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第25話 奇跡の少年
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そこはアラヤザの東側の山間。
かつてここには村があった。
五十年前の噴火で、ただひとりの生存者を残して壊滅した村。
もはや村であった名残はどこにもない。
薙ぎ倒された草木は再び茂り、かつて人が暮らした跡も埋もれてしまった。
そこに、クレスはいた。
ようやく見つけた。
傍には、ヴィオンの遺体が入った棺。
突然押し付けられた事実に戸惑い、逃げ出した先は、頼るべき人々ではなく、ただ自分が生まれた場所。
クレスは、埋もれた故郷にひとり佇んでいた。
私が現れたことにクレスが気づくまで、しばらく時間を要した。
私も声を掛けなかった。
呆然と地面にへたり込む彼を、ただ見つめていた。
「もしかしたら、みんな生き返るのかなって思ったんだけど。」
ようやく口を開いたクレス。
「駄目だったよ。」
力無く呟いた。
五十年前、五歳の彼が成し遂げた奇跡。
死んだ村をまるごと生き返らせてみせた、最初の奇跡。
でも、同じことは起こらなかった。
そして、ヴィオンもまた、生き返ることはない。
棺の中で、静かに横たわったまま。
「イアルさん、ごめんね。俺には無理だ。死んだ人を生き返らせるなんて。」
虚ろな瞳で、ヴィオンを眺めるクレス。
「昔の俺は、どうやってたんだろう。できてたはずなのに、どうしてできないんだろう。」
私は必死に言葉を投げかける。
「あなたならできるよ。今だって、一度私と転移しただけで、あなたはここまで来れるようになった。あなたは何だってできる。何にだってなれる。私を信じて。」
クレスが私を振り返る。
予想に反して、その瞳は優しかった。
「信じてるよ。だから、俺はここにいる。イアルさんの話を、俺は信じる。でも。」
クレスの言葉が私を突き刺す。
「イアルさんは、全部を教えてくれてはいないよね。」
ガラドールやロザリオは言った。
人が物語る時、そこには必ず、意思が介在する。
クレスは真っ直ぐに私を見つめる。
「あなたの記憶の中のお姉さんは、一度もあなたを見なかった。」
突然冷たい手で首筋を触れられたような、驚きと不快感。
「お姉さんはあなたにどんな顔で、何を話したの。何故、それをなかったことにするの。」
なかったことにした、切り捨てた姉の姿。
そして、私の姿。
「切り捨てたものこそ、あなたが見つめるべきものだ。」
かつてここには村があった。
五十年前の噴火で、ただひとりの生存者を残して壊滅した村。
もはや村であった名残はどこにもない。
薙ぎ倒された草木は再び茂り、かつて人が暮らした跡も埋もれてしまった。
そこに、クレスはいた。
ようやく見つけた。
傍には、ヴィオンの遺体が入った棺。
突然押し付けられた事実に戸惑い、逃げ出した先は、頼るべき人々ではなく、ただ自分が生まれた場所。
クレスは、埋もれた故郷にひとり佇んでいた。
私が現れたことにクレスが気づくまで、しばらく時間を要した。
私も声を掛けなかった。
呆然と地面にへたり込む彼を、ただ見つめていた。
「もしかしたら、みんな生き返るのかなって思ったんだけど。」
ようやく口を開いたクレス。
「駄目だったよ。」
力無く呟いた。
五十年前、五歳の彼が成し遂げた奇跡。
死んだ村をまるごと生き返らせてみせた、最初の奇跡。
でも、同じことは起こらなかった。
そして、ヴィオンもまた、生き返ることはない。
棺の中で、静かに横たわったまま。
「イアルさん、ごめんね。俺には無理だ。死んだ人を生き返らせるなんて。」
虚ろな瞳で、ヴィオンを眺めるクレス。
「昔の俺は、どうやってたんだろう。できてたはずなのに、どうしてできないんだろう。」
私は必死に言葉を投げかける。
「あなたならできるよ。今だって、一度私と転移しただけで、あなたはここまで来れるようになった。あなたは何だってできる。何にだってなれる。私を信じて。」
クレスが私を振り返る。
予想に反して、その瞳は優しかった。
「信じてるよ。だから、俺はここにいる。イアルさんの話を、俺は信じる。でも。」
クレスの言葉が私を突き刺す。
「イアルさんは、全部を教えてくれてはいないよね。」
ガラドールやロザリオは言った。
人が物語る時、そこには必ず、意思が介在する。
クレスは真っ直ぐに私を見つめる。
「あなたの記憶の中のお姉さんは、一度もあなたを見なかった。」
突然冷たい手で首筋を触れられたような、驚きと不快感。
「お姉さんはあなたにどんな顔で、何を話したの。何故、それをなかったことにするの。」
なかったことにした、切り捨てた姉の姿。
そして、私の姿。
「切り捨てたものこそ、あなたが見つめるべきものだ。」
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