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48※ロルフ
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『すいません、上から手伝えと言われたんですが。細かいところを聞きそびれまして。良かったら教えてもらえないですか?』
黙って警戒する女達。
『そんなのしなくてもどうせ中庭で始まるわ』
『王女は汚い年寄りがお嫌いよ。こんなよぼよぼに何か頼むはずないわ』
『分からないわ。痛め付けるためにこのじじいを増やすのかも』
『何でもいいけど関わりたくないわ。信用出来ない。嫌よ。行きましょう』
使用人同士の本当にお互いに信用ならないといった空気に私は前を向いて横目を向けるだけで観察し続けた。
『怒られるのが怖くて今さら聞けませんし、伝えた上の者が見当たらなくて。このままじゃ王女から鞭を食らっちまう。若いお嬢さん方、お願いです』
拝み倒す素振りで頭を下げた。
『あはは、勝手に鞭打たれたらいいじゃない。知らないわ』
低姿勢にお嬢さんと呼ぶには少し歳がいっているのに。
年寄りを装う私達にはそのくらいなのかもしれない。
タイロンのご機嫌取りに女達らは満更でもないと態度が緩く変わる。
メランプスがタイロンを気に入っていたのがよくわかる。
騎士としての力ばかりじゃない。
抜け目のなさがある。
『どうしても鞭打ちを避けたいんで。お嬢さん方には手間賃として、良かったら少しばかり』
懐からチャリチャリと金物の音を立てて見せびらかすと目の色が変わった。
『そうね、気前のいいおじさんになら教えてもいいかなぁ』
『待ってっ、だめよ』
遮る一人にダメかと思ったら、いくら?と値段交渉を始めた。
乗っかって全員で。
渡さないなら言いつけのひとつも出来ないもうろくじじいだと報告してやると脅迫も。
『しっかりしたお嬢さん方だ』
一人に渡していきなりタイロンはその女の手を掴んで教えろと凄む。
『お前らは貰ってトンズラのつもりだろう?こっちゃぁ、顔見りゃあ分かるんだ。お前はもう貰ったからには共犯だな。銅貨一枚でべらべら喋ると報告するぞ?』
『い、言ってないわよ!』
『一緒さぁ。貰ったことには変わりねぇ。お前らはコイツ一人を生け贄にすればすむと思ってるのか?全員まとめて報告するさ。このもうろくじじいと一緒に鞭打ち受けるか?あん?』
言うならお互い様、秘密にしてやるし全員に小遣いをやるよと金物の音を鳴らしながら囁けば女達が苦虫を潰しながらペラペラと喋りだした。
顔をそらして耳だけを傾けて。
話の内容に息があがる。
傷のついた手のひらを強く握りしめた。
怒りで全身が震えた。
しかし暗がりに離れて立つ私に女達は何も気にした素振りはない。
『お喋り雀ちゃん、ありがとよ』
『ちょっと!お金!』
『もったいねぇ、じゃあな』
ふざけるなと騒いで腕にしがみついて文句を言うと、がしゃんと金属音を立てて目隠しを開いた。
『俺が分かんねえのかよ、馬鹿女ども。お前らは言っちゃいけねえ奴に喋ったんだよ』
『ひ!タイロン様!』
『何でここに、』
『グラッセ王女から俺には口止めされていたろ?陛下や王子方への報告がいくから。ばーか、どけよ』
数人が後ずさりに転んだ。
『イベントも俺がいない日を狙ってやるつもりだったんだな』
腕にしがみついて一人の頭を掴んで乱暴に突き飛ばす。
『胸くそ悪』
『……へ、陛下なら王女の行いをお許しに、……今までもそうだった』
『残念、他国の貴族は別だ。今まで国内だから放置した。お前も俺も、王家にとっちゃ虫だからな』
心当たり全員が息を飲む。
『同盟国の、しかも王家の婚約者にそんな鬼畜なことしたんなら、王女の進退は置いといてお前らは確実に縛り首だね。王女も今後の見せしめにそうなるかもな。国際問題、舐めんなよ』
庶民からここまで成り上がった俺が言うんだから間違いないねと言うと女達の悲鳴が上がる。
『や、やだ、どうしよう、』
『そんな』
『逃げんなら今じゃねぇ?それとも鞭打ち覚悟で報告行くかぁ?小物にかまってらんねぇ。とっとと消えろ』
脱兎の如く走り去る女達を置いてタイロンも私の腕を掴んで走り出した。
「よく堪えました。すぐに向かいます」
「り、リリィを、早く」
「ええ、そうしましょう。自分もあのユニコーンの乙女を気に入ってるんで。馬に好かれる奴は好きですよ」
「向かうのは、中庭か?」
「悩んでます」
人質を取るか取り返すかと呟いた。
黙って警戒する女達。
『そんなのしなくてもどうせ中庭で始まるわ』
『王女は汚い年寄りがお嫌いよ。こんなよぼよぼに何か頼むはずないわ』
『分からないわ。痛め付けるためにこのじじいを増やすのかも』
『何でもいいけど関わりたくないわ。信用出来ない。嫌よ。行きましょう』
使用人同士の本当にお互いに信用ならないといった空気に私は前を向いて横目を向けるだけで観察し続けた。
『怒られるのが怖くて今さら聞けませんし、伝えた上の者が見当たらなくて。このままじゃ王女から鞭を食らっちまう。若いお嬢さん方、お願いです』
拝み倒す素振りで頭を下げた。
『あはは、勝手に鞭打たれたらいいじゃない。知らないわ』
低姿勢にお嬢さんと呼ぶには少し歳がいっているのに。
年寄りを装う私達にはそのくらいなのかもしれない。
タイロンのご機嫌取りに女達らは満更でもないと態度が緩く変わる。
メランプスがタイロンを気に入っていたのがよくわかる。
騎士としての力ばかりじゃない。
抜け目のなさがある。
『どうしても鞭打ちを避けたいんで。お嬢さん方には手間賃として、良かったら少しばかり』
懐からチャリチャリと金物の音を立てて見せびらかすと目の色が変わった。
『そうね、気前のいいおじさんになら教えてもいいかなぁ』
『待ってっ、だめよ』
遮る一人にダメかと思ったら、いくら?と値段交渉を始めた。
乗っかって全員で。
渡さないなら言いつけのひとつも出来ないもうろくじじいだと報告してやると脅迫も。
『しっかりしたお嬢さん方だ』
一人に渡していきなりタイロンはその女の手を掴んで教えろと凄む。
『お前らは貰ってトンズラのつもりだろう?こっちゃぁ、顔見りゃあ分かるんだ。お前はもう貰ったからには共犯だな。銅貨一枚でべらべら喋ると報告するぞ?』
『い、言ってないわよ!』
『一緒さぁ。貰ったことには変わりねぇ。お前らはコイツ一人を生け贄にすればすむと思ってるのか?全員まとめて報告するさ。このもうろくじじいと一緒に鞭打ち受けるか?あん?』
言うならお互い様、秘密にしてやるし全員に小遣いをやるよと金物の音を鳴らしながら囁けば女達が苦虫を潰しながらペラペラと喋りだした。
顔をそらして耳だけを傾けて。
話の内容に息があがる。
傷のついた手のひらを強く握りしめた。
怒りで全身が震えた。
しかし暗がりに離れて立つ私に女達は何も気にした素振りはない。
『お喋り雀ちゃん、ありがとよ』
『ちょっと!お金!』
『もったいねぇ、じゃあな』
ふざけるなと騒いで腕にしがみついて文句を言うと、がしゃんと金属音を立てて目隠しを開いた。
『俺が分かんねえのかよ、馬鹿女ども。お前らは言っちゃいけねえ奴に喋ったんだよ』
『ひ!タイロン様!』
『何でここに、』
『グラッセ王女から俺には口止めされていたろ?陛下や王子方への報告がいくから。ばーか、どけよ』
数人が後ずさりに転んだ。
『イベントも俺がいない日を狙ってやるつもりだったんだな』
腕にしがみついて一人の頭を掴んで乱暴に突き飛ばす。
『胸くそ悪』
『……へ、陛下なら王女の行いをお許しに、……今までもそうだった』
『残念、他国の貴族は別だ。今まで国内だから放置した。お前も俺も、王家にとっちゃ虫だからな』
心当たり全員が息を飲む。
『同盟国の、しかも王家の婚約者にそんな鬼畜なことしたんなら、王女の進退は置いといてお前らは確実に縛り首だね。王女も今後の見せしめにそうなるかもな。国際問題、舐めんなよ』
庶民からここまで成り上がった俺が言うんだから間違いないねと言うと女達の悲鳴が上がる。
『や、やだ、どうしよう、』
『そんな』
『逃げんなら今じゃねぇ?それとも鞭打ち覚悟で報告行くかぁ?小物にかまってらんねぇ。とっとと消えろ』
脱兎の如く走り去る女達を置いてタイロンも私の腕を掴んで走り出した。
「よく堪えました。すぐに向かいます」
「り、リリィを、早く」
「ええ、そうしましょう。自分もあのユニコーンの乙女を気に入ってるんで。馬に好かれる奴は好きですよ」
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「悩んでます」
人質を取るか取り返すかと呟いた。
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