君が嫌いで…好きでした。

秋月

文字の大きさ
34 / 83

君が嫌いで…好きでした。

しおりを挟む
月曜日
今日からまた新しい1週間が始まる
雪が溶け、少しずつ春が近づいてる今日この頃…


湊「かな!はよ!」


奏叶「湊、おはよ」


湊「あれ?東は一緒じゃねぇんだ?」


奏叶「それがさ熱出たから休むってメール来た」


湊「は?熱って大丈夫なのかよ
あいつ一人暮らしだし何かと我慢してそうじゃん」


奏叶「…お前さ、千菜に対しては他の女子と扱い違うよな
もしかして…」


湊「は!?んなわけねぇって!
お前の女になんて興味ねぇよ馬鹿」


奏叶「そうだな
しんどいだろうなー、千菜大丈夫かな…」


……ピピピピ


千菜「38度…7分…」


やばい…辛いと思ったけど結構な高熱…
原因は…あの日雨にうたれたせいだよね…
案の定風邪をひくなんて…
医者に行くにも送ってくれる人もいないし、距離もあるから自力で行くなんて無理…
お金もそんなに使えないし…
なんとか自力で治すしか…

1人になってからこんなに重い風邪を引くのは初めてかもしれない
ちょっと拗らせる事はあったけど、自力でなんとか出来たし…
今はただ動くのさえ辛く感じる

辛い…風邪の時に1人って余計に寂しさが増す
今さら寂しいと思うなんて、最近奏叶や湊といたせいかな…
前はお兄ちゃんがよく看病してくれたな…
自分の事は二の次で、私の事本当に大切にしてくれて…たった1人残った家族だったからなのか過保護なほど心配してくれたりして…
大丈夫なのにでも…心は温かかった

お兄ちゃんのあの大きな手が懐かしい
なんだか眠くなってきた…
眠ったらお兄ちゃんの夢…見れるかな…

私はそのまま瞼を閉じた


―――…ブーブー…ブーブー…
……ん…あれ…私いつのまにか寝てたんだ…
今何時だろう…
熱と寝起きのボーッとする頭で時計を確認する

17時16分…大分寝てたみたい…
沢山寝たけどまだ辛いな…
そういえば薬も飲んでなかったもんな…


ブーブー…ブーブー…


さっきから携帯鳴ってるけどなんだろ…電話?
私は枕元のケータイを手にして電話に出た


千菜「…はい」


奏叶「あ、千菜?良かった出てくれて
奏叶だけど分かる?」


奏叶…不思議、声を聞くだけでなんだかホッとする


千菜「うん…なに…?」


やばい……きっと熱があるせいだろうな
電話でこんな風に声が聞けるだけで嬉しいと感じるなんて…私重症だな…


奏叶「具合どう?
千菜の事だからちゃんとご飯食べてないと思って心配だったからお見舞いに来ちゃった」


正解…朝からずっと寝てたから今日はまだ何も食べてない


千菜「え?来ちゃった…って…今どこに…」


奏叶「千菜の家の前♪」


え…?家の前って…家の前…?
あ、鍵…

私は自分の体を奮い立たせて、ベットから起き上がり玄関に向かい鍵を開けた


ガチャ

玄関を開けるとそこには確かに奏叶が居た


奏叶「あ、千菜良かった
ごめんね、しんどいのに起こさせて
顔…大分赤いね」


奏叶……あ…駄目…これ以上立ってられない…

フラッ…


奏叶「おっと…千菜大丈夫?」


千菜「…奏叶…ごめん…」


奏叶「ありがとうでしょ
今ベットに運んであげるから」


そう言うとひょいと私を持ち上げて、ベットまで運んでくれた


千菜「ありがとう…」


奏叶「どういたしまして
まさか本当に風邪引くなんて千菜ドジなんだね」


言い返せない…
言い返す元気もないけど…


奏叶「さてと…今、具合は?寒くない?」


千菜「少し…」


奏叶「…千菜もしかして今日ずっとその格好?
汗かいたんだよ。まずは着替えなよ
その間俺は出てるから
着替えたら体温測りな?」


とりあえず奏叶に言われた通りだるい体を動かして頑張って着替えた
そしてベットに戻り体温を測った


ピピピピ


奏叶「どう?」


私は体温計を奏叶に渡した


奏叶「38度8分か…結構あるね
冷えピタ買ってきたから冷えピタ貼ろっか
あと市販のだけど風邪薬も買ってきたからご飯食べたら飲むよ
てか千菜、熱があるならなんでタオルで冷やすくらいしないの?」


千菜「…めんどくさかったから…」


奏叶「お見舞いに来て良かった…
本当千菜は自分の事に対してはいい加減だよね」


幻滅したのかな…


奏叶「ま、だから俺が居るんだけど」


奏叶は私を見てニッと笑った


奏叶「さてと!おかゆでも作るか!
食欲無いかもだけど少しは食べて薬も飲まなきゃだしね
千菜はゆっくり休んでな?」


腕捲りをしてキッチンに向かう奏叶
奏叶が持ってきた袋の中には冷えピタや風邪薬、ゼリーやフルーツなど盛り沢山
心配…してくれたんだ

今…奏叶が側にいる…それがどこか安心出来た

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...