19 / 83
君が嫌いで…好きでした。
しおりを挟む伊藤「おい東!?」
なんだあいつ…聞こえてたはずなのに
それに泣いてたよな…?
何かあったのか!?
兎に角東を追いかけないと…
奏叶「伊藤…!!千菜見なかった!?」
こいつ…あの時も東の事探しにきた…
てゆうか仮にも教師に向かって呼び捨てかよ
相変わらず生意気だな…
右腕…見たところ骨折か
東が泣いてたのはこいつが原因か…
だとしたらまずいな…
伊藤「東は俺が追いかける
お前が原因なんだろ
だったらお前が追いかけるのはまずい」
東が泣いたのはあの時以来なんだ
あの時以来どんな事があっても泣かなかった東が…
きっと今すごく苦しんでるはずだ…っ
奏叶「うるさいっお前に任せてたまるか
千菜は俺が助ける!」
そう言ってすぐに走っていった
……っ真っ直ぐに俺を睨むか
相変わらず生意気な奴だな…
今回はあいつに賭けてみるか
この賭けが吉と出るか凶と出るか…東…
――私はひたすら階段をかけ上がって屋上に飛び出した
千菜「はぁっ…はぁ…」
まだ肌寒い風が通り抜ける
青い空がさっきよりも近く感じる
久しぶりにこんなに走った…
胸が苦しいのは走ったから?それとも…
考えれば考えるほど胸が苦しかった
七瀬奏叶があんな怪我をしたのは私に関わったから
私のせいだ…
今度は大丈夫かもしれない
七瀬奏叶なら…って信じた私が馬鹿だった
罰が当たったんだ…
こんなことになるなら…っ!
バンっ…と屋上のドアが開いた
奏叶「千菜…!!」
勢いよく開けられた屋上の扉
なんで追いかけてくるの…
千菜「…七瀬奏叶…?」
ずっとそうだった
どんなに突き放しても笑って真っ直ぐにぶつかってくる
あんな大ケガしていてもまだ私に関わろうとしてくる
もうやめてよ…私はもう嫌なの…!
千菜「なんで追いかけてくるの!?
早く戻って…!さっきも言ったでしょ!?
私にもう2度と関わらないで!!」
七瀬奏叶は私なんかと居るよりさっきの人達と居る方が幸せなんだから…!
奏叶「千菜…なんでこんなところ…
まさかと思うけど死ぬ気じゃないよね…?」
死ぬ…?
私は死ぬ事がどんな事か嫌という程分かってる
こんな思いをするたびに何度死のうとしたか…
それでも…辛くても苦しくてもここまで生きてきたのは楓の…お兄ちゃんの言葉があったから
両親が死んで、私達を引き取ってくれた祖父母も死んでしまって…私と楓だけで暮らしている時、私は1度だけお兄ちゃんに死にたいと言ってしまった事があった
楓「千菜、死んだら終わりなんだ
父さんと母さん、じいちゃん、ばぁちゃんの分まで俺達は生きなきゃいけない
だからどんなに辛い事があっても生きることは諦めちゃ駄目なんだ」
――…あの時の楓の言葉には少しだけ救われた
だからその後にお兄ちゃんが死んでも、真琴が死んでも…その言葉を思い出しては死にたい気持ちを押し殺して生き続けてきた
千菜「そうだよね…
死んでしまえばもう2度とこんな気持ちを味あわなくて済むんだよね…」
奏叶「千菜…!?」
千菜「…でも考えた事ある…!?
死ぬ事がどんな事なのか…っ
何度…死にたいと考えたか分からない…っ
死のうと思っても怖くて出来ない…!
惨めに生き続ける私の気持ちが…あなたに分かるわけない!!」
奏叶「…確かに分からないよ
千菜の気持ちは…
だけど全部じゃない
千菜は今苦しんでる
そんな千菜をほっとけるわけない
1人には絶対させない」
一歩…また一歩…
七瀬奏叶は私に近づいてきた
私はそれが怖かった
千菜「来ないでよ…!
誰かをまた失うくらいなら…っ私はずっと1人でいい…!」
奏叶「そんな事させない」
なにこれ……
私…なんで七瀬奏叶に抱き締められてるの…?
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる