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盛大な婚約式から数日たちました。
盛大と申しましても、親しい方のみの参加です。
王宮の謁見の間にて陛下の立ち会いのもと、第四王子のロルフ様と私の婚約式。
来られた方は私の両親と、私を可愛がってくださるランディック辺境伯ご夫妻とお歳を召したウォルリック卿。
普段、三人のことはニールおじさまとマリエおばさま、ウォルおじさまと呼ばせていただいてます。
そして今はお姉さまの嫁がれた遠い国へ。
長い道のりを馬車に揺られています。
「リリィ様、落ち着かれませ。」
「あ、…ええ、そうね。」
メイドのサラの呼びかけに手を頬に当てて答えました。
私は緊張から忙しなく体をごそごそと馬車の揺れとは別に揺らしています。
「お姉さまにお会いするのは久しぶりで、落ち着かなくて。」
「そう、ですね。…ですが、きっと立派になられたとお喜びになりますよ。なんと言っても第四王子の婚約者になられたのですから。」
「…そうね。…そうだといいわ。」
忙しなく手を揉む私の手をサラが握ってくれました。
「私共がおります。ご安心されてくださいませ。」
「え、ええ。ありがとう、サラ。」
「ディーナもいればもっと心強いのですが。私一人で申し訳ありません。」
私のメイドは二人でした。
ですが、もうひとりのメイドは結婚してしまい、私の側から離れてしまいました。
「ディーナには幸せになってほしかったもの。いつまでも私が甘えてはいけないわ。」
なかなか結婚するとは言わず私も一緒に説得したのです。
お相手は王宮の近衛兵としてお勤めの方で凛々しくて頼もしい殿方でした。
王都にお勤めなので結婚したら、領地を行き来する私からどうしても離れなければ行けません。
それを泣いて嫌がってました。
「断った理由が私から離れたくないなんて。心配かけてばかりだったものね。」
サラとディーナ、私はふたりを姉のように慕っていました。
ふたりに可愛がられて3番目の妹のような気分でした。
「リリィ様、私もディーナの気持ちがわかります。私もずっとお仕えしたいと思っております。」
「ありがとう、サラ。でもお相手が見つかったらちゃんと選んでね。後悔しないようにして。」
「それが、私には何も縁がないんですよね。全くモテません。」
隣に座るサラの肩に頭を乗せました。
「不思議ね。こんなに優しくて可愛いのに。」
「ディーナからは私はにぶちんだからとからかわれてました。」
「あら、私も。」
鈍さに呆れられて、ディーナから花言葉のお勉強や殿方との会話のお勉強を沢山受けました。
「困りましたね。やはりディーナがいないと。ふふ、」
「しっかり者のディーナがいないと私達だけじゃ不安だわ。くすくす、」
今頃、くしゃみをしているかしら?
馬車に揺られる間、ディーナの話ばかりしていましたから。
ガタガタと揺れていた馬車の歩みが遅くなりました。
窓に差し込む日差しがかげっているのでもうすぐ目的地なのだと分かります。
小窓のカーテンをめくって御者に声をかけました。
「もうすぐ?」
「おや、お嬢様。お尋ねなら侍女をお使いなさい。」
笑うような御者の声に私も笑いました。
「あら、だめだったかしら?」
「いえいえ、相変わらずお転婆ですね。ははは。」
明るい声に私もサラもくすくすと笑って、中へ座り直しました。
代わりにサラが立ち上がって御者に声をかけます。
「それで、もうすぐ着くのですか?」
「ええ、もうすぐ関所です。おふたりとも、中へ。お顔を隠してください。」
「わかりました。」
「はーい。」
「リリィ様、伸ばしませんよ。」
「はい。」
サラは叱るのにくすくすと笑って、外からも御者の嬉しそうな笑い声。
私も顔が緩んでいました。
楽しいひと時はお仕舞いです。
気を引き閉めて扇を顔に当てて淑女らしく、背筋を伸ばしつんとすまして座り直します。
「…いつまで持つかしら?」
自分のことながら心配です。
ぽつりと呟くと隣のサラがまたくすくすと笑いました。
「頑張ってくださいませ。」
「頑張る。」
扇を顔に当てて全部隠して答えました。
その方が楽ですもの。
盛大と申しましても、親しい方のみの参加です。
王宮の謁見の間にて陛下の立ち会いのもと、第四王子のロルフ様と私の婚約式。
来られた方は私の両親と、私を可愛がってくださるランディック辺境伯ご夫妻とお歳を召したウォルリック卿。
普段、三人のことはニールおじさまとマリエおばさま、ウォルおじさまと呼ばせていただいてます。
そして今はお姉さまの嫁がれた遠い国へ。
長い道のりを馬車に揺られています。
「リリィ様、落ち着かれませ。」
「あ、…ええ、そうね。」
メイドのサラの呼びかけに手を頬に当てて答えました。
私は緊張から忙しなく体をごそごそと馬車の揺れとは別に揺らしています。
「お姉さまにお会いするのは久しぶりで、落ち着かなくて。」
「そう、ですね。…ですが、きっと立派になられたとお喜びになりますよ。なんと言っても第四王子の婚約者になられたのですから。」
「…そうね。…そうだといいわ。」
忙しなく手を揉む私の手をサラが握ってくれました。
「私共がおります。ご安心されてくださいませ。」
「え、ええ。ありがとう、サラ。」
「ディーナもいればもっと心強いのですが。私一人で申し訳ありません。」
私のメイドは二人でした。
ですが、もうひとりのメイドは結婚してしまい、私の側から離れてしまいました。
「ディーナには幸せになってほしかったもの。いつまでも私が甘えてはいけないわ。」
なかなか結婚するとは言わず私も一緒に説得したのです。
お相手は王宮の近衛兵としてお勤めの方で凛々しくて頼もしい殿方でした。
王都にお勤めなので結婚したら、領地を行き来する私からどうしても離れなければ行けません。
それを泣いて嫌がってました。
「断った理由が私から離れたくないなんて。心配かけてばかりだったものね。」
サラとディーナ、私はふたりを姉のように慕っていました。
ふたりに可愛がられて3番目の妹のような気分でした。
「リリィ様、私もディーナの気持ちがわかります。私もずっとお仕えしたいと思っております。」
「ありがとう、サラ。でもお相手が見つかったらちゃんと選んでね。後悔しないようにして。」
「それが、私には何も縁がないんですよね。全くモテません。」
隣に座るサラの肩に頭を乗せました。
「不思議ね。こんなに優しくて可愛いのに。」
「ディーナからは私はにぶちんだからとからかわれてました。」
「あら、私も。」
鈍さに呆れられて、ディーナから花言葉のお勉強や殿方との会話のお勉強を沢山受けました。
「困りましたね。やはりディーナがいないと。ふふ、」
「しっかり者のディーナがいないと私達だけじゃ不安だわ。くすくす、」
今頃、くしゃみをしているかしら?
馬車に揺られる間、ディーナの話ばかりしていましたから。
ガタガタと揺れていた馬車の歩みが遅くなりました。
窓に差し込む日差しがかげっているのでもうすぐ目的地なのだと分かります。
小窓のカーテンをめくって御者に声をかけました。
「もうすぐ?」
「おや、お嬢様。お尋ねなら侍女をお使いなさい。」
笑うような御者の声に私も笑いました。
「あら、だめだったかしら?」
「いえいえ、相変わらずお転婆ですね。ははは。」
明るい声に私もサラもくすくすと笑って、中へ座り直しました。
代わりにサラが立ち上がって御者に声をかけます。
「それで、もうすぐ着くのですか?」
「ええ、もうすぐ関所です。おふたりとも、中へ。お顔を隠してください。」
「わかりました。」
「はーい。」
「リリィ様、伸ばしませんよ。」
「はい。」
サラは叱るのにくすくすと笑って、外からも御者の嬉しそうな笑い声。
私も顔が緩んでいました。
楽しいひと時はお仕舞いです。
気を引き閉めて扇を顔に当てて淑女らしく、背筋を伸ばしつんとすまして座り直します。
「…いつまで持つかしら?」
自分のことながら心配です。
ぽつりと呟くと隣のサラがまたくすくすと笑いました。
「頑張ってくださいませ。」
「頑張る。」
扇を顔に当てて全部隠して答えました。
その方が楽ですもの。
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