人狼の団長、見つけた番はすでに溺愛されている《団長はお預け中、たまに待てが出来ないで押し倒す》

うめまつ

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わざわざペット枠と自ら口にするのは抵抗あったが、無駄にこの三人と揉めてエヴ嬢への拒絶を引き起こしたくない。
この有事に戦力を欠くのもいただけない。
色事のために、預かった部下の命を危険に晒すなどプライドが許さない。
それとは別に、ラウルに関しては不能の術式を仕掛けてくる危険があった。
今回、ヤンを味方につけてこの三人と同等となった。強情なラウルへ立ち位置を認めさせたこととアモルへ敵意を移せたのは堯幸だ。
一気に人は変わらない。
エヴ嬢ひとりの関心を引くだけではなく、全員絡めていくつもりだった。
思わぬ収穫に内心喜んだ。
天幕に戻るとエヴ嬢はエドを含む大人数と天幕の側の空き地で王都の子供がする遊びに興じていた。
色々ルールがあるが、単純に地面に枠を引いてその中で鬼ごっこをするというものだ。
待っている間エド達との会話の中でどうやら10年間寝たきりで遊んだことがないと分かり、皆で相手をしてやっているようだった。

「楽しかったか?」

「とっても!こんなに大人数で遊んだのは初めてです!」

その場にクレイン領の者も混ざっていて、もっと早く教えてあげればよかったと話していた。

「過保護すぎたようですね」

側にいるばかりでなくこうやって自由に過ごす時間も大切だったと苦笑いするヤンに、これからだと答えた。
この6年間、詰め込みの教育で忙しかったことと、ここに来てから討伐と鍛練で忙しくしてたのだからしょうがないと思えた。
ヤン達も充分尽くしている。
エヴ嬢をめぐってそれなりに対抗心が涌くが、彼らの献身や愛情は好ましかった。

「私も混ざるかな。君らとも対決してみたい」

「そうですね。楽しそうです」

ヤンは笑って承諾した。二人もそれぞれ頷く。
エドが三人にルールを教えてやっている。
スミスがチームを分けたりと動いて、その合間でエヴ嬢に話しかけた。

「他にも何か遊んだのか?」

「はい!枠の中に石を投げるのとか、手遊びとか。カードも!賭けのやり方とか。サイコロを使うのとか。あといっぱいお話もしました。王都にはいっぱいお店があって楽しいって。男向けと女向けのお店があるって。みんなはしょうかんが好きって言ってました。私は行けないらしくて残念です。あ、でも私はお仕事向きだって誉めてくれました。きっと一番になれるって」

不穏な言葉の連続にびきっと固める。
聞こえた回りの奴等も固まる。
隣で話をしていたエドとヤン達も。
あっという間に広がる重い空気にエヴ嬢も察して、不安がりおろおろと回りを見る。

「わた、私、また何か間違えた?ごめんなさい」

「いや、エヴ嬢は皆の話を聞いて知らないことを増やしただけだ。今はそう言う話があるというだけで気にしなくていい。皆が固まったのは…何というか。…そうだな。…娼館の話は女性と話すのに適さない話題なんだ。特にエヴ嬢のような身分の高い女性を目の前でそういう風に見立てるのはとても悪い。かなりひどいマナー違反だ。そいつのマナーの悪さに私が怒ってる。男して失格だから」

噛み砕いて教えると、そうなんだと目をしばたたかせて頷いた。

「エヴ嬢は気にせずヤン達と遊んできなさい」

「あの、でも。私は教えてもらって楽しかったから怒らないでください。私が聞きたがったせいだし、副団長が止めたのに」

誰をとは言わず口の軽い誰かを庇っている。

「大丈夫だ。たとえ誰かわかってもマナーについてちょっと勉強させるだけだ。少し話をするだけ。ほら、行っておいで。遊びながらルールを教えればいい」

優しく笑うとホッとしてヤン達を連れて地面に引いた枠へと行った。

「…さて、エド。…どの馬鹿だ?一人じゃなかろう。全員だ。特に一番になれると言った奴は。他に問題があった者も名前を言え」

青ざめるエドがため息をはいた。
体に叩き込んでやろう。
エドの報告に、思ったより人数が多い上に、うちの団の者だけではなくクレイン領の者まで混ざっている。
恐らくうちの者だけだと考えているヤン達がゲームをしながら厳しい顔でこちらを睨んでいた。
うちだけ恨まれるのは割りに合わない。
どいつもこいつもいくらエヴ嬢が気さくだからと調子に乗りすぎだ。

「凝らしめついでにこのゲームを午後の合同鍛練にしよう」

ベアード殿に事情を話して許可をもらい、クレイン領の者も混ぜてゲームをすることにした。
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