君が嫌いで…好きでした。

秋月

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君が嫌いで…好きでした。

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学校が終わり帰り支度をしていたら
湊が私の手を引っ張り何処かに向かいだした
びっくりしたけど、どこに行くのかはあえて聞かなかった

そして学校から歩いて数分の所
いつもと違う道に景色
立ち並ぶ様々なお店
聞こえてくるのは昼休みよりも賑やかに聞こえる音楽と音
私達のように制服を来た中高生が沢山出入りしていく
聞かなくても見れば分かる
けど一応湊に聞いてみた


千菜「…ここは?」


湊「見ての通りゲーセンだけど?」


うん…やっぱりそうなんだ
ここに来たってことは…


千菜「入るの…?」


湊「来たことないんだろ?
たまにはこうゆう気分転換も必要だって」


千菜「でも…」


今まではずっとこういう人混みを避けてきたのに…少し怖い…


湊「大丈夫だって、俺が一緒に居るんだから!
ほら行くぞ」


私の手を引っ張り半ば強引に店の中に入った
いつもと違う音が響きわたる
キラキラと輝いているように私には見えた
クレーンゲームにメダルゲームにプリクラとか沢山ある…
これが噂のゲーセン…

湊は沢山来てるんだよね
それよりも不思議な気持ち…
放課後に誰かと寄り道するのもその相手が湊であることも自分がこんな所に居ることも全部不思議
でもやっぱり少し怖い…


湊「さーて何やる?」


え、いきなり言われても…
戸惑いながら周りを見渡すとあるものに目が止まった


湊「どした」


千菜「あれ…」


私の目に止まったのはクレーンゲームの中に居るぬいぐるみ
名前の所を見るとヤンクマって書いてある
文字通り見た目はヤンキーの格好をしたクマのぬいぐるみみたい
だけどすごい可愛い…


湊「ふーん…こうゆうの好きなん?
よっしゃ任せろ」


湊はそのクレーンゲームにお金を入れてやり始めた


千菜「え…取れるの?」


湊「おう、こう見えて結構得意♪」


自信満々に答えた湊は500円で本当に取ってしまった
クレーンゲームってすごく難しそうなのに湊、本当に得意なんだな


湊「ホラよ」


取ってくれたヤンクマを湊は私に手渡してくれた


千菜「え…?くれるの?」


湊「は?お前が欲しいみたいだったから取ったんだよ」


千菜「お金…」


湊「いいよ、んなもん
飲みもんのお礼。さー次はなにする?」


なんとなく…湊が女の子にモテる理由が分かる気がする
こんなことされれば女の子が騒ぐのは当然だよね
奏叶もよく女の子に囲まれてる
優しくて爽やかで女の子がほっとかないのも分かる
実際私も好きになってしまったし…
周りには私よりも可愛い子だって居るのに…私を選んでくれたことが、今でも不思議で少し嬉しいと感じてしまう

最初は本当にうっとおしくて馴れ馴れしくて大嫌いだったけど、いつの間にか好きになってた


湊「おい、東?
固まってどうした?また具合悪りぃの?」


千菜「あ、ううん…考え事」


湊「ふーん…かなの事でも考えてたんだろ」


図星をつかれてギクッとするけど図星なので何も言えなかった


湊「図星かよ
ま、でも本当にお前とかなが付き合うとは思わなかった
でもきっと大変なのはこれからだろうな」


湊の何気なく言った一言がなぜか胸に残った
湊がそう言った理由も私がそう思った事も分からないのに…
私の心の奥にはまだ不安が渦巻いていた
そしてその不安はいずれ思ってもみない形で私達を飲み込んでいく事をこの時の私はまだ知らずにいた
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