約束の果てに

秋月

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*秋の彼岸祭り

秋の彼岸祭り#20

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やっぱり榊が一緒だったか…
わざわざ人目を避けるようにここに蓮を連れてきたって事は始終八区…

伊織「蓮さん、手伝っていただいてありがとうございました」

蓮「これくらいお安いご用だよ
それじゃ、戻ろっか」

伊織「あ、蓮さんちょっと待って下さい」

榊は戻ろうとする蓮を呼び止めた
てゆうより最初は聞き間違いかと思ったけど、榊の奴、いつの間にか蓮の事を名前で呼んでるし…

蓮「どうしたの?」

伊織「あ、あの…蓮さんにちょっとお話があって…」

榊のあの落ち着きの無い様子だと告白だろうな
それでも蓮は全く気付いてなさそうだけど…
まさかこの短期間で告白までするつもりだとは思わなかった
まぁ…告白くらい好きにすればいいし…
榊が居なくなってから声を掛ければいいか…

蓮「話…?あ、もしかしてこの間言いかけた相談の事?」

伊織「あ…えっと、それはちょっと違うと言うか…」

少し吃るどもる榊に蓮は不思議そうに問い掛ける

蓮「榊くん?どうしたの?」

伊織「…俺っ、蓮さんが好きです
だから俺と付き合ってください…!」

蓮「え?」

覚悟を決めたように顔を上げて、堂々とした告白をする榊
告白だろうとは思ったけど、まさか俺達が付き合ってるのを知ってて、付き合ってくださいと言うのは予想外だった

蓮「榊くんが私を…?」

蓮には事前に言ってたけど、やっぱり半信半疑だったみたいだな

伊織「はいっ…」

蓮「…榊くんの気持ちは嬉しいけど、ごめんね
その気持ちには答えられない
私は琉が好きだし、私は琉一筋だから」

軽く微笑むようにそう答えた蓮
影ながらその言葉を聞いて安心したのと同時に何処か照れくさくも感じた

伊織「琉さんと付き合ってるのは知ってます
けど、蓮さんは本当にあの人で良いんですか?
俺の方がもっと蓮さんの事幸せにしてあげますよ…!」

初めて分かったのは榊が中々に諦めの悪い奴だって事
つーか、榊が俺に対してどう思っているのか今の言葉で大体予想つくな
まぁ、どう思われようが気にしないけど、結構言う奴なんだな

蓮「琉でいいんじゃない、琉だから好きなんだよ
私の好きな人をそんな風に言わないで」

伊織「えっ、あ、や、そんなつもりじゃなくて…
本当に俺に望みは少しも無いんですか?」

蓮「うん、ごめんね」

勝手に蓮はもう少し戸惑うタイプかと思っていたけど、こんな風に凛と自分の気持ちを伝えられる奴でもあったんだな…

蓮「話、終わったかな?
私、掃除の途中だからそろそろ戻らなきゃ
あと数日だけど、改めてよろしくね」

そう断って、戻ろうとした蓮の手を咄嗟に榊が掴んだ

蓮「榊くん…?」

伊織「それなら俺のお願い、1つ聞いてもらっても良いですか?」

蓮「お願い?」

伊織「はい、聞いてくれたら俺も素直に諦めます
このまま終わりたくないんです」

なんか嫌な予感しかしないけど…榊の奴、何するつもりだよ…
榊が掴んだ手を離そうとしないから、蓮も仕方なく聞き返す

蓮「えっと…お願いって何だろう…」

伊織「キスさせてください」

蓮「えっ?」

は?何を突拍子もないこと言い出してるんだよあいつ
蓮もさすがに戸惑いを見せる

蓮「そんなお願い聞けない
離して榊くん」

その場から離れようとする蓮の腕を掴んだまま逃がさないように詰め寄っていく榊

伊織「どうしてですか?
お願いさえ聞いてくれれば諦めます」

蓮「そうゆう問題じゃないよ
私は軽率にそうゆう事はしたくない」

伊織「良いでしょ?蓮さん
琉さんともしてるんでしょうし、どうせ減るもんでも無いじゃないですか」

蓮「榊くん待って…や、離れて…っ」

逃げないように蓮を捕まえたまま、有無を言わさず距離を詰めていく榊
このままだと榊は無理矢理するつもりなのは目に見えてる
そんな状況みすみす見逃すはずがない
危機迫る状況の中、俺は2人の方へ歩みより蓮から榊を引き剥がして、間に入った

蓮「琉…」

後ろから聞こえる蓮の小さな声
そして俺を見るなり驚いている榊

伊織「琉さん…え…なんでここに…」

琉「俺が何処にいようが榊には関係ないだろ
それで…俺の彼女でもある蓮に無理矢理何をしようとしてた訳?
何が減らないって?」

軽く睨み付けるように榊に問い掛けると榊は罰が悪そうに言葉に詰まっていた

伊織「それは…琉さんには関係ないと思います」

へぇ、消極的かと思ってたけど、言い返してくるくらいの度胸あんのか

琉「俺達が付き合っているのは周知してるはずだろ
蓮は俺の彼女なのに関係ないって?」

伊織「…それは知ってますけど…でも…」

琉「お前が蓮を好いてようが告白しようが俺の知ったことじゃないし、勝手にやってろよ
けど、ふざけた真似してんなよ」

伊織「……」

榊は何も言い返せないようでそのまま黙り込んでしまった

琉「蓮行くぞ」

蓮「え、あ、うん…」

俺は榊をそのまま放って蓮の手を引いてそこから離れた
榊から離れてしばらくして足を止めて、振り返って蓮の表情を伺う

蓮「琉?」

琉「大丈夫か?」

蓮「あ、うん…ちょっとびっくりしたけど、琉も来てくれたし大丈夫だよ」

蓮の表情的にも恐怖心があったりした訳じゃ無さそうだな…

琉「はぁ…何も無くて良かったけど、本当にもう少し危機感持てよ
正直危ないところだっただろ
まぁ、俺も榊があんな行動起こすとは思わなかったけど」

蓮「うん…ほんとびっくりした…」

琉「本当に平気なのか?」

蓮「…ちょっと怖かったかもしれない」

琉「…そうゆう事は我慢せず言えよ」

蓮「うん」

琉「まぁ、兎に角、残り数日はなるべく榊に関わらないようにしろよ
絶対榊と2人きりにならないようにな
これ以上何かしてくるとは思わないけど、万が一があるから」

蓮「分かった、気をつける」

琉「…ふぅ…なら戻るか」

蓮「あ、私まだ掃除が終わってない…」

琉「そうだったな
じゃぁ、終わらしてから戻るか」

蓮「え、琉先に戻ってていいよ
仕事終わったばかりで疲れてるでしょ?」

こいつが気を使ってくれてるのは理解できるけど、あんなことがあったばかりなのに、1人残していけるわけ無い
やっぱり何処か無防備なんだよな…
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