人狼の団長、見つけた番はすでに溺愛されている《団長はお預け中、たまに待てが出来ないで押し倒す》

うめまつ

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競争

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本人も他人にものを教えるのは苦手と認識して嫌ってる。
今回、スミスがもう少し成長するなら任せることが増やせる。
ぜひ必死でやってもらおう。

「リーグ、お前はもう少しやる気を出せ」

「競争苦手なんすよぉ。先輩に叶うはずがないしー」

眉を八の字に下げて唸る。
スミスに遠慮してやる気を無くしてるのは分かった。

「ラウルはエヴ嬢のために学ぶんだ。時間を無駄にさせるな」

「あ、そっか。すいません。がんばります」

こいつは競争が嫌いで誰かのために頑張るのを好む。
あと、めんどく下がり。
対立するくらいなら他人に手柄を譲る。
つまり簡単に手を抜く奴だ。

「とっとと始めろ」

「わっかりましたー!ラウルはどんくらい泳げるんすかー?」

「普通にあの岸まで行けるよ」

「おー!そりゃぁ、いっすねー。速さとか見たいんでちょっと行ってみてください」

「了解」

二人の打ち解けた様子にダリウスを放ったままスミスが落ち込む。

「スミス、府抜けてるのか?」

「いえ!大丈夫です!ダリウス、甲冑を着て早速、岸まで遠泳だっ!」

「は!?えっ、ちょっ、スミス先輩っ。やめましょーよ?いきなりはやばいっすよ?もし溺れたら、ダリウスさんを水中で支えるのはスミス先輩っすよ?体格差えぐいっす。いざって時、オレも動くつもりだけど甲冑込みならマジで自信ないっすよ?」

「いや、大丈夫だ。口出しするな」

「何かあってからじゃ遅いっす。手加減してください」

無視して自身も甲冑を着始めた。
スミスの強気な反論に、初心者に無茶はやめてくださいと諭している。
速攻で甲冑水泳をするつもりなのかと呆れ、私の苦い表情に気づくと慌てて着衣水泳からと妥協した。
無茶をする奴だ。
ダリウスにはちと貧乏クジだったが許せと心に止める。

「さて、私は君らだ」

二人とも何をされるんだと顔色が悪いがスミスほどそんな怖いことはさせないぞ?
私は優しいからな。
桶を用意したので顔をつけさせる。
どのくらい息を止められるか、目を開けられるかを試す。
水に浸からせて浮くかどうか確認して、初っぱなから着衣水泳のエヴ嬢はやはり沈んだ。

「こ、これ!本当に泳げるようになるんですか!?お!おぼれ、る!」

何度目かの水没に首根っこ掴んで浮かせると叫んだ。

「最初は真っ裸でするもんだ。革とはいえ鎧付の着衣なのだから他の奴らより難しいのは諦めろ」

「ええ~っ」 

「この間、溺れただろうが。上達しないと水辺の討伐に連れて行けん」

「ついて行っていいんですか?」

不安げな瞳がこちらを伺う。

「状況次第だ」

精力への執着が落ち着いてるなら戦力としては連れて行きたい。
番としては閉じ込めたい。

「リーグ、ヤンも教えてやれ。飲み込みがいい。着衣が出来たからラウルと同じ調子でいけるだろう」 

「はーい、わっかりましたー。ヤンさーん」

こっちこっちと軽く手で招く。ラウルはもう着衣水泳を終えて手甲を着けて試している。ラウルの様子を見極めながら少しずつ着けて進めるようだ。腰巻きひとつのヤンも二人の見よう見まねでそれなりに形は出来ていた。試しに着衣で岸から岸へと泳げば難なくこなした。
奥で相変わらず焦ったスミスがあれもこれもと武具を着けさせて次々と言葉少なく要求している。
スミスの無茶ぶりに慌てることなく、いつもの無表情でこなし自分から説明を求めたり確認したりと要領よく動いていた。

「あぁ、いいなぁ」

ひとり居残りが悲しいようだ。
口まで水面に沈めてごぼごぼと呟いた。

「胸と腹に空気を入れろ。浮けば次の段階に行ける」

「はぁい」

ヤンがいなくなって気が緩んで間延びした返事をする。
可愛いから許す。
こっちの顔が緩むのを引き締めた。
背中から支えて水面に浮かせる。
手を離せば沈んだ。

「がぼっ、ぶはぁ!な、なんでぇ?」

「こっちが聞きたい」

なぜそこまで沈む。
筋肉まみれの重たい団員でももう少し浮くのに。

「水が怖いか?」

「…怖くないです。平気です」

そっぽを向いたので嘘だとわかる。
他の奴らなら死ぬ気でやれの一言だが、エヴ嬢は私の大事な番だ。
下からいじけた目で見つめられただけで胸がきゅぅっと掴まれ顔が緩む。
だが、今回は真面目に教えたい。
速攻で溺れたのを思い出して、にやける口許を手の甲で擦って隠した。

「首に捕まれ」

肩まで水面に浸かり、背負う形で首に捕まらせる。

「何するんですか?」

「少し遊んでやる。特別だ。他の奴らにはしないからな」

エヴ嬢なら勝手にそう解釈するだろうから先に釘をさす。
こういう世話をすると誤解されるのも嫌だ。
緊急でもないのにいかつい真っ裸の男を背に乗せるなんぞ想像しただけでも気持ち悪い。
ダリウスや今の私のような大柄な男を組敷くのを好む男色家が少なからずいるが、私の趣味ではない。
私以外とやれと思っている。
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