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13※ロルフ
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困ったことになった。
笑みを絶やさずとも心の中はため息をついた。
リリィが可愛い。
それに尽きる。
普段は妖精をモチーフにふわふわする装いなのだが、今日は露出が少ないのに体のラインが浮き出るようなマーメイドラインのドレス。
小柄なことから幼く見えてもしっかりと張った腰と胸。
長い袖の先から少し出た桜色の爪。
首と襟元はきっちり隠れて、逆に真珠のように輝く背中を見せていた。
リリィがこちらを見ていない時は見とれてまたため息。
呑気に可愛いと浸りたいのに今、自分の前にいるのはこの国の第一王女グラッセだった。
「よそ見は許さないわ」
ぐっと腕を引かれた。
輝く黄金の髪、そしてリリィと同じアイスブルーの瞳。
見かけは真逆。
背が高くふっくらした胸元を大胆に押し付けて来るのをかわす為にステップを踏んで離れた。
「失礼」
こちらからも腕を引いてグラッセを回転させてまたリリィを視界に入れる。
「そんなに婚約者が可愛いわけ?」
苦々しげに呟く王女のリードをそつなくこなす。
“もちろん”
意味を込めてにこっと微笑んだ。
曲が終わり輪の中から連れ出す。
「もう一曲、踊りたいわ」
「いけません。第一王女のお立場がございますから」
「私がいいと言ってるのよっ」
腹立だし気な様子を見せるが相手にする気はない。
柔らかく微笑んで次のダンスを申し込んでいた男達に手を渡した。
「触らないで!私はロルフと踊りたいの!」
「姉上、いい加減になさってください。」
第二王子が小声で制する。
「ロルフ、申し訳ない。」
お気の毒に。
「メランプス、お気にされるな」
務めは果たしたと不機嫌な王女を置いてその場は離れた。
第二王子とは親しい。
外交上の繋がりが多く、仕事が絡むと少々信用ならないところがあるが関係は良好。
婚約者のもとへ戻るとリリィは嬉しそうにしていた。
「おかえりなさいませ」
「放ったらかしでごめん」
そう言うと赤い顔を隠してふるふると頭を揺らす。
「近いと緊張してしまいますもの」
「嫌かな?」
「いいえ。お、お側も、う、嬉しゅうございます。本当に、とても」
扇を持つ手まで震わせて赤くしてる。
照れ隠しの為に意味もなく咳払いをした。
俺の婚約者は可愛すぎる。
笑みを絶やさずとも心の中はため息をついた。
リリィが可愛い。
それに尽きる。
普段は妖精をモチーフにふわふわする装いなのだが、今日は露出が少ないのに体のラインが浮き出るようなマーメイドラインのドレス。
小柄なことから幼く見えてもしっかりと張った腰と胸。
長い袖の先から少し出た桜色の爪。
首と襟元はきっちり隠れて、逆に真珠のように輝く背中を見せていた。
リリィがこちらを見ていない時は見とれてまたため息。
呑気に可愛いと浸りたいのに今、自分の前にいるのはこの国の第一王女グラッセだった。
「よそ見は許さないわ」
ぐっと腕を引かれた。
輝く黄金の髪、そしてリリィと同じアイスブルーの瞳。
見かけは真逆。
背が高くふっくらした胸元を大胆に押し付けて来るのをかわす為にステップを踏んで離れた。
「失礼」
こちらからも腕を引いてグラッセを回転させてまたリリィを視界に入れる。
「そんなに婚約者が可愛いわけ?」
苦々しげに呟く王女のリードをそつなくこなす。
“もちろん”
意味を込めてにこっと微笑んだ。
曲が終わり輪の中から連れ出す。
「もう一曲、踊りたいわ」
「いけません。第一王女のお立場がございますから」
「私がいいと言ってるのよっ」
腹立だし気な様子を見せるが相手にする気はない。
柔らかく微笑んで次のダンスを申し込んでいた男達に手を渡した。
「触らないで!私はロルフと踊りたいの!」
「姉上、いい加減になさってください。」
第二王子が小声で制する。
「ロルフ、申し訳ない。」
お気の毒に。
「メランプス、お気にされるな」
務めは果たしたと不機嫌な王女を置いてその場は離れた。
第二王子とは親しい。
外交上の繋がりが多く、仕事が絡むと少々信用ならないところがあるが関係は良好。
婚約者のもとへ戻るとリリィは嬉しそうにしていた。
「おかえりなさいませ」
「放ったらかしでごめん」
そう言うと赤い顔を隠してふるふると頭を揺らす。
「近いと緊張してしまいますもの」
「嫌かな?」
「いいえ。お、お側も、う、嬉しゅうございます。本当に、とても」
扇を持つ手まで震わせて赤くしてる。
照れ隠しの為に意味もなく咳払いをした。
俺の婚約者は可愛すぎる。
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