人狼の団長、見つけた番はすでに溺愛されている《団長はお預け中、たまに待てが出来ないで押し倒す》

うめまつ

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ジュース

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「で、エヴ嬢はどうやって戻れるんすか?」
「分からん」
いまだ夢だと思い込んでいるエヴ嬢に同じ質問をしても要領が得なかった。
「初めてだから分かんないもん。たぶん寝たら戻るよ」
投げやりに答え、酒の入ったグラスを取って飲もうとするので取り上げた。
「飲むな」
「喉乾いたの」
リーグが水差しから水を注いで渡した。
「さっきも飲んだもん。もう16だから飲んでいいって」
そうなのかとリーグに視線を向けると首をかしげた。
「さあ?そこは見てないっす。ラウル達が止めそうだけど。怒られなかったっすか?」
「怒られた」
「だろうな。酒は旨かったか?」
「ジュースの方が美味しい。お酒苦いね。でも楽しかったから飲みたい。皆とエールを飲んだの。ヤンも一杯だけならって。これから飲む機会が増えるから慣れた方がいいって」
また飲みたいと小さくごねている。
「まさか今、酔っぱらいっすか?この甘えん坊なのは。果物剥いてあげるからそれで我慢してください」
篭の果物をひとつ掴んでぺりぺりと厚手の皮に親指を刺して裸にすると、皿にひと房ずつ並べた。
「食べやすくするから待ってくださいね。薄皮も剥いちゃいますから」
丁寧に房を包んだ半透明の薄皮を剥いて黄色がかかったふっくらとした身がみずみずしい。
「清潔なガーゼを出してこい」
「ん?はい、どうぞ?」
引き出しから一枚持ってきた。
剥き身の房をガーゼに包んでぎゅっと搾ると汁が出る。
味付けが物足りない時に使う塩を少し足して、水と混ぜたらほんの少しだけワインを垂らす。
手間を惜しまず、お椀からグラスへ注ぎ手渡した。
「美味しい」
両手で支えたグラスから喜んで飲んでいる。
おかわりを欲しがりそうな気配にもうひとつ搾る。
「甘味を足した方がもっと飲みやすいが」
「このままでいいよ?美味しい」
甘味が苦手だからか、渋みが強いはずなのに平気そうだ。
「こっちもさっぱりして旨いっすよ。料理なんかによくかけます」
「そのままは酸っぱい。ジュースに向くのか?」
「水で薄めるなら飲みやすいっす。うちの店で出してます」
「すごい良い香り。飲んでみたい」
三人であれこれしゃべりながら果物を選んで、リーグとエヴ嬢が剥いて私が搾る。
そして搾ったら三人で味見をする。
どれがいいかと、また話が尽きなかった。
「腕、疲れませんか?代わりたいけど俺の握力じゃ大して搾れないっす」
「このくらいなら疲れない。それにもう満足したようだ」
三回搾っただけだ。
エヴ嬢は腹が膨れたようで舐めるようにちびちび飲んでる。
「トイレ、あっ、わ!」
ぱっと膝から降りて扉に向かうがだぼだぼの寝間着に足をとられて転んだ。
助け起こして抱えてトイレに連れていく。
自分で歩きたがったが、今日だけだと言うと甘える気になったらしい。
用を足す間、手水で手を洗った。
手拭いで拭ったがベタベタが残っているので念入りに擦り落とした。
「団長、いるー?どこか行ってない?」
「いるぞ」
何度も聞くのをいちいち答える。
「暗くて怖いからそこにいてよ?置いてかないで」
泣きそうな声に口許が緩んだ。
「大丈夫だ。ほら、証拠に、」
扉を軽く叩いて話しかけ続けた。
終わるとピュッと飛び出して抱きついてきた。
怖かったらしく抱っこをせがむ。
また抱えて部屋に戻った。
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