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馬鹿を言うなと言おうとしたら腕捲りをして手をにぎにぎと動かしていた。
「カナン様、手淫はいいらしいから。それなら」
ニコニコと笑って舌でぺろっと唇を舐める。
何かオモチャを見つけたような顔に気を取られた。
「おい、ふざけんな」
「ロニーもやろう?前、興味持ってたでしょ?」
ヤろうと言う一言に心臓が掴まれて言葉を失った。
それに興味云々と言われても何のことか分からず、鈍いと思っていたこいつに下心を見透かされていたのかと固まる。
「ちょうどいい練習になる。カナン様からこれは誉められたんだぁ」
いそいそと床に座った部下の肩を押して診察台に上半身だけを寝そべらせる。
期待を交えて茫然としたこいつは黙ってされるがままで、俺も何を始める気なのか理解出来ずに止めそびれた。
「……何の話だよ?」
やっと口に出来たのはこれだけ。
「え?ロニーも前に上手って言ってたじゃん?忘れた?」
手早く、診察台から突き出した下半身のズボンを緩めてずるんと尻を剥き出しに。
しかもその尻を覗く位置で診察台にうつ伏せた背中にどすんと跨いで座った。
それと一緒にぐぱぁ、と尻たぶを開いて覗き込んだからビビった。
早い。
手際が早すぎる。
「ひっ、だ、ダグさん、」
「怖がらないの。構ってあげるんだから喜んでよ」
ぐにぐに尻たぶを遊んで声が変わらず穏やかになだめてる。
「は、はぃ、ひ、」
おいおい、だから手慣れすぎてねぇか。
「茶色?黒っぽいね。シミ?黒子?なにこれ、うわぁ、なんか汚なぁい。触りたくないなぁ。でも洗えばましかなぁ」
診察台に置いたままの水差しからチョロチョロとゆすいで当てた手のひらと指でくちゅくちゅと洗ってやっている。
「毛ぇモジャモジャしてるし、やだなぁ。全部抜いてあげようか?」
ぴんぴんとケツの毛を引っ張って。
それに合わせて、ひ、ひ、と声を漏らす。
部下の悶える姿を見せられて俺はどうしろと?
「おい、ダグ。からかうのはもう止めとけよ」
そう言うと真正面に立ち尽くす俺を見上げて頷いた。
「そうだね。思ったより汚かったからやる気なくなっちゃったし」
すぐに降りて残りの水差しの水で片手を念入りに洗って洗い立てのガーゼでごしごしこする。
それでも気に入らないと眉をしかめた。
診察台からずり落ちて床に尻餅をついてこいつはケツを出したまま、そんなダグを呆然と見上げていた。
顔が脅えている。
「……きったなぁい」
冷めた目でダグがこいつを見下げて、ビクッと縮こまる。
「す、すいません」
「ごめんね?好みじゃなかったよ。触るのも嫌。可哀想だから身支度だけしてあげるね?膝を立たせてくれる?出来る?あぁ、上手だね」
また笑みを浮かべて子供のようにあやしながらズボンを引き上げてやっている。
「あ、可愛いおちんちん。ケツまんこよりピンクゥ。ふにゃふにゃぁ」
くすくす笑いながら、からかって指でつつく。
見たことのないダグの様子に何が起きたか分からないと混乱して小さく呻いて震えていた。
俺もだけど。
いや、俺は震えちゃいねぇけど。
ただ確実に俺もこいつ同様に玉ひゅんしてる。
迫力に圧倒されて背中がぞわぞわ。
そんな柔らかな肉食な物騒な笑み持ってたのか?
見下してんのか?
それともご機嫌とってんの?
上機嫌に目を細めた黒い瞳と薄く色ついてる唇から赤い舌がぺろってはみ出て。
しかも柔らかいのに強気に仕付ける態度がくっそ色っぽい。
甘えたこいつしか知らなかったわー。
こんな顔も出来るのかよ。
俺はありだわ、あり。
こいつの生意気な唇、舐めてぇ。
口の中のあふれた涎をごくっと飲み込んだ。
「あー、ごめん。水をかけたからお漏らしみたい」
「え?!あっ、……あ、」
ダグの言葉に慌てて下を覗いてまた茫然と呆けてやがる。
びしょ濡れになったズボン。
股間が特に。
「可哀想。でも失敗した赤ちゃんみたいで可愛いね。このままみんなに見せびらかして帰ってね?出来る?」
「そ、そんな、俺、」
半泣きのこいつの顔に満面の笑み。
「出来ないんだぁ。へぇ?……そう?」
笑みは変わらないのに残念そうに声が下がる。
「まあ、どっちでもいいか。もう興味ないし」
行こうよと誘われて少し緊張しながらあとに続く。
部屋に残ったこいつに後始末を言いつけてダグと外へ向かった。
「……ああ、拷問の手腕か」
しばらく考えてやっとあれの意味が分かった。
「今、気づきたの?カナン様が俺の意外な才能だって。でももうしたくないなぁ。アリィのピンクと違って汚ないもん」
ダグのお気に入りの奴隷。
アリィと呼ぶが、本名はアリオン・ザザ。
名前が出たことにムッとして顔を歪めた。
あいつは嫌いだし、こいつらの関係はよく分からない。
拷問したダグとあいつはケツを手酷くされた関係なのに。
本業の拷問官ではないダグは同情から死にかけのアリオンを引き取って看病した。
手練れの拷問官からの仕打ちだった。
爪剥ぎに骨折、全身の鞭打ちと確実に死ぬ出血量。
こいつの気まぐれからダグの奴隷として払い下げし、世話を許可をした領主も拷問を担当した俺達も予想していなかった。
死に水を取るだけのはずが、予想外に五体満足で回復してしまい、俺達は同じ屋根の下で世話をするダグはアリオンに寝首をかかれるんじゃないかと危ぶんだのに、信じられないことにお互いに強い主従関係を育んでる。
しかもアリオンの活躍は目覚ましく、奴隷の身分なので役職はつかないが、短期間で自他共に認める団長代理にまでなった。
もっと分からないことも。
監視目的で様子を見に行ったら、今まで別室だったのに、少し前から寝台並べて仲良く寝てると知って衝撃だった。
マジか!こいつ、死んだ!って思った。
ダグを殺しそうなほど執着するカナン様の斬首確定とよぎったのに意外と野放し。
今まで何人も拷問送りにしたのに。
ダグとお互い、俺の騎士様、私の主人ってよく言うけど。
熱い主従感の他にムカつくくらいのまったり甘ったるい空気もある。
なのにダグは相変わらずカナン様の閨の専属だし、アリオンも呑気に迎えに行ってヤり疲れたダグを背負って帰ってくる。
お勤めご苦労様ですって笑顔で労ってるから意味分かんねぇし、あの激しい悋気持ちのカナン様が二人を放ってるのも理解出来ない。
それよりあいつのケツ穴の色なんか聞きたくねぇ。
知りたくなかったわ。
「あいつ、ピンクかよ」
「うん、お気に入り」
ぼやいたらダグは嬉しそうに笑った。
そんなもんがお気に入りかよ。
すげぇ趣味してんなぁ。
知らんかったわ。
「カナン様、手淫はいいらしいから。それなら」
ニコニコと笑って舌でぺろっと唇を舐める。
何かオモチャを見つけたような顔に気を取られた。
「おい、ふざけんな」
「ロニーもやろう?前、興味持ってたでしょ?」
ヤろうと言う一言に心臓が掴まれて言葉を失った。
それに興味云々と言われても何のことか分からず、鈍いと思っていたこいつに下心を見透かされていたのかと固まる。
「ちょうどいい練習になる。カナン様からこれは誉められたんだぁ」
いそいそと床に座った部下の肩を押して診察台に上半身だけを寝そべらせる。
期待を交えて茫然としたこいつは黙ってされるがままで、俺も何を始める気なのか理解出来ずに止めそびれた。
「……何の話だよ?」
やっと口に出来たのはこれだけ。
「え?ロニーも前に上手って言ってたじゃん?忘れた?」
手早く、診察台から突き出した下半身のズボンを緩めてずるんと尻を剥き出しに。
しかもその尻を覗く位置で診察台にうつ伏せた背中にどすんと跨いで座った。
それと一緒にぐぱぁ、と尻たぶを開いて覗き込んだからビビった。
早い。
手際が早すぎる。
「ひっ、だ、ダグさん、」
「怖がらないの。構ってあげるんだから喜んでよ」
ぐにぐに尻たぶを遊んで声が変わらず穏やかになだめてる。
「は、はぃ、ひ、」
おいおい、だから手慣れすぎてねぇか。
「茶色?黒っぽいね。シミ?黒子?なにこれ、うわぁ、なんか汚なぁい。触りたくないなぁ。でも洗えばましかなぁ」
診察台に置いたままの水差しからチョロチョロとゆすいで当てた手のひらと指でくちゅくちゅと洗ってやっている。
「毛ぇモジャモジャしてるし、やだなぁ。全部抜いてあげようか?」
ぴんぴんとケツの毛を引っ張って。
それに合わせて、ひ、ひ、と声を漏らす。
部下の悶える姿を見せられて俺はどうしろと?
「おい、ダグ。からかうのはもう止めとけよ」
そう言うと真正面に立ち尽くす俺を見上げて頷いた。
「そうだね。思ったより汚かったからやる気なくなっちゃったし」
すぐに降りて残りの水差しの水で片手を念入りに洗って洗い立てのガーゼでごしごしこする。
それでも気に入らないと眉をしかめた。
診察台からずり落ちて床に尻餅をついてこいつはケツを出したまま、そんなダグを呆然と見上げていた。
顔が脅えている。
「……きったなぁい」
冷めた目でダグがこいつを見下げて、ビクッと縮こまる。
「す、すいません」
「ごめんね?好みじゃなかったよ。触るのも嫌。可哀想だから身支度だけしてあげるね?膝を立たせてくれる?出来る?あぁ、上手だね」
また笑みを浮かべて子供のようにあやしながらズボンを引き上げてやっている。
「あ、可愛いおちんちん。ケツまんこよりピンクゥ。ふにゃふにゃぁ」
くすくす笑いながら、からかって指でつつく。
見たことのないダグの様子に何が起きたか分からないと混乱して小さく呻いて震えていた。
俺もだけど。
いや、俺は震えちゃいねぇけど。
ただ確実に俺もこいつ同様に玉ひゅんしてる。
迫力に圧倒されて背中がぞわぞわ。
そんな柔らかな肉食な物騒な笑み持ってたのか?
見下してんのか?
それともご機嫌とってんの?
上機嫌に目を細めた黒い瞳と薄く色ついてる唇から赤い舌がぺろってはみ出て。
しかも柔らかいのに強気に仕付ける態度がくっそ色っぽい。
甘えたこいつしか知らなかったわー。
こんな顔も出来るのかよ。
俺はありだわ、あり。
こいつの生意気な唇、舐めてぇ。
口の中のあふれた涎をごくっと飲み込んだ。
「あー、ごめん。水をかけたからお漏らしみたい」
「え?!あっ、……あ、」
ダグの言葉に慌てて下を覗いてまた茫然と呆けてやがる。
びしょ濡れになったズボン。
股間が特に。
「可哀想。でも失敗した赤ちゃんみたいで可愛いね。このままみんなに見せびらかして帰ってね?出来る?」
「そ、そんな、俺、」
半泣きのこいつの顔に満面の笑み。
「出来ないんだぁ。へぇ?……そう?」
笑みは変わらないのに残念そうに声が下がる。
「まあ、どっちでもいいか。もう興味ないし」
行こうよと誘われて少し緊張しながらあとに続く。
部屋に残ったこいつに後始末を言いつけてダグと外へ向かった。
「……ああ、拷問の手腕か」
しばらく考えてやっとあれの意味が分かった。
「今、気づきたの?カナン様が俺の意外な才能だって。でももうしたくないなぁ。アリィのピンクと違って汚ないもん」
ダグのお気に入りの奴隷。
アリィと呼ぶが、本名はアリオン・ザザ。
名前が出たことにムッとして顔を歪めた。
あいつは嫌いだし、こいつらの関係はよく分からない。
拷問したダグとあいつはケツを手酷くされた関係なのに。
本業の拷問官ではないダグは同情から死にかけのアリオンを引き取って看病した。
手練れの拷問官からの仕打ちだった。
爪剥ぎに骨折、全身の鞭打ちと確実に死ぬ出血量。
こいつの気まぐれからダグの奴隷として払い下げし、世話を許可をした領主も拷問を担当した俺達も予想していなかった。
死に水を取るだけのはずが、予想外に五体満足で回復してしまい、俺達は同じ屋根の下で世話をするダグはアリオンに寝首をかかれるんじゃないかと危ぶんだのに、信じられないことにお互いに強い主従関係を育んでる。
しかもアリオンの活躍は目覚ましく、奴隷の身分なので役職はつかないが、短期間で自他共に認める団長代理にまでなった。
もっと分からないことも。
監視目的で様子を見に行ったら、今まで別室だったのに、少し前から寝台並べて仲良く寝てると知って衝撃だった。
マジか!こいつ、死んだ!って思った。
ダグを殺しそうなほど執着するカナン様の斬首確定とよぎったのに意外と野放し。
今まで何人も拷問送りにしたのに。
ダグとお互い、俺の騎士様、私の主人ってよく言うけど。
熱い主従感の他にムカつくくらいのまったり甘ったるい空気もある。
なのにダグは相変わらずカナン様の閨の専属だし、アリオンも呑気に迎えに行ってヤり疲れたダグを背負って帰ってくる。
お勤めご苦労様ですって笑顔で労ってるから意味分かんねぇし、あの激しい悋気持ちのカナン様が二人を放ってるのも理解出来ない。
それよりあいつのケツ穴の色なんか聞きたくねぇ。
知りたくなかったわ。
「あいつ、ピンクかよ」
「うん、お気に入り」
ぼやいたらダグは嬉しそうに笑った。
そんなもんがお気に入りかよ。
すげぇ趣味してんなぁ。
知らんかったわ。
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