君が嫌いで…好きでした。

秋月

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君が嫌いで…好きでした。

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*湊*


東 千菜
1年の時から噂は聞いていたけど2年になって同じクラスになった
第一印象は読書ばかりして誰にも関わろうとしない暗い奴
正直どうでもよかったし、関わろうとなんか思ってなかった
がしかし…今なぜか一緒に居る
これも全部かなのせいだな

こいつの事なんかすげー嫌いだったのに今はそうでもない
これもかなのせいだな

―…いつものようにダルいと思いながら教室に入ると変わらずに本を眺めてた
とりあえず軽く挨拶くらいする


湊「おす。やっと復活だな」


俺に気付いた東は本から目をそらして挨拶を返してきた


千菜「湊、おはよう…お陰さまでもう元気だよ」


こいつと居るようになって気付いたことは色々ある
話しかければ意外に喋る
表情は変わんねぇけど、あと意外と真っ直ぐ目を見てくる
本人は無意識にやってそうな感じだけどな


湊「ふーん…良かったじゃん」


とりあえずなんとなく前の席に座った


湊「てか、かなは?まだ来ねぇの?」


いつもならもう来ててもおかしくねえのに教室を見てもかなは居ない
んで一応彼女のこいつなら何か知ってんじゃないかと思い聞いてみる


千菜「あ…さっきメール来て今日は用事あるから休むって…」


やっぱり知ってたし
てか東だけじゃなくて俺んとこにも連絡しろよなあいつ
てか、用事ってなんだよ
ん…あれ…今日ってもしかして3月2日?
あ―…そうゆうことか、忘れてた


湊「あ―…そっか、今日あの日か」


千菜「あの日…?」


1人で納得してると東が不思議そうに聞いてきた
東の反応に少し驚いた
いや…まさか聞いてない分けないだろ
かなの事だから東に話しててもおかしくねぇのに…
かなが話してねぇのに俺から話すのもな…
ちょっと探り入れてみるか


湊「ふーん…かなの弟知ってる?」


千菜「冬馬くん?奏叶が前に話してくれて…」


なんだよ、やっぱり話してあんじゃん
東のこの様子だと冬馬が亡くなってる事も知ってるんだな
でも命日まで話してないのか…
かなの事だから東が不安にならないように気ぃ使ったんだろ
どんだけ東に惚れてんだよ
まぁいいか


湊「今日が命日なんだよ
毎年命日には1人でも墓参りに行ってんだ」


何を思ったか知らねぇけど東は少し不安そうにした
かなが心配すんのも分かる気がするな


湊「そんなしけた面してんなよ
人の心配する前にお前は自分の事心配しろよ」


食事偏ってたり急に倒れたり風邪引いてるし…
人の心配する事が多くて自分の事が雑なんだよ
なのにキョトーンとしてるし
それも無意識かよ…


湊「なんだ今日かな居ねぇのか
ま、今日は2人だけどよろしく」


…ん?そいや東と2人だけって…何気初めてか?
今まで何だかんだかなも居たからな
かるーくよろしくとは言ったけどこれどうすればいいんだよ
いつも女子に囲まれるのは慣れてっけど、東みたいなタイプと2人きりとか今までねぇよ
うわ…そう考えると緊張…
でも余裕ない男と思われたくねーし
なんてぐるぐる考えてたら東がうつむいてた


湊「どうした?また具合悪いのか?」


千菜「…湊…私の所に居ないで皆の所に行ってきなよ
私と居たら湊まで悪く言われるよ…
私は1人でも大丈夫だから…」


その時に俺にも聞こえてきた
またあいつらか…毎回飽きねーことだな
ま、俺も前まであっち側だったんだけどな

それにしても本当に人の心配ばっかだな
自分の事なんか気にしないで1人で居ることにも慣れてる見てぇだし
あーやだやだ
ごちゃごちゃ考えんの好きじゃねぇんだよ


湊「…なんだそれ
だからお前は人の事より自分の事心配しろって
それに俺が誰と居るかなんて俺が決める
俺は居たい奴と居るよ」


東の態度に少しイラついたけど言ったことは一応本音
東はさっきの暗い表情とは違い少し穏やかにに見えた
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