君が嫌いで…好きでした。

秋月

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君が嫌いで…好きでした。

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朝、千菜のアパート前で千菜を待つ奏叶と大きなあくびをしながら待つ湊

湊「ふわぁ…桜も散ってきたなー」

満開に咲いたピンクの桜もすでにもう散り始めていた

奏叶「そうだな…あっという間だよな」

湊「…それにしても今日あいつは来るのか?」

心配そうに訪ねる湊に奏叶は平然と答える

奏叶「千菜?なんで?」

湊「昨日チョコが死んだんだろ
あいつなら休みかねないし、お前も昨日は泊まらなかったみたいだし」

奏叶「うん…でも大丈夫」

湊「なんでそう言い切れる?今までのあいつなら」

奏叶「今までならね
でも今の千菜は今までと同じってわけじゃないからさ」

奏叶は笑って答えた

湊「…信用してるな」

奏叶「彼女だからね」

千菜「湊、奏叶おはよう…どうしたの湊」

湊「いや…朝から胃もたれしそう」

額に手をあて深くため息をつく
でも何も分からない千菜は湊に聞き返した

千菜「胃もたれ?」

奏叶「気にしなくていいよ千菜。それより大丈夫?」

千菜「うん…やっぱり寂しいけど…奏叶のおかげでちゃんと向き合えてる気がする」

奏叶「そっか。じゃ、行こっか
で、湊はいつまでそうやってんだよ」

湊「いや本当胃もたれ…バカップル」

奏叶「そう思うならお前も早く彼女作れよ」

湊「めんどくさい」

今日も空は青く、春風が流れる道を3人並んで歩く
チョコが居なくなって寂しいけど、2人が居てくれるから今日もここに居られる
青空を眺めながらあくびをする湊

湊「あー屋上で寝てぇ…」

そんな湊に奏叶は呆れ顔

奏叶「学校行く前からサボリの話かよ」

千菜「私は保健室行きたい…」

眠たいし、それに凜ちゃんとの話ももっと聞きたい

奏叶「千菜までサボる気!?」

湊「こいつ意外とサボリ癖あるよな
じゃ、今日は屋上で昼寝コースにしよう」

千菜「屋上でお昼寝…楽しそう」

奏叶「いやいやいや!ちゃんと授業出るからね!?」

タイプの違う3人なのにいつも会話も絶えないし笑い合うことも多い
この1分1秒が私にとって今、とてもかけがえのない宝物になってる
―…だけどその歯車は少しずつ少しずつ崩れていくのだった
今になって思う
チョコの死はほんのきっかけにしかなっていなかったんだ
本当の悲劇はもう始まっていたんだ

午前中の授業が終わり、お弁当を持って今日は屋上に向かった
外に出るとやっぱり気持ちいい
不安とか色んな事を忘れさてくれそうなほど
本当に何もかも忘れさせてくれたらいいのに…
私1人心の中でそんな事を思いながらお弁当を食べた

湊「それにしても今日も疲れた…やっぱりサボれば良かったな」

奏叶「んなこと言ってほとんどサボらないじゃんか
千菜もあんな事言ってたわりにちゃんと出たね」

湊「意外と真面目ちゃんだな」

ゴロンと寝転ぶ湊

湊「すげー空」

奏叶「寝るのかよ」

湊「かなと千菜も寝てみろよ
すげー気持ちいいぞ」

躊躇う私を置いて奏叶も湊の隣に寝転んで空を見上げた

奏叶「本当だ。空が凄いきれい。千菜!千菜もおいでよ」

湊「もったいねーぞ」

2人に誘われて私も羨ましくなって寝転んでみた

千菜「綺麗…」

湊「だろ?」

奏叶「気持ちいいねー」

見慣れている空のはずなのに見方によっていつもと違うように見える
空が遠いような近いような不思議な感覚
こんな空があるなんて知らなかった
それに奏叶と湊が一緒だからこの空も特別な宝物だな…

湊「なんか青春っぽくね?」

奏叶「お前が青春とか言うのかよ」

青春…私とは無縁だったその言葉がなんだか恥ずかしく思えた

千菜「バカじゃないの…」

湊「でた。千菜の口癖」

奏叶「久しぶりに聞いたかも
照れなくていいのに」

2人には私の気持ちがバレバレみたいで笑いながらからかってきた
今更だけどやっぱり奏叶と湊には敵わない…
でもこの瞬間は私の新しい大切な思い出になった
午後の授業中も窓の外の空を眺めては昼休みの事を思い出していた

そして放課後―…
いつものように奏叶と湊と一緒に靴を履き替えて玄関を出た

湊「あー金がねぇ…」

奏叶「いきなり現実的だな」

湊「今月もうピンチだよ。親父には言えねぇしやっぱりバイトするかなぁ…」

話ながら校門に歩いていく私達
でも私はある人を見つけて立ち止まった

奏叶「千菜どうしたの?」

湊「置いてくぞ」

あの車から出てきた人…

湊「何見てんの?」

奏叶「あれ…あの人って…」

湊「あ、鈴村先生が出てきた」

千菜「凜ちゃんだ…」

車から出てきた凜ちゃん
学校から仕事を終えた鈴村先生が笑顔で凜ちゃんの方に歩み寄っていった

湊「デートか」

奏叶「なんか面白そう
いつもやられてるからからかいに行ってやろ」

奏叶…鈴村先生の事まだ根に持ってたんだ
でも凜ちゃんにも会いたいし…
私達は鈴村先生と凜ちゃんの方に向かった
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