約束の果てに

秋月

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*愛おしくて

愛おしくて#8

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目的地に到着し、駅から降り、俺達はコインロッカーに荷物を預け、身軽になったその足で祇園の街並みをゆっくりと進んでいた
本格的な京都の街並みに当然のように目を奪われる蓮

蓮「やっぱり見たことない風景を見るとお伽噺の中に入ったみたいな非現実さを感じるね
私、この風景好きだな」

俺もこうゆう落ち着いた雰囲気は好きだ
観光地の方は初めて来たけど、やっぱりこっち方面は人が多いな
溢れる人混みと騒がしさは少し鬱陶しく思えた
それにしても、他のことに興味ありすぎてご飯の事を忘れてそうだな…

琉「蓮、何食べたい?」

蓮「あ、そうだった
お腹ぺこぺこだったっ、うーん…」

周囲を見渡して悩む蓮
蓮に聞いたのは少し失敗だったかもしれないとふと思った
この辺りは食事処も多いし、旅行雑誌を見ていた時から魅力的な食べ物の多さにうんと迷っていた奴だから、そう簡単には決まらなそうな気がした

蓮「あ!あそこのお店が良いなっ」

そんな俺の心境とは裏腹に思いついたように1つの店を指指す蓮

琉「意外」

蓮「何が?」

琉「もっと悩むかと思った」

蓮「お腹空いてる時はもう直感♪
琉を待たせるわけにもいかないからさ」

優柔不断な時もあれば、人の事を考えて行動する所があるんだよな…

琉「ふーん…、ま、行くか」

店内に入り、席についてメニューを開くと、蓮はメニュー表とにらめっこ状態

琉「店はすぐに決まったのに、結局メニューで悩むのか」

蓮「ちょっとだけ待って、すぐに決めるから」

メニュー決めるだけで真剣だな
そんな蓮の様子を見ているのは飽きない
待っている時間もそこまで苦には感じない

蓮「今、2択まで来てるの」

琉「最初の選択肢はいくつだったんだよ」

と、試しに聞いてみた

蓮「えっと6種類くらいかな」

と笑う蓮
多いな…よく2択まで絞れたもんだな

琉「何と何で迷ってんの?」

蓮「えっと湯葉御膳とひつまぶし御膳…
湯葉って京都ならではって感じだから1度は食べてみたくて、でもひつまぶしも美味しそうに見えちゃって」

俺もメニュー表に目を移して見てみる

琉「…どうせこの後甘いもの食べるんだろ?
だったら今あんまりがっつり食べない方がいいと思うけど」

蓮「あ、確かに…じゃぁ、軽そうな湯葉御膳にしようかな♪
琉は何食べる?」

琉「俺はそのひつまぶし御膳でいいよ
一口くらいなら食べられるだろ?」

そう言うと少しキョトンとした様子を見せる蓮

蓮「え?私?え、ちょっと待って、私が迷っていたから頼んでくれる感じ?
気を使わなくて大丈夫だよ?
琉が食べたいもの食べなよ」

琉「俺は別に何でもいいし」

蓮「ほんとに、本当にいいの?」

そう聞いてくる辺り、まだ何処か諦めがついてなさそう

琉「いいよ、別に」

蓮「ありがと、琉
私のも分けてあげるね♪」

琉「はいはい」

こんな些細な事で喜んで御礼を言ってくるなんて単純な奴…
そして運ばれてきた普段はあんまり目にしない料理に釘付けの様子

蓮「美味しそーう♪
ひつまぶし御膳って写真で見るより大きいね
私、こっちにして正解だったかも
甘いもの食べられなくなりそう」

とか言うけど、何だかんだで食べそうだよな
蓮の注文した湯葉御膳も一見品数は多く見えるけど、1つ1つが少量で食べやすそうだ

蓮「湯葉なんて滅多に食べないからこんなに満喫できるなんて嬉しいなっ
けど、お昼ご飯だけですごい贅沢だね」

俺のも蓮の御膳もそれぞれ2000円以上の値段だ

琉「折角の旅行だし、たまにはいいんじゃない」

蓮「あはっ、確かに
それじゃ、存分に堪能しよっかな♪
いただきますっ」

嬉しそうに食べ始める蓮
そんな様子を少し見ながら俺も箸を進めた

蓮「…美味しい、湯葉って結構色んな料理になるものなんだね
知らなかったなぁ~…ね、琉は何食べる?」

琉「何でも」

蓮「じゃぁ、ここはやっぱり湯葉丼かな♪」

そう少しウキウキとした様子で俺の分を器に盛り付ける蓮
俺も蓮の分を盛り付けて互いに交換しあった

蓮「どっちも食べれるなんて贅沢だね」

琉「確かにな」

蓮「ん!お肉美味しい!」

琉「そ?なら良かったな」

蓮「食べたかったものどっちも食べられるなんて、琉に感謝ですね♪」

琉「大袈裟」

もぐもぐと頬張りながらふと、蓮が聞いてきた

蓮「今更だけど、琉ってこうゆうの抵抗ないんだね」

琉「こうゆうのって?」

蓮「分けあいっこ?
この間も抵抗無かったみたいだし…」

琉「お前だって無かったじゃん」

蓮「そうだけど…、琉ってなんとなくそうゆうのも嫌いそうなイメージがあったというか」

琉「まぁ…あながち間違っては無いし、普段はあんまりしないな
けど、相手がお前だし」

そう、さらっと伝えると蓮は黙り込み、気恥ずかしそうな様子が若干見えた

琉「何?」

蓮「…平然と言うから」

琉「別に変な事言ってないし」

蓮「琉が取り乱した所見たことないなぁ」

琉「そうか?お前と居ると結構振り回されてる気がするけど」

蓮「私も最初の関わるようになった頃は琉に振り回されてた気がするな?」

軽く言い返すように笑った蓮

琉「お互い様って事か」

蓮「あはは、そうかもね」

まだたった数ヶ月なのに、その間だけで色んな事があった
きっとこれからもその思い出は良いものも悪いものも増えていくんだろうな
そんな他愛もない会話を交わしながら俺達は食事を進めた

琉「そろそろ会計して出るか」

蓮「うんっ」

伝票を持って先に立ち上がった俺に蓮が声をかけてきた

蓮「琉、自分の分は自分で払うからね」

琉「…はいはい」

そうゆう所はきっちりしてるんだよな
最近は特に
こうなるとこいつも意見曲げないし
そしてそれぞれ会計を済ませて俺達は店を出た
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