人狼の団長、見つけた番はすでに溺愛されている《団長はお預け中、たまに待てが出来ないで押し倒す》

うめまつ

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エヴ嬢ならこんなことしない。
一度、毛皮を触りたいと子供っぽくねだっただけだ。
いつも泥と血にまみれ甘えも泣き言も言わず、立て続けの討伐に忙しい時は休みはいらないと突っぱねてジェラルド伯と一緒に叱って無理やり休ませた。

「ねえ、ロバート様はご存じなのでしょう?ねえ、正直に仰って?」

声を低くひそめながら、身を乗り出して向かいのロバート殿に胸元の谷間を見せつけていて呆れた。
エヴ嬢に鍛えられたロバート殿は顔色ひとつ変えずに、笑みを浮かべ切った肉を口に運ぶ。

「番のことは団長にお尋ねした方がよろしいのではないか?私もカリッド殿に聞いてみたい」

誘惑を物ともしないが、言葉に窮しているロバートにジェラルド伯が助け船を出す。

「カリッド殿、どうでしょうか?それとも、やはり秘密に?人狼は囲い込んで閉じ込めると有名ですからね」

ペリエ嬢に教えるなと暗に伝えてきた。
知ることを知っていると言わず、秘密にするのかと問う。

「ペリエ嬢、私の番は身も心も美しい。それだけです」

「カリッド様、もっとどんな方なのか知りたいんですのよ?お二人だってきっとそうですわ。教えてくださいまし。おいくつの方?お名前は?お色は?カリッド様に相応しい方なのかしら、そうでないなら。…ねぇ?うふふ、」

揶揄する気配に全身が逆立つ。昔はもう少し子供らしさがあったが、やはりあの母親の娘だ。

「誤解されるな。素晴らしい方だ。共にいると頭が下がる。相応しいと望まれるように努力するのは私だ。私の番をあなたが知る必要ない」

握ったカラトリーを強くテーブルに置いた。

「カリッド様?なんですの?そんなに声を荒げて」

背けていた顔を向けてペリエ嬢の非難がましい視線を冷たく見つめ返す。

「下世話な話題は嫌いだ」

「なっ、げ、下世話なんて、私はただどんな方かお尋ねしているだけですのよ?よくある話題ではありませんか?」
「元から目の前にいない人物の美醜を話題に出すのは好まない」

「王都では普通のことですのよ。カリッド様だってお話にかたっていらしたもの」

「周囲を止めないだけだ。私が話を振ったことはない」

思い出して気がついたようだ。
あっと小さく呻いた。

「それに、私の番が相応しくなければなんだ?何を言いたい?何をする気だ?その首、ねじ切るぞ」

ひっ、と息を詰めて小さく悲鳴をこぼす。
ご令嬢相手にここまで口調を荒げたのは初めてだ。
私の豹変ぶりにジェラルド伯とロバート殿が固まっている。

「陛下とパティ公爵の忠告を受けたはずだ。一切関わるなと。あなたと一度も何かあったことはない。エスコートしたことも手紙のやり取りもない」

「えっ?!」

その一言にロバート殿が驚いて声を上げた。

「一度も?!」

「ありません」

手紙に返信したことない。
そのまま送り返している。
三年前、デビュタントのエスコートも断った。
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