伯爵令嬢、溺愛されるまで~婚約後~

うめまつ

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ウドルの体が重いです。

力が抜けて抱き締めていた手がぐったりしてます。

死んじゃったのかもしれません。

大声でわんわん泣きました。

ウドルが死んだと思って。

ずるずると私の上からウドルが引きずられて横へ。

三人の騎士が目の前に。

一人はまだウドルが気に入らないようで倒れて動かないのにまだ蹴り続けてます。

辺りは少し開けた広場のようです。

ひと気もなくここがどこかも分かりません。

もうダメだと涙が止まらない。

ウドルも。

私を助けようとして。

動いてません。

きっと死んじゃったんです。

ごめんなさいという思いと恐怖で頭がぐるぐるします。

目の前の三人は何かそれぞれが喋りながら私の頭の髪を掴んで引きずって歩かせます。

「立て。王女をお待たせするな」

「ったく。めんどくせぇ!こいつも!」

どっとまたウドルが蹴られて、小さくうぐっと呻き声が聞こえました。

「い、生きてる」

「こいつはこのくらいで死なない、はは」

「よ、良かった、いたっ、痛い!」

髪ごと引っ張られて宙吊りです。

裸足のつま先立ちでよろよろとぶら下がってます。

「何を安心してるんですか?あなたはこれからが本番ですよ。王女を楽しませないと」

「ろ、ロルフ様ー!ヨルンガー!お父様ぁ!誰かぁ!」

必死でまた叫びます。

もしかしたら誰か届くかもと。

三人の笑い声。

私に負けないくらい大きな笑い声。

「アンバル!アンバルー!助けて!こっち来て!」

負けないように顔を真っ赤にして叫ぶと、後ろから、どぉんと轟音が。

はっとして三人も。

どこからか続けて、どぉん、どぉんと何度も。

いつまでも止まない轟音に手が離れて私はその場に座り込みました。

振り返ってよく見れば奥に厩舎。

落ち着いて聞いてみればいくつもの馬のいななき。

「アンバル!アンバル!助けて!」

すぐに馬小屋に走りました。

後ろから捕まえられて地面に放り投げられてもずっとアンバルの名前を叫びました。

『に、逃げるぞ』

『そいつを捕まえろ!』

三人から首根っこを捕まれて引きずられてもまだ。

『うるさいぞ!』

ばちんと頬を叩かれても。

ここから連れ出されても、アンバルがずっと暴れてくれたらきっと誰か気づいてくれると期待して。

ウドルを見つけてくれる。

私のことも。

そう思って口を塞がれるまで。

『黙らせろ!』

『あの中に何がいるって言うんだ?さっさと逃げ、』

どぉんという轟音とバリバリと雷みたいな音。

ドスン、ドスンといういつもの機嫌の悪い時の蹄の音。

私の馬。

一番大きくて賢くてちょっと嫉妬深い自慢の。

『行くぞ!』

三人のうちの一人に担がれてしまい、そのまま走り出しました。

抵抗するけど敵わなくて、軽々と運ばれて悔しいです。

きっとアンバルは穴が開いたけど体が出られなかったんです。

大きすぎるから。

どうにかして壁を壊したんだと思うとさすが私の馬と心の中で誉めました。

『なんなんだ、あれは。気味悪い』

『妖精なんてまさかな、はは』

『そんなことどうでもいいから王女の遊びに付き合うぞ。絶対お怒りだ。いつもよりいたぶって見せないとな』

『あー、もう走り疲れたよ。鬼ごっこなしでクライマックスでよくね?王女も待ちくたびれたろう』

『だな』

小走りで三人が中庭に駆け抜けてウドルが連れ出してくれたのにと悔しくなります。

頬が痛いし、小脇に抱えられてお腹の圧迫が苦しいです。

抵抗して暴れると上から強めの拳骨が来ます。

痛くて暴れる勇気が出ません。

 
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