君が嫌いで…好きでした。

秋月

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君が嫌いで…好きでした。

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駿府城公園…
ここに来るのも1年振り
でもちゃんと桜を見に来た事はない
去年までは桜もただ悲しくて仕方なかった

湊「おお、結構咲いてるじゃん」

奏叶「とりあえずご飯にしよっか
この近くに桜を見ながら食べられるお店があるんだ」

湊「へぇ、そりゃ良いな」

奏叶「行こう千菜。…千菜?どうかした?」

千菜「え…ううん、何でもない」

いけない…今日は考えないで楽しまなきゃ
私達は奏叶が教えてくれたお店に向かった
着いたところはお洒落な感じのお店
こうゆう所に来たのは初めて

湊「へぇ、さすが要領が良いなかな」

奏叶「千菜に喜んでもらいたいからね」

湊「お前…恥ずかしめもなくよくさらっとそうゆうこと言えるよな」

奏叶「なんでだよ。思ったこと言っただけだし」

湊「…いや何でもねぇわ。早く入ろうぜ」

中に入ると沢山の人が居て賑やかだった
こんなに人が沢山居ると不安になるけど奏叶と湊を見ていると安心できた
席は桜が絶好に見えるいい席に座った

奏叶「ここ、桜に関したメニューがあるんだよ」

奏叶と湊はさくさくっと決めてしまった
美味しそうなものが沢山…どれにしよう…
こうゆうところは優柔不断
迷っていると奏叶が声をかけてきた

奏叶「千菜は決まった?」

千菜「まだ…」

湊「意外に優柔不断なんだな」

さくっと湊にばれてしまった…

奏叶「ゆっくり選びなよ」

奏叶は本当にどんな時でも優しいな…

千菜「じゃ…これとこれ」

奏叶「桜えびのシーザーサラダと桜のスープね。デザートは?千菜甘いの好きでしょ?」

千菜「じゃぁ…あんみつ」

奏叶「了解」

店員さんが来ると奏叶がサラサラっと注文してくれた
待っている間もドキドキする…
他の子には当たり前の事なんだろうけどすごく楽しい…

湊「サラダとスープね。千菜らしいっちゃらしいけど、あんみつ好きなんだ?」

千菜「うん」

奏叶「俺も初めて知った。あんみつ美味しいもんね」

湊「嫌いなもんとかあんの?」

千菜「納豆とオクラ…ねばねばしてるから…」

湊「へぇ。因みにかなは未だにピーマン嫌いなんだぜ。子どもみたいだろ」

千菜「ピーマン…」

奏叶「湊!余計なこと言うなって!」


ピーマン苦手なんだ…
これから奏叶の事もっと知っていけたらいいな

店員「お待たせしました~」

運ばれてきた美味しそうな料理

千菜「スープ…うっすらピンク色で綺麗…」

湊「桜のスープか。うまそうじゃん」

奏叶「兎に角食べよう。いただきまーす」

桜を見ながらご飯…
奏叶事前に調べてたみたいだけど…センスいいんだな…

千菜「美味しい…」

湊「良かったじゃん」

ご飯が終わる頃あんみつも運ばれてきた
桜をモチーフにした春限定のあんみつらしい

千菜「可愛い」

奏叶「千菜、桜尽くしだね」

湊「花より団子だな」

なんて2人は笑った

湊「はーうまかった。たまにはこういうのもいいかもな」

奏叶「じゃそろそろ駿府城公園に行こっか」

席を立って会計に向かう
私は鞄からお金を払おうと思って財布を取り出した

奏叶「あ、いいよ。俺が払うからさ」

千菜「え?でも…」

奏叶「いいから。ここはかっこつけさしてよ」

千菜「……」

湊「…んじゃお言葉に甘えて
千菜先に出てようぜ」

湊はいたずらそうに笑って私の手を引いて店の外へ

奏叶「は!?おい湊!お前は自分で払えって!おい!」

湊はお構いなしに外に出た
その数分後に奏叶も会計を済ませて出てきた

湊「かな、ごちそうさん♪」

奏叶「お前な…今度何か奢れよ」

湊「考えとくわ♪」

奏叶「はぁ…なんで俺がお前の分まで…」

千菜「奏叶…ありがとう」

奏叶「ん?いいよ気にしないで
俺がそうしたかったんだし」

湊「早く駿府城公園行こうぜ~」

奏叶「お前はいつだって自分のペースだよな…行こう千菜」

差し出された奏叶の手に恐る恐る手を重ねた
奏叶の手は暖かくて心地が良かった
そして私達は駿府城公園へ

湊「ふあーぁ…なんか桜見てっと眠くなるよな」

奏叶「なんでだよ。でも城と桜の組み合わせって意外に合うもんだよな。どう千菜?」

千菜「うん…すごく綺麗」

奏叶「良かった。この駿府城はね二重の塀と綺麗な石垣に囲まれた公園で、俺達もよく知る歴史上の人物、徳川家康が天正13年に築城して大御所として晩年を過ごした駿府城の遺構なんだって
園内には家康の銅像とか4つの庭で構成された日本庭園と茶室を備えた紅葉山庭園なんていうのもあるし、他にも4月4日、5日には夜桜も楽しめるお祭りもあるし、秋には紅葉も楽しめるんだって」

千菜「へぇ…家康の…歴史深い公園なんだね」

湊「すげぇな。そこまで調べて言えるなんてよ
俺にはただの城だわ」

奏叶「歴史を知るのって面白いだろ?」

湊「俺には理解できねぇわ」

奏叶「すごい綺麗だね…折角だしさ写真撮らない?」

湊「は?女子かお前は」

奏叶「いいだろ別に…折角3人で来たんだし想い出に残るだろ?」

湊「へいへい、1枚だけだからな」

写真…
何回もお葬式を繰り返す度に写真は私にとって遺影みたいなものだと思い込むようになっていた

湊「おい千菜、早くここ来いよ」

奏叶「千菜大丈夫だよ
怖いことなんか1つも無いからさ」

奏叶の言葉を信じて私は自分の場所に立った
背景には駿府城と淡いピンク色の桜
まるで普通の高校生みたいに…
今までの出来事が悪夢だったかのように新しい想い出が増えていく

奏叶「はい撮るよー」

パシャ…

奏叶「うん、OK。後で送るね」

きっとこんな瞬間は2度と戻ってこない
だから今が一番輝いて見えるのかもしれない
その後、桜を見ながら公園内を歩いた

奏叶「ちょっと休憩しよっか」

私達は近くにあったベンチに腰を掛けた

湊「俺、トイレ行ってくる」

奏叶「あ、俺も行く。千菜は?」

千菜「ここで待ってる。もう少し桜見てたいから…」

奏叶「そっか、すぐ戻るから待ってて」

千菜「うん」

ベンチに腰掛け淡い空と桜を見上げた
気持ちがすごく落ち着いてる…
こんな気持ち今までなかった
楓にも…この桜は見えているのかな…
その時、私に声をかけてきた人がいた

「あれ?もしかして千菜ちゃん?」

千菜「――…りんちゃん…」
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