなりに楽しかったけど」

琉ははしゃぐ様なタイプじゃないもんね
でも嫌じゃないんだ
来年は蓮と行ってくれるかな?
まぁ、蓮が行きたいって行ったら琉の事だから行ってくれるんだろうけど

蓮「結人くん達ワイルドだね
あの辺の人達いつも楽しそうだもんね」

琉「お前と同じで一緒に居ると飽きないよ」

蓮「充分楽しかったけど、幽霊に翻弄されるひと夏だったなぁ…
来年はもっと色んな事やりたいね」

琉「そうだな」

桜「…そうだね」

私は居ないだろうけど…でも蓮にはこれからも楽しいこと沢山あって欲しい
そしてしばらくすると空が本格的に夕焼けに染まり始めた

桜「ほら、蓮!空のグラデーション凄く綺麗だよ!」

蓮「本当っ、何色にも色が重なってるみたい…
こんな綺麗な景色人の手じゃ作れないよね…」

オレンジ色に輝く太陽
青、赤、紫、桃色…幾つもの色が混ざり合った神秘的で幻想的な空
あぁ、本当に今日は今までで1番最高の日だった
最後に蓮とこんな景色を見れて…本当にもう充分
私は凄い幸せ者だった

蓮「…ねぇ、桜……桜…なんか透けてない…?」

不意に何か呟くように振り向いた蓮に私の姿が映る
随分透けてるのが進行してるけど…良かった、まだ蓮には見えてるみたい

桜「…蓮、ごめんね?」

さっきまで笑っていたのに、私の姿を見て、笑みが消えた
なんで謝ってるんだろ…他に言いたいことは沢山あったはずなのに、いざとなると言葉が出てこないもんなんだな…

蓮「なんで謝るの…?その体は…」

微かに動揺してる蓮に私は打ち明けた

桜「夕陽、どうやら私は最後まで見届けられないみたい
蓮、ここでお別れだよ
実はね…一昨日くらいから成仏が始まってたの」

蓮「成仏…?」

桜「うん、私の未練がもう無くなったから
もう私が側についてなくても大丈夫
蓮には琉もなおも友達もあんたを支えてくれる人が沢山いるもん
…黙っててごめんね」

蓮は俯いたまま黙り込んでいた
蓮にとっては結局急なことだもんね
そう簡単に受け入れられないだろうとは思ってたけど…

桜「蓮…」

蓮「…知ってた」

桜「え?」

知ってたって言った…?
蓮の言葉に私も琉もきっと戸惑ったと思う
だって蓮が知るはず無いのに…どうして…

蓮「知ってたよ、桜が今日ずっと何か隠してたこと
桜こそ私が気付かないと思ったの…?
桜が何か隠してることくらい分かるよ」

淡々とした口調でそう言ったかと思うと、次の瞬間には

蓮「でも…まさかそれが桜が消えちゃうなんて事だとは…っ…思わなかったけど…」

平静を保とうとしながらも、蓮の目からはポロポロと涙が溢れていた

桜「蓮…っ」

その蓮の泣き顔を見て、私は蓮の両頬に触れた
これだけ透けているのに今日は蓮に触れている感触がある
涙の温かさを感じる

蓮「…っどうして…どうして教えてくれなかったの…」

桜「うん、ごめんね
私の勝手で傷付けてごめんね、蓮」

蓮「ー…本当に行っちゃうの…?」

ポロポロと静かに泣く蓮が呟く

桜「うん、未練が消えたから
蓮、今日沢山思い出作れて楽しかった
私ね本当に今日は幸せな1日だった
ううん、ずっとずっと幸せだった
蓮が居てくれたから
泣かないで蓮、ね?」

蓮「…桜、私の思ってる事、言ってもいい?」

桜「うん、聞くよ」

私がそう答えると蓮は更に悲しそうな表情で更に泣き始めた

蓮「…っ嫌だよ…!
分かってても正直嫌だし受け入れたくない…っ
ずっとずっと…一緒に居たかった…」

居たいじゃなくて、居たかったか…
蓮もいつかが来ることは理解してたんだよね
少しでも受け入れる覚悟は…出来てたんだね

桜「…うん、私も」

蓮「うっうっ…桜…」

桜「本当に泣き虫なんだから」

蓮は涙を拭い、潤んだ目で笑みを溢す

蓮「私ね…次はちゃんと笑顔で桜とお別れしようって決めてたの…
ちょっと泣いちゃったけどそれは許して」

桜「馬鹿、しょうがないから許してあげる」

私の目頭も熱くなって涙が流れてるのが分かった

蓮「…ふふっ、桜だって泣いてる」

桜「蓮の涙が移ったの」

私達は涙を流しながらも笑顔で互いに顔を見合わせた

蓮「桜、私も今日とっても楽しかった
素敵な思い出とプレゼントありがとう…」

桜「私の方こそ、今日の事は一生忘れないから
蓮、蓮みたいな可愛い妹が居てくれて私は幸せだった
蓮、私の可愛くて泣き虫な妹…ずっとずっと大好きだよ」

ギュッと蓮を抱き締めると蓮も私を抱き締めてくれた

蓮「泣き虫は余計だよ…
私こそ桜が居てくれて…桜が私のお姉ちゃんで凄く…凄く幸せだった
大好き…本当に大好きだよ桜」

桜「…別れも言えずずっと後悔してた
私はもう後悔なんて無いよ
蓮、幸せになりなさいよ
私は向こうでも蓮の幸せを祈ってるから
そしていつか来た時に聞かせて
約束、ね?」

蓮「うん…約束する…絶対伝えにいくから…っ」

涙で微かに蓮の声が震えてるのが分かった
そして私は蓮を抱き締めながら琉に目を向けた
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