25 / 83
君が嫌いで…好きでした。
しおりを挟む湊「はぁ…何だかすげー疲れた…
そいや全力で走ってたわ…」
奏叶「ははっ、それはお疲れさん
お前この後どうするんだよ?授業戻るの?」
湊「いやー無理無理、サボる
疲れたからここでしばらく寝てる
お前らはどうするんだよ」
奏叶「授業には戻らないけど、俺達は行く場所があるから」
え、行く場所…?それってどこ…?
湊「あっそ…勝手に行ってこいよ」
奏叶「今日暖かいからってこんな所で寝て風邪引くなよ
ま、馬鹿は風邪引かないって言うけどね
ほら、千菜行こう?」
奏叶はためらうことなく私に手を差し出してきた
湊「一言余計なんだよかなは…
東!かなの事傷付けたら許さねぇからな
それだけ覚えておけよ」
千菜「分かった…」
私は奏叶の手に自分の手を重ねて、一緒に屋上を出た
………バタン…
湊「あーあっ…俺こんなキャラだったっけ…」
1人残された湊は空を仰ぎながらそう呟いた
―――…繋いだ手から伝わる温度
奏叶の温もり…躊躇することなく重ねられた手
自分の受け入れの早さにちょっとびっくりかも…
さっきまで学校の中に居るのが窮屈で苦しくて仕方なかった
だけど今は平気
それはきっと奏叶が居るから
本当…こんな事になるなんて思いもしなかった
最初は君の事が大嫌いだった
馴れ馴れしいし意味が分からなくて…
でもね…今は君の事を知る度に…
君に近づく度に好きになっていくの
こんなのおかしいよ…私馬鹿みたい…
ってそんな事より…っ
千菜「ねぇ…何処に向かってるの?」
行くところがあるって…一体何処に向かってるの…?
私には検討もつかない
奏叶「ん?保健室だよ」
保健室…?
なんでそんなところに…もしかして…
千菜「怪我っ…痛むの…?」
さっき私が突き飛ばしちゃったから…
奏叶「あー違う違う
怪我なら大したことないし大丈夫だよ
用があるのは保健室じゃなくて伊藤センセ!」
保健室じゃなくて伊藤先生に用事…?
それってどうゆう事なんだろ…
千菜「伊藤先生に用事って…?」
奏叶「んー…宣戦布告?」
……やっぱり奏叶は馬鹿なのかな
宣戦布告って一体何を宣戦布告する気?
まず宣戦布告の意味分かってるのかな…この人…
そんな事考えてる間に保健室に着いてしまった
さっき先生の事を無視したから…顔合わせにくいな…
怒ってるかな…
――ガラ
ドアを開けて私達に気付くと伊藤先生はガタッと音を立てて椅子から立ち上がった
伊藤「東っ…と誰かと思ったらさっきの生意気なガキ」
先生は私を見ると安心そうな顔をした
私達は手を繋いだまま保健室に入る
こんな所見られるなんて…恥ずかしい…
離してって言いにくいし…奏叶も離すつもり無さそう…
奏叶「ガキじゃないし」
伊藤「俺からしたらお前らなんてまだ子どもだよ
…その様子じゃうまくいったみたいだな
それで?わざわざ見せつけるように2人で手を繋いで…もしかして付き合ってるのか?」
付き合ってる…?
そういえばどうなんだろう…
奏叶と一緒に居たいと思った
私は奏叶が好きだと思った
だけどそういえば私…奏叶に直接告白の返事してないよね…
奏叶「そうだよ」
え……?
迷いもないまっすぐな横顔…
その横顔が本当なんだと思わされた
それがなにより嬉しかった
伊藤「ふーん…東、そうなのか?」
私は先生の問いかけに頷いて返した
伊藤「…そっか
東がそう決めたんなら俺は応援するよ」
そう言って伊藤先生は私の頭を撫でた
いつもと変わらない優しい笑顔で…
千菜「先生…怒ってないの?」
伊藤「怒る?なんで?」
千菜「だって…さっき先生の事…無視したから…」
伊藤「そんな心配してたのか?
そんな事で怒らないよ
理由があったんだろ?ちゃんと分かってるよ」
千菜「ありがとう…先生…」
奏叶「…いつまで千菜に触ってんの
いい加減離れろ変態教師」
伊藤「お前な…教師に対して少し生意気
余裕ない男は嫌われるぞ」
奏叶「余計なお世話」
この2人気が合わないみたい…
まるで反発する磁石みたい
伊藤「…ふぅ、生意気なガキは兎も角
さっきも言ったように東がそう決めたんなら俺は応援する
東、と…七瀬俺からのアドバイスだ
1度決めたなら最後まで貫き通せ
俺はお前等の未来がどんなものか見届けることにするよ」
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる