人狼の団長、見つけた番はすでに溺愛されている《団長はお預け中、たまに待てが出来ないで押し倒す》

うめまつ

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「団長、あとで櫓に行けばいいんですか?」
「来るのか?今日はもう不要かと、」
「もう気分が変わりました。…さ、さっきのは、思い出したらやっぱり、やめます」
一気に顔を真っ赤にして逃げようとするのを肩を掴んで引き留めた。
せっかく怒りが溶けたんだ。
逃がしたくない。
「悪かった、待て。忘れろ」
「む、無理。また投げそう」
「う、」
いつの間にかメイスを盾に縮こまって身構えるので渋々諦めた。
以前に比べて抜き差しが素早くなっている。
「…しばらく飯も別々か」
恨みがましく拗ねて見せるとおろおろと目がさ迷う。
「えーと、どうしよう」
「このままだと余計気まずくなる。どうせなら慣らした方がいい。先程は平気だったろう?…まあ、嫌がるなら、」
なし崩しに捕まえようと思うのに、赤い顔を半泣きに歪めて嫌がるので追撃の手が緩む。
「今夜は久々に陣内で取りますか?団員らが何か作ると張り切ってました。集めた食材で夜も豪勢にするそうです」
「え、そうなの?」
「団長もご一緒にいかがですか?こちらの陣営で騒ぐ予定なので来やすいかと思います」
ヤンの提案に乗っかることにした。
「人が多ければ気も紛れることでしょう。私は心配でハラハラしますが」
「そうか」
「お父様とお兄様も来るよね?」
うきうきとはしゃいでヤンに尋ねている。
「旦那様とロバート様も来られるはずです。恐らくお酒も出ますよ。お二人ともこういう男ばかりの酒宴がお好きですから」
「意外だな」
穏やかなロバート殿と厳格な雰囲気を持つジェラルド伯からは想像つかない。
「団長も似てますよ。兵士とはいえ高位の貴族で騎士であらせる。庶民の酒盛りを好むようには見えません。他の方もそうですね」
「うちは好きな奴が多い」
「上の影響でしょうか」
「それもあるかもな」
「エヴ様はある程度で抜けますが、ごゆっくり楽しまれてください」
その会話を終えた頃、城門を抜けた。
茶色の陣内の中を極彩色の派手な衣装の一団が走ってくる。
「カリッド様!おかえりなさいまし!おかえりなさいましぃぃ!」
朝と同じ団員らが制して阻んでいるので近寄れない。
離れていたが大声を張り上げて手を振っている。
高位の貴族令嬢としてかなりはしたない。
「あの方、どなたですか?団長。この間からここにいらっしゃいますね」
「…聞くな。…頼むから何も聞かないでほしい」
不思議そうなエヴ嬢の問いに答えられず、それしか言えなかった。
「お知り合いですよね?御名を親しげに呼んでますし、あ、噂の恋人ですか?」
「違う。恋人はいない」
いるのは割り切った遊び相手だ。
あの破られた手紙の山も、エド達の努力で復元した。
読んでみればおめでとうと祝福が書かれ、大人しく引き下がる代わりに金銭の清算や所有の商会や領地関係の優位な契約を求める内容だった。 
今回、こちらのルールを無視して送ってきたのも我先に利を得ようと動いた結果らしい。
家を絡めたものは保留だが、ある程度は承諾した。
相手も割り切ったものでこちらの懐の痛まない程度をよく理解して要求している。
本音は分からないと怪しんだが、それでもグリーブスの番に手を出す馬鹿はいない。
字を書けない相手も多くいるので、帰れない間、実家に頼んで清算を頼んだ。
交渉自体は毎回のことと慣れている執事に頼めば上手くやってくれる。
金銭の方も自分の稼ぎから足りる。
領地の絡んだ希望は父の承認が必要なのでそちらも丸投げだ。
黙っていた相手のことも全て正直に一覧にして送ったので、次回、父と執事から怒りの返信が来ると覚悟している。
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