双子の動物物語

秋月

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*侵入者

侵入者#1

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その日、私達は油断をして2人の人間の侵入を許してしまった
まるで私達の行動を熟知しているように、不意を突かれた感じだった
たった2人の人間とはいえ、武器を持ち既にこの山の中に居る
まずは皆を安全に避難させる事が私達の役目
動物達は慌てながら洞窟を目指して突き進んだ

紅「皆落ち着いて山神様の所まで進んで!」

青「動けない者や子ども達には手を貸して上げて!」

私達は自分達の力の無さに悔やむことしか出来なかった
こんなあっさりと侵入を許してしまうなんて…
山の守り神である私達が聞いて呆れる
私達が人間達を観察していたように、奴等もまた私達を山の外から観察していたんだ
そうじゃなきゃこんな結果にはならなかった…!
山を急いで登っていく動物達
私達は安全に皆が避難できるように手助けをしながら、小鳥達が侵入者の情報を運んでくるのを待っていた

紅「皆、頑張って!あと少しだから!」

皆の避難を最優先だということは分かっている
でもこうしてる間も刻一刻と人間達は迫ってきている
私達の大切な山を荒らしていると思うと気が気じゃなかった

ハク「もたもたしてると人間達に見つかるぞ!!」

紅「分かってる!でも皆の非難が先だよ!
それにきっと父さんと母さんが守ってくれる!」

青「紅!これで最後だよ!
それに偵察に行ってたクロも戻ってきた!!」

クロ「人間は2人
今はふた手に別れて行動してる
どんどんこっちに近付いてるぞ
乗れ!!急いで向かうぞ!!」

皆の避難を終えた私達はすぐにハクとクロに飛び乗り人間達の所へ向かった
私達とした事が人間の侵入を許してしまうなんて…っ
父さんと母さんなら絶対にこんな失敗はしないのに…!
私達に父さんと母さんと同じ力があれば…!

青「紅、どうするの?私達もふた手に別れる?」

紅「ううん、2人でやるよ!
まずは北に居る奴から!ハク!クロ!頼むよ!!」

私達もふた手に別れれば驚異を排除するのに時間はかからないけど、万が一青とクロに何かあったらと思うと不安だ
それに2人でやった方が確実に仕留められる
この山に危害をなすものは容赦なく殺す!
匂いからしてこの辺りのはずなんだけど…

青「居た紅!あそこ!」

まずは1人目…!
銃を持って辺りを警戒しながら山の中を進んでいた
みていると向こうも中々警戒心が強いみたい
けどここに居る私達の存在にはまだ気付いてないみたいね
当然か、人間の視力じゃここに居る私達に気付けるはずもない
人間の手に持っているあの武器は厄介だ
撃たれる前に劣りと攻撃に分かれて、隙をつき最初の攻撃であいつを殺す!
私達は動物の面を被り、ガクを手に持ち慎重に距離を縮めていった

紅「…青、ハク、クロ…行くよ!」

私の合図でハクとクロは一斉に人間に向かって飛び出していった
音も気配も悟らせずここまで至近距離を詰めたら、もう人間に成す術はないでしょう?
素早く動くし、銃口は1つしかないでしょう?

「……狼!?それにあれは…!?う…うわあぁ!!来るなぁ!!」

何発か銃声が山に響いたが戸惑いの中で撃つ銃などハクとクロのスピードでは当たらない
1人目の排除完了
早くもう1人も見つけなきゃ…
皆を危険にさらすわけにはいかない
銃を持ち山に暮らす私達を殺しに来たこいつ等全員許さない!

青「弱い人間が武器を持ち意気がって…」

人間の亡骸はあとで山の外へ捨ててやる
汚い人間の血や肉を山に残しておきたくない

紅「あとは1人。すぐに向かうよ!」

私達はもう1人の人間を探し再び走った
だけどここからが本当の悲劇だった

ハク「見つけたぞ」

もう1人はさっきの奴と反対方向に進んで居た
私達は茂みに身を隠して息を潜めた
あいつがさっきの仲間の1人…
さっきの奴と比べてだいぶ若く見える
銃を持ってるけどこの若さからして恐らく素人
私達の敵じゃない
それにこの先には父さんと母さんの洞窟に繋がる道がある
あいつをこれ以上先に進ませる訳にはいかない
さっきの奴と同様、隙をついて殺してやる!
その時1発の銃声が響いた
いきなり銃声が山に響いた事に私達は驚いた
しかもその銃口はこっちに向けられていてそして…青の腕に命中していた

青「くぅ…!!」

紅「青っ!」

すぐに傷口を見るとかなりの傷だった
しかも利き腕をやられた…!
これじゃ青は戦えない
驚くのはあの人間の銃の腕前!
この距離でたかが人間が、潜んでいた私達に気づいたと言うの…!?
それに死角に居るはずの私達を正確に狙った…!!
こんな事まぐれで出来るわけない
さっきの人間や今までの人間とは違う
こいつは何かやばい…!

クロ「糞が…よくも青を…!」

青が撃たれたことにより怒ったクロは今にも飛び出していきそうだった

紅「やめなクロ。
あいつは何かヤバい…
この距離で私達の居場所を正確に見極めて、1発で当ててきたんだ
あんた1人で行っても危険だよ」

青「紅ごめん…っ
油断した…でも私はまだやれる!」

青が油断したのも分かる
私だって油断してた!
青はまだやれるって言ってるけどこの怪我じゃ…早く治さないと悪化してしまう

紅「…だめ青。青はすぐにクロと一緒に父さんと母さんの所へ行って
父さんと母さんならすぐに直してくれる」

青「紅はどうするの?」

紅「あいつは私とハクでやる
大丈夫。すぐに終わらせて戻るから
クロ、青をお願い」

青「治ったらすぐに駆け付けるから無理しないでよ」

紅「分かってるよ。クロ、行きな!」

クロは青を乗せて静かにその場から離脱した
酷い怪我だった
相当痛い筈なのに虚勢張って…
父さんと母さんならすぐに治してくれる
だけどまさか青が撃たれるなんて
こんな事誰が予想できたって言うの…!

ハク「どうした紅。息が荒いぞ
そんなんじゃ敵にすぐバレるぞ」

紅「うん…」

しまった…私としたことが…臆するな
私が1発でも撃たれれば皆も…父さんも母さんも危ない…
ここでなんとしても食い止めなきゃいけない
私だって山神の娘
!この山を守る為に何百年と人間と戦ってきた!
こんな所で負けてたまるか!
それに大事な妹を傷つけられて生きてこの山から出られると思うなよ人間!

ハク「で、どうするんだ?」

カシャン…とお面をつけガクを片手に私はハクにまたがった

紅「あいつの銃の腕には充分注意して
スピードで勝負する。頼むよハク!!」

ハクの足はこの山で一番早い!
人間がそうそうとらえられるスピードじゃない

ハク「任せろ。てめぇこそ油断するなよ」

紅「分かってる。行くよ!」
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