33 / 83
君が嫌いで…好きでした。
しおりを挟む次の日の朝――…
昨日のどしゃ降りの雨が嘘のように、今日はどこまでも晴れ渡ってる
そんなに澄んだ空を眺めてから、私は部屋を出た
千菜「行ってくるねチョコ」
バタン…
奏叶「千菜、おはよう」
家を出るといつものように笑顔で奏叶が迎えてくれた
千菜「…おはよ」
奏叶「じゃ、行こっか」
奏叶は何も聞かないで、私を導いてくれるように先導してくれる
そんな奏叶の言動に安心感が募る
差し出された手に自分の手を重ねた
千菜「…奏叶付き合わせてごめんね…」
奏叶「いいよ。俺が勝手についてきたんだし
それに千菜が行くなら俺も行くよ」
奏叶と一緒に向かったのは学校
学校に入ると土曜日なのに沢山の生徒が居た
奏叶「休日まで部活かぁ。皆頑張るな」
そして学校に入って向かった場所
奏叶「保健室…」
昨日…お葬式で先生とお別れしたけど…
もう1度この場所で先生にさよならしようって決めた
先生との思い出が1番詰まってるこの場所で…
保健室のドアに手をかける
いつもは簡単に開けてた保健室のドア
だけど今は開けようとするとなぜか…体が震えてしまった
奏叶「千菜…大丈夫?」
私は勇気を出してドアを開けた
ガラッ…
――『お、東。どうした?』
いつも…ドアを開ければ笑って声をかけてくれた伊藤先生…
だけど今は誰もいない空っぽの保健室…
もう私を迎え入れてくれる人はここには居ない
改めて先生が居なくなってしまった実感が少しずつ突き刺さる
保健室に入って辺りを見回してみる
私にとって保健室は特別な場所だった…
学校に居場所の無かった私にとって唯一の拠り所だった
だけどそれは先生が居たから…
ここには先生との思い出が沢山詰まってる…
私は全部覚えてる
だけど…先生はもういない…
そう考えるとただ悲しかった
奏叶「千菜、こっち」
奏叶に呼ばれて先生がいつも仕事をしていた机の所に足を運んだ
千菜「なに…?」
奏叶「これ…」
奏叶が見ている方に視線を移す
机の上には私があげたお守りとメモが上がっていた
千菜「これ…」
私が作ったお守り…?
先生の病気が治るように…先生が死なないように願いを込めて作った…
なんで机の上に…
そしてお守りと一緒にあったメモにはただ一言
[ありがとう]
と汚い字で書かれていた
そのメモを見た途端、我慢していた物が吹き上がるような気持ちになった
千菜「どうゆうこと…?」
奏叶「……千菜に伝えたかったんだと思う
汚い字だな…これが教師の書く字かよ
…きっと千菜に伝えたくて、発作で苦しい中、必死で書いたんだろうな…」
胸も目頭も熱くなる
ポタリ…と静かに涙が溢れてこぼれていく
千菜「…先生……っ」
お守りとメモをギュッと握りしめて涙を流した
奏叶「千菜……」
千菜「…ぅ…奏叶…私は…私は先生を…助けてあげられたのかな…っ」
奏叶「…うん…大丈夫だよ
きっと伊藤にも伝わったよ」
私みたいな人が先生の為に何か出来たのかな…
先生が居なくなって凄く悲しくて寂しい
でも先生…私頑張るから
先生が私にしてくれたこと、言ってくれたこと、大切にする…
先生が信じてくれたんなら私も自分の事…少しずつ信じてみるよ…
だから心配しないで先生
私…ちゃんと前へ進むから…頑張るからね…
0
あなたにおすすめの小説
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる