君が嫌いで…好きでした。

秋月

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君が嫌いで…好きでした。

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心がいつもより軽い気がする
今日は今までとは違う1日が始まる…そんな予感がした

だけど学校に入ると突き刺さるような視線を感じた
そして私を見てはこそこそと話し出す人達…

いつもと同じ…別に気にすることない
だけどふと聞こえてしまった


「なんで平気で学校来れんの?
神経可笑しくない?」


「あいつのせいであんな事になったのに…
マジ、ふざけんなよ」


いつもより冷たく突き刺さってくる視線と言葉
ううん…そんなの気にしない
だけどあんな事って何…?

教室につくまですれ違う人達は私を見てはすごい恨みのこもったような表情で口々に何かを話していた

そして教室に入っても皆は私を見て、怒りのこもったような表情で見ていた

なに…なんなの?

そして教室を見渡すと教室の一角で人だかりが出来ていた
そこで初めて皆の視線の意味が分かった


「奏叶大丈夫なの?」


「うわっ痛そう…」



千菜「…うそ……」


言葉を失った
そして自分の中で血の気が引いていくのが分かった
人だかりの中心には右腕にアームホルダーをして腕を固定している七瀬奏叶の姿があった

頭が真っ白になって言葉も出てこなかった

だって…この状況はなに?
誰か私に教えて…

力が入らなくなって私の腕から鞄がドサッと落ちた
その音に数人が私の存在に気付いた
そして七瀬奏叶とよく一緒に居る男の子が私に向かって歩いてきた


奏叶「千菜…っ、湊何する気だよ…!」


湊「お前のせいだ…
お前何考えてんだよ…かなに何してんだよ!
お前がかなに近付かなきゃかなはこんな怪我しなくて済んだんだ!」


その人の言葉がぐっと突き刺さってくる
何…これ…胸が苦しい…


湊「一歩間違えばかなは死んでたかもしんねぇんだぞ!この人殺し!」


人殺し…


"―…ねぇ知ってる?
東 千菜と関わると絶対に死んじゃうんだって…"


それが私の噂…
人殺しと言われるまで広まってしまった私の噂


奏叶「湊やめろよ!!
千菜のせいじゃない!千菜は何も関係ない!」


あぁ…罰が当たったんだ
やっぱり私の考えが甘かった
私は…もう2度と誰とも関わっちゃいけなかった


千菜「…ら…ぃで……」


奏叶「千菜…?」


千菜「もう私に関わらないで!!」



私は七瀬奏叶にそう言い放って教室を飛び出した


奏叶「千菜…!!」



千菜は涙を流しながら教室を飛び出していった
俺はすぐに千菜を追いかけようとした
だけどそれを湊と周りに居た奴等が止めた


湊「かなっ、なんで追いかけるんだよ!
あんな奴ほっとけよ!
あいつのせいでそんな大ケガしたんだろ!?
あいつはかなを殺そうとした奴だぞ!」


「そうだよ奏叶!」


「やっぱり噂は本当だったんだ…っ
奏叶!もう関わらない方がいいって!」


そこに居た奴等は口々に千菜の事を悪く言って…俺は頭にきた


奏叶「皆が千菜の何を知ってるんだよ!
下らない噂に惑わされて偉そうに言えることじゃないだろ!
噂を誰よりも怖がってずっと苦しんできたのが千菜だ!
千菜の気持ちをなにも知らない癖に勝手な事言うなよ!」



俺はそれだけを言い残してすぐに千菜の後を追いかけた
千菜…泣いてた…っ

俺のせいだ
昨日こんな怪我しなきゃ…っ

千菜…!!


ーー…苦しい…っ


さっきの七瀬奏叶の姿が…
そしてあの時の映像が走馬灯のように思い出された

どうして皆居なくなっちゃうの…!?
それにこのままじゃ七瀬奏叶まで…っ
今回は大丈夫でも私と関わっていれば次は本当に…っ
これ以上七瀬奏叶とは関わっちゃいけない…!!


伊藤「おー東
どうした、走ったりして…」


伊藤先生の言葉も無視して私は走り続けた
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