約束の果てに

秋月

文字の大きさ
143 / 180
*愛おしくて

愛おしくて#18

しおりを挟む
ー…目を覚ますと、朝が来ていた
時間を確認すると4時50分くらいだった
はぁ…もう少し寝てるつもりだったのに、結局いつもの習慣で目が覚めたな…
目の前にはまだ、すやすやと俺にくっつきながら眠ってる蓮の姿があった
寝顔まで無邪気だな…
…本当にそんなつもりは無かったのにな
まだずっと先だと思っていたのに…
けど、蓮が俺の事を受け入れてくれたのはどこか嬉しく感じた
穏やかに眠り続ける蓮の顔や髪にそっと触れる
触れているだけで満たされるような感覚
けど、そうやって触れていると、少し蓮の顔が微かにしかむ

蓮「…ぅん……」

あ、やばい…起こしそう…
そう思って手を離したけど、少し遅かった

蓮「…ん…琉……?」

物凄く眠たそうな面持ちで目を開けた蓮

琉「悪い、起こした?」

ぼんやりとした表情を見せる蓮

蓮「…んんー……眠い…」

そう呟きながら軽く目を擦るような仕草を見せる
なんてゆうか、寝惚けてんのが見て分かる
そういえば朝苦手だったな…
いつもこんな感じなのか…
本当に眠たそうで、まだ寝ていたいのか少し顔をしかめながら俺にくっついてくる
寝惚けてんな…

琉「まだ早い時間だし、もう少し寝てろ」

蓮の頬に触れながらそう声をかけた

蓮「…ぅん…今…何時…?」

琉「まだ5時になったばっか」

蓮「んー…」

眠そうなくせして、曖昧な返事をしながら起きようとしてんのか、目元を擦る仕草を繰り返す

蓮「…起きる……」

そう呟くわりに目が閉じたままだけど
思ったより朝が弱いみたいだな…

琉「無理しないで寝てろよ」

蓮「…んーん…せっかくだから…温泉の方も入りたい…」

確かにそっちは昨日入らなかったもんな…
てゆうか、寝惚けてんのか起きてんのか曖昧

琉「起きんの?」

蓮「うん……」

返事をするわりに、動こうとはしないな…
目がまだ眠たそう
桜が言ってた理由が良く分かるな

琉「蓮、温泉行くんだろ?」

蓮「…うん…行く…」

琉「俺、先に顔洗ってくるから
お前も起きて準備しろって」

蓮「分かった…」

とりあえず俺は先に起き上がって洗面台の方に向かった
温泉に入れば蓮の目も覚めるだろ
一通り終わらせて、部屋に戻ると、起き上がって座ったままの蓮の姿
未だに寝惚けてんのかその状態で動かない
いや、…つか、寝惚けすぎて自分の状態が見えてない

琉「蓮、お前寝惚けてないで起きろって」

蓮「うん…起きてるから待って…」

いや、起きてないだろ

琉「寝惚けんのも大概にしろって…
蓮、服ちゃんと着ろ」

あの後、そのまま眠りについたから服が乱れたままで、少しでも動くと色々と見えてしまいそうな格好の蓮

蓮「服……?………ー…っ…わぁっ…!?」

ぼけっとした様子で自分の服を眺めてしばらくして、状況を理解したみたいで、驚いたように声をあげて隠すような動作をして顔を真っ赤にする蓮
やっと目が覚めたみたいだ

蓮「り、琉…!あっち向いてて…っ
こっち見ないで…っ」

慌てふためく蓮は色々と思い出したように赤面していた
つか、とっくに逸らしてるっての…
朝が弱いってのも考えものだな…
あ、そういえば…
俺は振り向かないまま蓮に話しかけた

琉「蓮、帯、出来た?」

蓮「え、あ、うん…多分…
あ、もう大丈夫だよ琉…」

振り返ると浴衣を着直して、顔を赤くしたままちょこんと座ってる蓮
そんな蓮に歩み寄って、前にしゃがみこむ
ちゃんと目が覚めたせいか、ずっと俺の動きを追って、緊張するように微かに困惑してる様に見える
俺が手を伸ばして頬に触れるとぴくっと反応する

琉「顔、赤い」

蓮「は…恥ずかしくて…」

そう目を伏せながら恥ずかしがる蓮

琉「さっきまで寝惚けてたくせに」

蓮「う…ご、ごめん…お見苦しい所をお見せしました…」

琉「そんな風には思ってないけど
でも、今後は本当に気を付けろよ」

蓮「う…はい…」

琉「…蓮、体調は?辛くないか?」

そう聞くと余計に赤くなる

蓮「あ…う、うん…大丈夫…」

琉「そっか…帯、問題なさそうだな…」

ふと帯を確認するとちゃんと結ばれている

蓮「あ、うん…琉の見てたから…あってた?」

琉「あってるけど…見てただけで覚えたのか?」

難しい結び方はしてないけど、1回見ただけで覚えられるようなもんでもない気がするけど…

蓮「うん、あ、でも何となくだよ?」

不器用…だけど、覚えるのは早いのかもしれないな
色んな意味で

琉「そっか、ま、準備も出来たし温泉行くか
ほら、立てるか?」

蓮「うん」

先に立ち上がって蓮に手を差し出すと、自分の手を重ねてきた
そのまま軽く蓮の手を引いて、蓮も立ち上がろうとした
けど、立ち上がった瞬間に、まるで力が抜けるようによろけて俺に寄り掛かってきた

琉「蓮?」

途端にカァっと赤くなる蓮

蓮「え、あ…っ、ちょっ、ちょっと待って…!?
そっ、そのまま…!そのままちょっとだけ支えてて…っ」

恥ずかしそうに慌てる蓮

琉「蓮、もしかしてどっか辛い?」

蓮「ちっ…、違うの…!
そ、そうじゃなくて…あ、足に上手く力が入らないだけだから…っ
ちょっとだけ待っててくれれば大丈夫だからっ…」

琉「分かったからちょっと落ち着けって」

蓮「うぅ…恥ずかしい…ごめん…琉…」

琉「大丈夫だって」

そのまま蓮が落ち着くまで支えた
結構体重を預けている感じ、本当に力が上手く入ってないのかもしれない
けど、これ以上余計な事言うと困惑するだろし…
そのまま少し待ってると、預けていた体重が徐々に軽くなった

蓮「あ、ありがとう…もう1人で立てるから大丈夫…」

そう言ってやっと1人で立った
そんな蓮の表情を窺う

琉「…歩けんの?」

蓮「あっ…、歩けるってば…
もう、本当に大丈夫だからそれ以上何も聞かないで…っ」

こんなに動揺するのも珍しい…というよりよっぽど恥ずかしいみたいだ

琉「分かった」

蓮「ほ、ほら、温泉行こ…っ」

琉「はいはい」

未だに火照る蓮の手を引きながら俺達は部屋を出た
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

結婚したくない腐女子が結婚しました

折原さゆみ
恋愛
倉敷紗々(30歳)、独身。両親に結婚をせがまれて、嫌気がさしていた。 仕方なく、結婚相談所で登録を行うことにした。 本当は、結婚なんてしたくない、子供なんてもってのほか、どうしたものかと考えた彼女が出した結論とは? ※BL(ボーイズラブ)という表現が出てきますが、BL好きには物足りないかもしれません。  主人公の独断と偏見がかなり多いです。そこのところを考慮に入れてお読みください。 ※番外編に入り、百合についても語り始めました。  こちらも独断と偏見が多々あるかもしれないのでご注意ください。 ※この作品はフィクションです。実際の人物、団体などとは関係ありません。 ※番外編を随時更新中。

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...