伯爵令嬢、溺愛されるまで~婚約後~

うめまつ

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タイロンの復讐

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むしゃくしゃしてたから囚人のアキレス腱は切った。

どうせこいつらは処分だ。

歩く、いや、逃げ出す足はいらねぇ。

全員だ。

胸当ての血を手拭いで擦った。

汚ねぇ。

このままじゃ中庭に行けねぇ。

それもむしゃくしゃする。

「止血しとけ」

「はい」

俺の下の奴らがてきぱきと動く。

手足は便利だ。

大事にしねぇとな。

「あとで酒でも飲め」

テーブルに多目の金を置いていく。

喜べばいいのに。

なんで眉を下げて困ってんだ、こいつら。

「……なんだよ?」

いつもより口調が荒くなる。

庶民風な言葉遣いは舐められるからさけてんのに。

「顔色が悪いですよ。少しは休んでください」

一人が意を決した態度で進みでて俺にそう告げた。

「……分かった。そうする」

部下の顔を見たあと牢の中で苦しむあいつらを見た。

「だが、こいつらが苦しむのは溜飲が下がる。休もうと思うんだがなぁ」

ゴミを睨み付けていると部下達の頷く気配。

こいつらも親類縁者がやられた。

婚約者もいたのかもな。

何にしろ俺達は復讐が楽しくてしょうがない。

そういう奴らだけがここに出入り出来る。

「まだ死なすな」

「もちろんですよ」

「ええ、まだまだ」

部下達の半笑いの答えに俺の口許が緩んだ。

お互い縁者の誰が被害を受けたかは言わない。

社交界に復帰する娘らもいるのだから。

察しても知らん振りする。

だから俺達は仲間だ。

俺達全員、ゴミに向ける憎しみの眼差しは同類。

かつん、かつんと靴音が響く。

今夜のお客さんだ。

長く生かして苦しめるためにいつもより弱い鞭を用意させる。

水責めでも火責めでもお好きなものを。

ここではこいつらを苦しめて生かすだけが最低限のルールだ。

ざまぁ。

はは、楽しくてしょうがねぇや。

あれから何度も部下達に休めと言われるが、でも見たいんだよなぁと呟くと全員そうですよねぇと同意する。

こいつらも休みの癖にちょくちょく来てるからな。

そんな中でも無遅刻無欠勤でここに来てるのは俺だけだが。
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