君が嫌いで…好きでした。

秋月

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君が嫌いで…好きでした。

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家に戻りテーブルの上にタオルを敷いてチョコをそっとおいてずっと手を添えた

奏叶「千菜寝ないの?」

千菜「怖いから…」

もしも寝ているうちにチョコが死んじゃってたら…

千菜「奏叶気にしないで寝ていいよ」

でも奏叶は毛布をかけてくれて私の隣に座った

奏叶「千菜が起きてるなら俺も起きてるよ」

奏叶…言葉は少ないけどその一言一言がちゃんと優しい
きっと1人だったら今、こんなに冷静で受け入れることなんて出来なかった
奏叶が居てくれるから…

千菜「…布団入りなよ」

奏叶「ありがとう」

布団の中に2人で入ってチョコの様子をずっと見ていた

朝―…
気がつくと私はベットの上で眠っていた

千菜「…チョコ!」

昨日いつのまにか寝ちゃったんだ
チョコは!?まさか…っ

奏叶「チョコなら大丈夫だよ
ほら、昨日よりは元気みたい」

キッチンの方から出てきた奏叶の手の上に動いているチョコの姿があった

千菜「チョコ…良かった…」

奏叶「ごめん、勝手に餌あげちゃった
あ、起きたならご飯にする?今作った所なんだ」

千菜「え?う、うん…」

奏叶は私にチョコを手渡してご飯の準備をし始めた
そういえば私なんでベットで寝てるんだろ…
もしかして奏叶が運んでくれた?
それにチョコの事もずっと見ていてくれたの?
それにご飯までなんて…本当お人好しなんだから…

奏叶「はい、できたよ。食べよう」

奏叶が作った朝ごはん…ご飯に味噌汁、目玉焼きにサラダ…なにこの完璧な朝ごはん…
私なんて朝はほとんど食べないか野菜ジュースなのに…

千菜「食べられるかな…」

奏叶「しっかり食べるの」

彼氏っていうよりお母さんって感じ…
そしてやっぱり奏叶のご飯は美味しい

奏叶「ははっ。こうしてると俺ら新婚さんみたいだね」

照れもせず笑って奏叶は言った
本当聞いてるこっちが恥ずかしいし…不意打ちでドキドキさせられる

千菜「馬鹿じゃないの…」

そして朝ごはんが終わると…

奏叶「さて、何しよっか」

きっと私が不安にならないように気を使ってくれてるんだろうな…奏叶らしい

千菜「…DVDでもみる?あんまりないけど…それに楓の趣味で…」

奏叶「いいね!何があるの?」

そうゆうことでチョコの様子を見ながらDVDを見始めたんどけど…30分くらい経つと膝の上に奏叶が倒れてきた

千菜「奏叶?」

見るとすやすや寝息をたてて寝ていた
一晩中私の為に起きててくれたんだ…
眠かったはずなのに…本当お人好し…

チョコ「きゅぅ…」

千菜「チョコ…私変だよね
この人が私の彼氏なんだよ
人の膝の上ですやすや眠ってさ…私も馬鹿かも
だってこの人の事凄く好きだから…」

チョコは小さくきゅぅと鳴いた
私の膝の上で寝息をたてている奏叶
一晩中寝てしまった私の変わりにチョコの事を見ていてくれた
いつも強がってて平気そうに笑って…
それが奏叶なんだろうな
外は春の風が舞い吹き、遠くから色んな音が聞こえてくる
澄んだ青い空が何もかも包み込んでくれそうな大きな空
寝ている奏叶の髪にそっと触れる
意外と柔らかい髪なんだ…
たったこれだけ…
ただ一緒に居られるだけで私は幸せなんだ
神様お願い…これ以上何も求めないからこの小さな幸せを私から奪わないで
その日、チョコに変わりはなくまた奏叶は泊まっていってくれた

千菜「…ちょっと気になったんだけど…奏叶お家の人いいの?」

奏叶「あぁ、大丈夫
ちゃんと許可取ってあるし、それに母さんの方は千菜に会いたがってるみたいだしね」

千菜「え…?」

奏叶「今度遊びに来てよ
母さん張り切ってケーキとか作るからさ」

千菜「う…うん…」

奏叶って本当あっさりしてるな…
それって結構大事な事でしょ…

――…そして次の日の日曜日のお昼頃
チョコは静かに息を引き取った
チョコは最後まで私の側から離れようとしなかった
ずっと側に居てくれた最後の大事な家族だった

千菜「チョコ…っ」

涙が止まらなかった
いつか終わってしまう命…分かっていたはずなのにこんなにも苦しくて悲しくて…
奏叶はそんな私をずっと抱き締めていてくれた

千菜「チョコは幸せだったのかな…」

奏叶「…幸せだったと思うよ
千菜が思ってるようにチョコもきっと千菜とのお別れは辛かったはずだから…チョコは千菜と一緒に居られてきっと幸せだったよ」

千菜「うん…」

奏叶「お墓つくってあげよう?
ちゃんとお別れしなきゃ」

千菜「うん…」

チョコ…チョコが居てくれたから私、寂しくなかったんだよ
いつも側で私の事を支えてくれてありがとう
今まで一緒に居てくれてありがとう
どうか安らかに眠ってね…
さよならチョコ…
作ったチョコのお墓の前で手を合わせ、私達はチョコに別れを告げた
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