人狼の団長、見つけた番はすでに溺愛されている《団長はお預け中、たまに待てが出来ないで押し倒す》

うめまつ

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甘味

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その間も寄ってくる者に今はやめてくれと頼み、余分に作って差し入れる屋台や回りの者に、自分で計算をして買いたいんだと伝えると残念そうだが大人しく下がる。

「本当にあしらい上手で助かります」

「お断り上手です」

感心するヤンとエヴ嬢になんとも言えなくなる。
断ればいいだけなのに。
持って帰るのかと思えば回りと同じように広場のテーブルに座ることになった。
ラウル達と合流し、人だかりを分散させたいと別のテーブル席についた。
それでも座ったまま声が届く近さ。
彼らも囲まれているが、人だかりはリーグが上手くさばいているようだ。
若いのにここまで出来るのは珍しい。

「これも王都仕込みですかね」

「市民の避難や誘導で人だかりに慣れているだけだ。だが、あいつは特別だ」

感心するヤンにそう答えた。
上手いことにリーグは、ゆっくり過ごしたいからあまり寄らせないようにと気のききそうな連中を集めて働かせていた。
本当にそういう目端がよくきく。

「リーグ、使え」

「ありがとうございます。助かります」

彼らに握らせるものがいるだろうと財布を預けるとすばやく渡しに行って、返しに戻る。

「駄賃も抜いとけ」

「いいっす」

驚いて遠慮する手を掴んで持たせる。

「お前の働きだ。弟妹に使え」

「うっす。じゃない、はい。ありがとうございます」

「お前の年齢でここまで動ける奴はいない。よくやっている」

「い、いいっす。俺なんか。そういうの、もうお腹いっぱいっす。団長までやめて下さいっ」

さっさとラウル達のテーブルへと離れていく。夕闇の暗さでよく見えないが顔を赤くしてるようだ。

「待って、これ。リーグ、はいどうぞ」

「へ?」

座ったリーグが振り返ってエヴ嬢から甘味を受け取った。

「この地域の甘いものが気になるって言ってたでしょう?買っておいたの。食べて?」

「え?いや、エヴ嬢が食べてから残りで、」

「リーグ、いいんだよ。エヴ様は甘味をそこまで好まないから。ヤンも俺達もあれば食べるくらい」

「いや、でも悪いっす。あ、もしかして団長が欲しかったから買ったんじゃないすか?」

「私も買ってまで食べない。出されたら食べる程度だ。エヴ嬢はお前に買いたかったそうだ」

袋に入った甘味を持ったまま、ぽかんと目を丸くしている。

「一人で食べきれないなら一緒に食べる。でも、その焼き菓子は日持ちするから持って帰って大丈夫だよ」

ヤンが微笑みながら手の袋を指さした。

「え、ちょ。も、もうっ。あ、あ、甘やかさないでほしいっすっ」

テーブルに突っ伏して悶えてる。

「ねえ、リーグ。今度は飴を買いに行こう?色んな形を作ってたの。楽しそうだったよ?一緒に選ぼうね?私は甘いのたくさん食べられないからリーグ食べてね?」

「わ、分かりましたぁ!分かったから触らないでっ、だめっす!」

背中をつんつん突ついてねだっていた。

「甘味はそんなに苦手か?」

「好きだけど。なんか、うえっぷってなって食べるのがキツくなります」

「ぶっ、ふふ、うえっぷか。それは胸焼けというかな。次からそう言うといい」

「…今の子供っぽかった?」

私とヤンをジト目で見つめて、渋顔のヤンは頷く。

「…はぁい」

「ふふ、そうしょぼくれるな。可愛いからそのままでもいいが、治さないと子供扱いだ。それは嫌だろう?言葉遣いはそのうち慣れる。リーグも勉強中だ」

気分を変えて食事にしようと促せば、頑張りますと真面目な顔で答えて渡した包みを受け取った。
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