19 / 78
19
しおりを挟む
走っていたアンバルは歩みをやめて、すっとその場に立ち止まるとしゃがみこみました。
「お、と」
お尻から座るのでタイロン様はバランスを崩してアンバルから飛び降ります。
私はたてがみにしがみついて落とされないように捕まりました。
タイロン様が降りた隙に手綱を取り返してアンバルを立ち上がらせます。
「アンバル、いい子ね」
でもアンバルは怒っていて、タイロン様に前足を立ち上がって踏みつけようとしました。
手綱を強く引き、ぱんっと鞭を叩いてやめさせます。
「いけない、だめよ」
ぶるるっ、ぶるるっと荒ぶり、二度嘶くと諦めて大人しくなりました。
「見事なお手前」
「無理矢理はやめてくださいませ」
どっどっと馬の駆け足の音が寄ってきています。
「リリィ、何があった?」
ロルフ様とメランプスお義兄様がお二人でお側に。
「タイロン様は私の青毛に乗りたかったみたいです」
「はあ?」
元々、私以外の騎乗は出来ないとお伝えしてあります。
メランプスお義兄様がタイロン様をじろっと睨み付けため息をひとつ。
『姉上から離れたのか』
『王女の命により。申し訳ありません』
遅れて第二王子も。
馬上には横乗りに座るサフィア様と仲良く二人乗りされてます。
「リリィ、我慢できずに馬にまたがったか。相も変わらずお転婆だ」
「あなた、それは誉めてますの?貶してますの?」
「え、あ」
「誉めるならちゃんと仰ってくださいまし」
「わ、わかってる!」
「私のこともですわよ?」
第二王子がむくれた顔で頷かれてます。
サフィア様は逆に嬉しそうにしていて、お二人の仲の良さが伝わりました。
「レディ・リリィ、申し訳ない。素晴らしい馬に興味を押さえられなかった」
「そうですか。だめだってば、やめて」
隙あらばタイロン様に噛みつこうとする青毛を押さえます。
嫌がらせに鼻をふんと鳴らして威嚇までして。
「もう、やめてったら」
つん、とそっぽを向いて。
「しばらく構えなかったから拗ねてるのかな」
「はい、国では毎日のように乗ってましたから。あ、ロルフ様にまでやめて」
近づくロルフ様にもガブガブと噛む素振りを見せました。
「はは、俺が一番アンバルに嫌われてるからね」
「そうですわね、何と言ってもリリィの婚約者ですもの。格別でしょうね」
サフィア様がそそと微笑んでいます。
「ははは、やはりレディ・リリィを守るユニコーンですね」
タイロン様の呟きに皆さんが頷いて笑いました。
あのあとはお茶会に戻らず好きなだけアンバルを走らせました。
モヤモヤしていた気分もスッキリです。
イライラしやすかったのも運動不足かもしれません。
最近、閉じこもりがちでしたから。
夜はパーティーなので早めに切り上げなくてはいけなかったのですが、ぎりぎりまでアンバルと過ごしました。
「リリィ、そろそろ戻ろうか」
「はい、ロルフ様」
ロルフ様と駆け回ってお互い汗をかいてました。
湯あみをせねばなりません。
「楽しかったかい?」
「はい、とっても」
満足しました。
アンバルも機嫌が良くてロルフ様が手が届くほど近く隣に並ぶのも嫌がらず嬉しそうです。
「お、と」
お尻から座るのでタイロン様はバランスを崩してアンバルから飛び降ります。
私はたてがみにしがみついて落とされないように捕まりました。
タイロン様が降りた隙に手綱を取り返してアンバルを立ち上がらせます。
「アンバル、いい子ね」
でもアンバルは怒っていて、タイロン様に前足を立ち上がって踏みつけようとしました。
手綱を強く引き、ぱんっと鞭を叩いてやめさせます。
「いけない、だめよ」
ぶるるっ、ぶるるっと荒ぶり、二度嘶くと諦めて大人しくなりました。
「見事なお手前」
「無理矢理はやめてくださいませ」
どっどっと馬の駆け足の音が寄ってきています。
「リリィ、何があった?」
ロルフ様とメランプスお義兄様がお二人でお側に。
「タイロン様は私の青毛に乗りたかったみたいです」
「はあ?」
元々、私以外の騎乗は出来ないとお伝えしてあります。
メランプスお義兄様がタイロン様をじろっと睨み付けため息をひとつ。
『姉上から離れたのか』
『王女の命により。申し訳ありません』
遅れて第二王子も。
馬上には横乗りに座るサフィア様と仲良く二人乗りされてます。
「リリィ、我慢できずに馬にまたがったか。相も変わらずお転婆だ」
「あなた、それは誉めてますの?貶してますの?」
「え、あ」
「誉めるならちゃんと仰ってくださいまし」
「わ、わかってる!」
「私のこともですわよ?」
第二王子がむくれた顔で頷かれてます。
サフィア様は逆に嬉しそうにしていて、お二人の仲の良さが伝わりました。
「レディ・リリィ、申し訳ない。素晴らしい馬に興味を押さえられなかった」
「そうですか。だめだってば、やめて」
隙あらばタイロン様に噛みつこうとする青毛を押さえます。
嫌がらせに鼻をふんと鳴らして威嚇までして。
「もう、やめてったら」
つん、とそっぽを向いて。
「しばらく構えなかったから拗ねてるのかな」
「はい、国では毎日のように乗ってましたから。あ、ロルフ様にまでやめて」
近づくロルフ様にもガブガブと噛む素振りを見せました。
「はは、俺が一番アンバルに嫌われてるからね」
「そうですわね、何と言ってもリリィの婚約者ですもの。格別でしょうね」
サフィア様がそそと微笑んでいます。
「ははは、やはりレディ・リリィを守るユニコーンですね」
タイロン様の呟きに皆さんが頷いて笑いました。
あのあとはお茶会に戻らず好きなだけアンバルを走らせました。
モヤモヤしていた気分もスッキリです。
イライラしやすかったのも運動不足かもしれません。
最近、閉じこもりがちでしたから。
夜はパーティーなので早めに切り上げなくてはいけなかったのですが、ぎりぎりまでアンバルと過ごしました。
「リリィ、そろそろ戻ろうか」
「はい、ロルフ様」
ロルフ様と駆け回ってお互い汗をかいてました。
湯あみをせねばなりません。
「楽しかったかい?」
「はい、とっても」
満足しました。
アンバルも機嫌が良くてロルフ様が手が届くほど近く隣に並ぶのも嫌がらず嬉しそうです。
21
あなたにおすすめの小説
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。
毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。
婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』
鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
--
とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜
入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】
社交界を賑わせた婚約披露の茶会。
令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。
「真実の愛を見つけたんだ」
それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。
愛よりも冷たく、そして美しく。
笑顔で地獄へお送りいたします――
死に戻りの元王妃なので婚約破棄して穏やかな生活を――って、なぜか帝国の第二王子に求愛されています!?
神崎 ルナ
恋愛
アレクシアはこの一国の王妃である。だが伴侶であるはずの王には執務を全て押し付けられ、王妃としてのパーティ参加もほとんど側妃のオリビアに任されていた。
(私って一体何なの)
朝から食事を摂っていないアレクシアが厨房へ向かおうとした昼下がり、その日の内に起きた革命に巻き込まれ、『王政を傾けた怠け者の王妃』として処刑されてしまう。
そして――
「ここにいたのか」
目の前には記憶より若い伴侶の姿。
(……もしかして巻き戻った?)
今度こそ間違えません!! 私は王妃にはなりませんからっ!!
だが二度目の生では不可思議なことばかりが起きる。
学生時代に戻ったが、そこにはまだ会うはずのないオリビアが生徒として在籍していた。
そして居るはずのない人物がもう一人。
……帝国の第二王子殿下?
彼とは外交で数回顔を会わせたくらいなのになぜか親し気に話しかけて来る。
一体何が起こっているの!?
投資の天才”を名乗る臣民たちよ。 その全財産、確かに受け取った。 我が民のために活かそう』 〜虚飾を砕く女王の経済鉄槌〜
しおしお
恋愛
バブルに沸くアルビオン王国。
「エルドラド株」を持たぬ者は時代遅れ――
そう嘲笑いながら、実体のない海外権益へ全財産を注ぎ込む貴族たち。
自らを“投資の天才”と称し、増税に苦しむ民を見下す日々。
若き女王リリアーナは、その狂騒を静かに見つめていた。
やがて始まる王室監査。
暴かれる虚偽契約。
崩れ落ちる担保。
連鎖する破綻。
昨日まで「時代の勝者」を気取っていた特権階級は、一夜にして無一文へ。
泣きつく彼らに、女王はただ微笑む。
――“皆様の尊いご投資、確かに受け取りましたわ”
没収された富は国庫へ。
再配分された資源は民へ。
虚飾を砕き、制度を再設計し、王国を立て直す。
これは復讐譚ではない。
清算と再建の物語。
泡沫の王国に、女王の鉄槌が下される。
【完結】婚約破棄はいいのですが、平凡(?)な私を巻き込まないでください!
白キツネ
恋愛
実力主義であるクリスティア王国で、学園の卒業パーティーに中、突然第一王子である、アレン・クリスティアから婚約破棄を言い渡される。
婚約者ではないのに、です。
それに、いじめた記憶も一切ありません。
私にはちゃんと婚約者がいるんです。巻き込まないでください。
第一王子に何故か振られた女が、本来の婚約者と幸せになるお話。
カクヨムにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる