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君が嫌いで…好きでした。
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中から微かにお経がまだ聞こえる
外は相変わらず雨が降り続いている
千菜「かな…と…」
奏叶「そんなびしょ濡れで…また倒れるよ」
奏叶の優しさもただ私を苦しめた
千菜「先生は…先生は私のせいで…っ
やっぱり…駄目なんだよ
私が…先生に関わらなければ…先生は死ななかった…!」
私のせいで先生は死んでしまった
やっぱり望んではいけなかった
泣いて悔やんで…今さら後悔しても先生はもう2度と戻っては来ない
きっと奏叶だって…
奏叶「…俺…知ってたよ」
千菜「え…?」
知ってたって何を…?
奏叶「前…千菜が保健室で倒れた時に…」
――――…
伊藤「お前なら安心だな
……お前の事を信じて1つ話がある
大事な話だ、よく聞けよ」
奏叶「なんだよ急に深刻そうな顔してさ
大事な話?」
伊藤「…そうだ。俺の……病気についてだ」
奏叶「病気?あんたが?冗談だろ」
伊藤「見えないか?
でもこんな時に冗談なんか言わないさ」
奏叶「…本当に?」
伊藤「…生まれつきの重い病気なんだ
今までずっと手術とか繰り返して来たけど治らないんだ
そんな風に見えないだろ?
俺が22の時に診察に言ったらさ
23まで生きられないだろうって余命宣告されてさ
なんてゆうか…絶望したよ
そんな時に東に出逢ってさ
関わってる内にあいつの過去の事とか聞いてさ…ほっとけなかった
教師として助けたいって思ったんだ
少しも笑わない東を見てこの子が笑える時が来るまで俺は死ねないって…強く思ったんだ
だけど最近…調子が悪くてさ
病院に行ったらもう手遅れのところまで病気が進行してたんだ
七瀬…俺はもうじき死ぬんだ
だから東の事しっかり支えてやれよ」
奏叶「…待てよ!勝手なこと言うなよ!
お前が死んだら千菜は…!
千菜はあんたの事を大事に思ってんだよ
千菜の笑顔取り戻すんだろ!?
俺も協力するからさ!
病気を治して…っ」
伊藤「無理なんだ七瀬
もう治らないんだ」
奏叶「そんな…」
伊藤「…お前にだけは伝えておく
東には言うなよ
心配するに決まってる
それに俺が死んだらきっとまた自分を責めるだろうからな…
その時はお前が東を支えてやれよ」
奏叶「…分かった…約束する」
伊藤「良かった、ありがとう七瀬
でも……23まで生きられないって言われてた俺がここまで生きられたのは…東が居たからかもしれないな」
―――――――…
ザ―――…
千菜「…うそ…先生がそんな事…
なんで…なんですぐ教えてくれなかったの…!?」
奏叶「…それが…伊藤との約束だったからだよ
伊藤が千菜に何も言わなかったのは、千菜の事を大切に思ってたからだよ
千菜が…辛い想いをしないように伊藤は最後まで笑ってたんだよ」
――…『東、気を付けて帰れよ』
先生っ…
千菜「…私の…私のせいで…っ」
奏叶「千菜、伊藤は千菜が自分を責めることを望んでないよ
それに…千菜のせいじゃない」
千菜「違う……私が…伊藤先生を殺し…」
奏叶「生かしたんだよ」
生か…した…?
奏叶「…伊藤は最後に言ってたよ
自分がここまで生きられたのは千菜が居たからだって…」
千菜「…そんな…私が……?」
奏叶「千菜は誰かを殺す力があるんじゃない
誰かを生かす力があるんだよ
俺ももしかしたら骨折だけじゃ済まなかったかもしれない
伊藤もここまで生きられなかったかもしれない
だけど俺が骨折で済んだのも、伊藤が余命宣告より長くここまで生きられたのも…きっと千菜のお陰なんだよ
俺はそう信じてる」
私には…誰かを生かす力がある…?
そんな風に今まで考えた事もなかった…だって…
千菜「奏叶…」
奏叶「俺も伊藤も…それにきっと千菜の家族も…誰も千菜の事責めてないよ」
どうして…
どうしてこんな風に言えるんだろう…
どうして奏叶は…奏叶の言葉は私の心を軽くしてくれるんだろう…
千菜「…ぐす…っ…奏叶…ありがとう…」
奏叶「…うん。ほら、中入ろ?
伊藤にちゃんとさよなら言わなきゃ
その前に着替えが先かな?
こんなになるまで濡れちゃって…風邪ひいてもしらないよ?
まっ、そしたら俺が看病してあげるから安心して風邪ひいて」
なんて冗談を言って奏叶は笑った
奏叶は優しい…
いつもこんな風にさりげなく私の事を助けてくれる…
先生…出来るならちゃんとお別れしたかった
今まで沢山助けてくれて…
私に声をかけてくれて…
話し相手になってくれて…
私に笑いかけてくれて…
私本当に嬉しかった
先生に出逢えて…本当に良かった…
伊藤先生…ありがとう…
そして…さようなら…先生…
外は相変わらず雨が降り続いている
千菜「かな…と…」
奏叶「そんなびしょ濡れで…また倒れるよ」
奏叶の優しさもただ私を苦しめた
千菜「先生は…先生は私のせいで…っ
やっぱり…駄目なんだよ
私が…先生に関わらなければ…先生は死ななかった…!」
私のせいで先生は死んでしまった
やっぱり望んではいけなかった
泣いて悔やんで…今さら後悔しても先生はもう2度と戻っては来ない
きっと奏叶だって…
奏叶「…俺…知ってたよ」
千菜「え…?」
知ってたって何を…?
奏叶「前…千菜が保健室で倒れた時に…」
――――…
伊藤「お前なら安心だな
……お前の事を信じて1つ話がある
大事な話だ、よく聞けよ」
奏叶「なんだよ急に深刻そうな顔してさ
大事な話?」
伊藤「…そうだ。俺の……病気についてだ」
奏叶「病気?あんたが?冗談だろ」
伊藤「見えないか?
でもこんな時に冗談なんか言わないさ」
奏叶「…本当に?」
伊藤「…生まれつきの重い病気なんだ
今までずっと手術とか繰り返して来たけど治らないんだ
そんな風に見えないだろ?
俺が22の時に診察に言ったらさ
23まで生きられないだろうって余命宣告されてさ
なんてゆうか…絶望したよ
そんな時に東に出逢ってさ
関わってる内にあいつの過去の事とか聞いてさ…ほっとけなかった
教師として助けたいって思ったんだ
少しも笑わない東を見てこの子が笑える時が来るまで俺は死ねないって…強く思ったんだ
だけど最近…調子が悪くてさ
病院に行ったらもう手遅れのところまで病気が進行してたんだ
七瀬…俺はもうじき死ぬんだ
だから東の事しっかり支えてやれよ」
奏叶「…待てよ!勝手なこと言うなよ!
お前が死んだら千菜は…!
千菜はあんたの事を大事に思ってんだよ
千菜の笑顔取り戻すんだろ!?
俺も協力するからさ!
病気を治して…っ」
伊藤「無理なんだ七瀬
もう治らないんだ」
奏叶「そんな…」
伊藤「…お前にだけは伝えておく
東には言うなよ
心配するに決まってる
それに俺が死んだらきっとまた自分を責めるだろうからな…
その時はお前が東を支えてやれよ」
奏叶「…分かった…約束する」
伊藤「良かった、ありがとう七瀬
でも……23まで生きられないって言われてた俺がここまで生きられたのは…東が居たからかもしれないな」
―――――――…
ザ―――…
千菜「…うそ…先生がそんな事…
なんで…なんですぐ教えてくれなかったの…!?」
奏叶「…それが…伊藤との約束だったからだよ
伊藤が千菜に何も言わなかったのは、千菜の事を大切に思ってたからだよ
千菜が…辛い想いをしないように伊藤は最後まで笑ってたんだよ」
――…『東、気を付けて帰れよ』
先生っ…
千菜「…私の…私のせいで…っ」
奏叶「千菜、伊藤は千菜が自分を責めることを望んでないよ
それに…千菜のせいじゃない」
千菜「違う……私が…伊藤先生を殺し…」
奏叶「生かしたんだよ」
生か…した…?
奏叶「…伊藤は最後に言ってたよ
自分がここまで生きられたのは千菜が居たからだって…」
千菜「…そんな…私が……?」
奏叶「千菜は誰かを殺す力があるんじゃない
誰かを生かす力があるんだよ
俺ももしかしたら骨折だけじゃ済まなかったかもしれない
伊藤もここまで生きられなかったかもしれない
だけど俺が骨折で済んだのも、伊藤が余命宣告より長くここまで生きられたのも…きっと千菜のお陰なんだよ
俺はそう信じてる」
私には…誰かを生かす力がある…?
そんな風に今まで考えた事もなかった…だって…
千菜「奏叶…」
奏叶「俺も伊藤も…それにきっと千菜の家族も…誰も千菜の事責めてないよ」
どうして…
どうしてこんな風に言えるんだろう…
どうして奏叶は…奏叶の言葉は私の心を軽くしてくれるんだろう…
千菜「…ぐす…っ…奏叶…ありがとう…」
奏叶「…うん。ほら、中入ろ?
伊藤にちゃんとさよなら言わなきゃ
その前に着替えが先かな?
こんなになるまで濡れちゃって…風邪ひいてもしらないよ?
まっ、そしたら俺が看病してあげるから安心して風邪ひいて」
なんて冗談を言って奏叶は笑った
奏叶は優しい…
いつもこんな風にさりげなく私の事を助けてくれる…
先生…出来るならちゃんとお別れしたかった
今まで沢山助けてくれて…
私に声をかけてくれて…
話し相手になってくれて…
私に笑いかけてくれて…
私本当に嬉しかった
先生に出逢えて…本当に良かった…
伊藤先生…ありがとう…
そして…さようなら…先生…
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