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タイロンの復讐
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思い出したくもねぇ。
酒浸りの父親とさっさと逃げた母親。
兄貴も姉貴も借金から逃げるためにいち早く逃げた。
俺もだ。
残ったのは父親ひとり。
あとは知らね。
知るのはキツイから知りたくねぇ。
そうやって一家離散しても文字も外国語も多少出来る俺は貿易商の見習いになれた。
住み込みで雇われて近所のこいつと仕事の合間に喋るのは楽しかった。
幸せな空気がたっぷりの家族。
こいつらの家の子になりたいくらい。
大きくなったらこいつの妹らと結婚したかった。
この家族に好かれるために必死だった。
でも親父さんが怪我をしてこいつも顔にデカイ傷をこさえたら、あの家族はうちの家族みたいな顔になった。
少し違うけど。
あいつら、お互い大事にしていた。
すげぇよ、俺達はとっとと逃げたのに。
またこいつらが好きになって俺の本当の家族の代わりになった。
だから俺の家族を傷つけた奴を探してとっちめてやろうって決めた。
こっそり聞いた。
悲しませたのは誰だって。
お袋さんも親父さんも口が固いね。
だけど、俺って殺伐とした貴族の息子よ?
言わなくても言葉尻から態度、視線、表情、全部何かのヒントって知ってるんだ。
ただのガキじゃねえつもり。
おまけに商人。
雇い主の親父さん達に鍛えられて算段も得意。
王宮に秘密があるのはすぐに分かった。
あとは騎士見習いで潜り込んだ。
雇い主の親父さんは俺の賢さを惜しんでいたが、もっと金になると思ったのか援助までして送り出してくれた。
今もあの親父さんとは懇意だ。
俺の触れる範囲で近衛の取引はあそこを使ってる。
もう何倍にもして返した。
これ以上は無理と言ったら、ちょっと脅された。
恩があるだろうって。
あるけど限度があるのよ?
大口を紹介しても問題ないくらい大きくなってね、の一言で終わり。
さすがに笑って向こうも納得した。
「タイロン、言葉の勉強は難しいカ?」
「何?興味あるのか?」
「あル。教えてホシイ」
「どの国?」
「お姫さん」
「ふーん。なんで?」
「庭師トシテ来てイイって」
「まじか?」
「ああ、行きタい」
頷くから本当なんだろうな。
あのユニコーン娘はこいつがお気に入りだ。
なんたって命の恩人。
「……教えたくない」
「ん?ナンデダ?」
「言いたくねぇ」
「ソウカ、分かっタ」
仕方ないとまた庭仕事を始めた。
「……多分、お前は外国には行けねえよ?」
「ナンデダ?」
「知りすぎた」
王家の秘密。
処分されないのは温情だ。
「……ソウカ。……そうダな」
落ち込む顔にムカつく。
「あのユニコーン娘がいいのか?」
こっちはお前らが俺の家族のつもりなのに。
いや、黙ってたから知らねぇの当たり前だが。
妹らも全員にプロポーズしたから誰も待っちゃいねぇ。
マジで当たり前。
あの頃の俺は女の扱いがアホだ。
お袋さんにまでプロポーズしたアホ。
「……アイスブルー。……王家の証だっタから。……お姫さんのアイスブルーを見ルと親父の言い付けを思い出ス。王家に仕えろって」
「ぶわっ、相変わらず!」
この馬鹿。
その王家がお前らに何をした!
「もういいや、今日は帰る」
返事も聞かずに桶を投げて帰った。
ばーか、ばーか!
王家がなんだよ。
くそくらえ。
俺の家族を二つも壊した。
税の減軽を求めてもはね除けて心労から酒浸りになった親父。
そりゃぁ、金策の下手さは目も当てらんねぇけど。
いや、チビの俺には親父の手腕は判断できねぇ。
どっちに非があるのか分からねぇし?
でも幸せ家族のお前らも傷つけたのは間違いねぇ。
王家なんか糞だ。
畜生。
酒浸りの父親とさっさと逃げた母親。
兄貴も姉貴も借金から逃げるためにいち早く逃げた。
俺もだ。
残ったのは父親ひとり。
あとは知らね。
知るのはキツイから知りたくねぇ。
そうやって一家離散しても文字も外国語も多少出来る俺は貿易商の見習いになれた。
住み込みで雇われて近所のこいつと仕事の合間に喋るのは楽しかった。
幸せな空気がたっぷりの家族。
こいつらの家の子になりたいくらい。
大きくなったらこいつの妹らと結婚したかった。
この家族に好かれるために必死だった。
でも親父さんが怪我をしてこいつも顔にデカイ傷をこさえたら、あの家族はうちの家族みたいな顔になった。
少し違うけど。
あいつら、お互い大事にしていた。
すげぇよ、俺達はとっとと逃げたのに。
またこいつらが好きになって俺の本当の家族の代わりになった。
だから俺の家族を傷つけた奴を探してとっちめてやろうって決めた。
こっそり聞いた。
悲しませたのは誰だって。
お袋さんも親父さんも口が固いね。
だけど、俺って殺伐とした貴族の息子よ?
言わなくても言葉尻から態度、視線、表情、全部何かのヒントって知ってるんだ。
ただのガキじゃねえつもり。
おまけに商人。
雇い主の親父さん達に鍛えられて算段も得意。
王宮に秘密があるのはすぐに分かった。
あとは騎士見習いで潜り込んだ。
雇い主の親父さんは俺の賢さを惜しんでいたが、もっと金になると思ったのか援助までして送り出してくれた。
今もあの親父さんとは懇意だ。
俺の触れる範囲で近衛の取引はあそこを使ってる。
もう何倍にもして返した。
これ以上は無理と言ったら、ちょっと脅された。
恩があるだろうって。
あるけど限度があるのよ?
大口を紹介しても問題ないくらい大きくなってね、の一言で終わり。
さすがに笑って向こうも納得した。
「タイロン、言葉の勉強は難しいカ?」
「何?興味あるのか?」
「あル。教えてホシイ」
「どの国?」
「お姫さん」
「ふーん。なんで?」
「庭師トシテ来てイイって」
「まじか?」
「ああ、行きタい」
頷くから本当なんだろうな。
あのユニコーン娘はこいつがお気に入りだ。
なんたって命の恩人。
「……教えたくない」
「ん?ナンデダ?」
「言いたくねぇ」
「ソウカ、分かっタ」
仕方ないとまた庭仕事を始めた。
「……多分、お前は外国には行けねえよ?」
「ナンデダ?」
「知りすぎた」
王家の秘密。
処分されないのは温情だ。
「……ソウカ。……そうダな」
落ち込む顔にムカつく。
「あのユニコーン娘がいいのか?」
こっちはお前らが俺の家族のつもりなのに。
いや、黙ってたから知らねぇの当たり前だが。
妹らも全員にプロポーズしたから誰も待っちゃいねぇ。
マジで当たり前。
あの頃の俺は女の扱いがアホだ。
お袋さんにまでプロポーズしたアホ。
「……アイスブルー。……王家の証だっタから。……お姫さんのアイスブルーを見ルと親父の言い付けを思い出ス。王家に仕えろって」
「ぶわっ、相変わらず!」
この馬鹿。
その王家がお前らに何をした!
「もういいや、今日は帰る」
返事も聞かずに桶を投げて帰った。
ばーか、ばーか!
王家がなんだよ。
くそくらえ。
俺の家族を二つも壊した。
税の減軽を求めてもはね除けて心労から酒浸りになった親父。
そりゃぁ、金策の下手さは目も当てらんねぇけど。
いや、チビの俺には親父の手腕は判断できねぇ。
どっちに非があるのか分からねぇし?
でも幸せ家族のお前らも傷つけたのは間違いねぇ。
王家なんか糞だ。
畜生。
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