107 / 315
買い物
しおりを挟む
「なら俺が店や屋台で買ってきましょうか?今日のところはそれで、また明日からは市民へ騒がないように周知させてお店巡りするってのは?回りは今日だけと思ってこの騒ぎみたいっすよ」
賛成しそれで決まった。
リーグと数人で買い出しのつもりだったが、買い物をしたがるエヴ嬢を優先してふた手に別れて買いに行くことになった。
口が上手いからと私がエヴ嬢とヤンに付き添うと決められた。
「あしらい上手でしょ?口が」
屋台が集まる広場の入口でラウルはそう言ってリーグとダリウスで買い出しに向かった。
ラウルの言う通り次々と声をかけてくる領民をさばいていた。
楽しまれているから騒がないようにと言うだけなのだが。
現金を持つのが初めてのエヴ嬢は屋台に並んで手の小銭を何度も数えている。
「間違ってないかな?いち、に、さん、」
回りや店の者が気を使って順番を譲ろうとするが、並びたいと答えて近くに並ぶ者にお勧めを聞いて会話をして楽しんでいた。
屋台の親父がたっぷりサービスしようとするので、お金の分だけほしいと頼んだ。
「せっかく本人が計算したのに合わなくなるとがっかりする」
納得し注文の分だけ出してもらった。
皆と同じものを欲しがっていると伝えたが、それでもボリュームはサービスしてある。
「これだけで腹一杯になりそうだな」
「他のも買いたいけど」
「皆で食べるから大丈夫だ。他にも並ぶといい」
「色々あります。あちらに甘味が並んでます。あの丸い焼き菓子はここの特産です」
「いらない。お肉がいい。あのおっきいの食べてみたい」
甘味より肉らしい。
やっぱりこっち、とうろうろしている。
また明日も来ると言えば、じゃぁあれは明日にすると即決した。
甘味の屋台を選ぶので、なぜと問うとリーグに買うと言う。
腹に邪気が溜まった。
「ちびちゃん達にいつも甘味を買って帰るそうです。この辺りの甘味を知りたがってました。持って帰れないけどお土産話にするって。私のことも話してくれるかな、いっぱい話してほしい」
余程リーグの弟妹に夢中だ。
リーグではないと分かっているけど面白くない。
兄上の子供達ともっと親しくしていればよかったと後悔したが、ある程度の付き合いしかなくもうかなりでかい。上は今年15の成人だ。
それに貴族社会では子供の世話は女人の仕事。
父親の兄でさえ教育について多少口を出す程度でそんなに関わりがなく、叔父の私などもっと縁遠くてリーグのように密な関係で話題があるわけではない。
たまに誕生日や身内の集まりの他に、剣の相手をしたりお茶会に呼ばれて話し相手になるくらいだった。
それでも試しに話題を振ってみたら意外と喜んで聞いてくる。
「王都だとそうなんですね」
貴族として至って普通の話なのに喜ぶ。
貴族社会でさえあまり関わりがないと分かった。
こっそりヤンに尋ねると家から出たことがないと答えた。
「なぜ?少しくらい出ても良いのではないか?」
「ある程度の貴族教育を終えてからとの判断です。ご身分とこのご容姿ならどこに行っても目立つのはご理解頂けますか?隠しても高名なクレイン家の愛娘と付近の領に有名で、他家からの縁談が多いのです」
「どこから?」
「旦那様にお尋ねください。私共には知らされていません」
邪気を蓄えた視線に呆れ顔で返してきた。
「ある程度、予想はつく」
クレイン家と関わりのある他領、歳の釣り合う男ならすぐに分かる。
妙な顔をするヤンから目を離して、私達の間にいるエヴ嬢を見つめるとまた小銭を数えていた。
賛成しそれで決まった。
リーグと数人で買い出しのつもりだったが、買い物をしたがるエヴ嬢を優先してふた手に別れて買いに行くことになった。
口が上手いからと私がエヴ嬢とヤンに付き添うと決められた。
「あしらい上手でしょ?口が」
屋台が集まる広場の入口でラウルはそう言ってリーグとダリウスで買い出しに向かった。
ラウルの言う通り次々と声をかけてくる領民をさばいていた。
楽しまれているから騒がないようにと言うだけなのだが。
現金を持つのが初めてのエヴ嬢は屋台に並んで手の小銭を何度も数えている。
「間違ってないかな?いち、に、さん、」
回りや店の者が気を使って順番を譲ろうとするが、並びたいと答えて近くに並ぶ者にお勧めを聞いて会話をして楽しんでいた。
屋台の親父がたっぷりサービスしようとするので、お金の分だけほしいと頼んだ。
「せっかく本人が計算したのに合わなくなるとがっかりする」
納得し注文の分だけ出してもらった。
皆と同じものを欲しがっていると伝えたが、それでもボリュームはサービスしてある。
「これだけで腹一杯になりそうだな」
「他のも買いたいけど」
「皆で食べるから大丈夫だ。他にも並ぶといい」
「色々あります。あちらに甘味が並んでます。あの丸い焼き菓子はここの特産です」
「いらない。お肉がいい。あのおっきいの食べてみたい」
甘味より肉らしい。
やっぱりこっち、とうろうろしている。
また明日も来ると言えば、じゃぁあれは明日にすると即決した。
甘味の屋台を選ぶので、なぜと問うとリーグに買うと言う。
腹に邪気が溜まった。
「ちびちゃん達にいつも甘味を買って帰るそうです。この辺りの甘味を知りたがってました。持って帰れないけどお土産話にするって。私のことも話してくれるかな、いっぱい話してほしい」
余程リーグの弟妹に夢中だ。
リーグではないと分かっているけど面白くない。
兄上の子供達ともっと親しくしていればよかったと後悔したが、ある程度の付き合いしかなくもうかなりでかい。上は今年15の成人だ。
それに貴族社会では子供の世話は女人の仕事。
父親の兄でさえ教育について多少口を出す程度でそんなに関わりがなく、叔父の私などもっと縁遠くてリーグのように密な関係で話題があるわけではない。
たまに誕生日や身内の集まりの他に、剣の相手をしたりお茶会に呼ばれて話し相手になるくらいだった。
それでも試しに話題を振ってみたら意外と喜んで聞いてくる。
「王都だとそうなんですね」
貴族として至って普通の話なのに喜ぶ。
貴族社会でさえあまり関わりがないと分かった。
こっそりヤンに尋ねると家から出たことがないと答えた。
「なぜ?少しくらい出ても良いのではないか?」
「ある程度の貴族教育を終えてからとの判断です。ご身分とこのご容姿ならどこに行っても目立つのはご理解頂けますか?隠しても高名なクレイン家の愛娘と付近の領に有名で、他家からの縁談が多いのです」
「どこから?」
「旦那様にお尋ねください。私共には知らされていません」
邪気を蓄えた視線に呆れ顔で返してきた。
「ある程度、予想はつく」
クレイン家と関わりのある他領、歳の釣り合う男ならすぐに分かる。
妙な顔をするヤンから目を離して、私達の間にいるエヴ嬢を見つめるとまた小銭を数えていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
95
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる