白黒の猫~ずっと可愛い黒猫が欲しかったのに、気づけば茶とらの毛並みを撫でていた~

うめまつ

文字の大きさ
5 / 34

5

しおりを挟む
馬鹿を言うなと言おうとしたら腕捲りをして手をにぎにぎと動かしていた。

「カナン様、手淫はいいらしいから。それなら」

ニコニコと笑って舌でぺろっと唇を舐める。

何かオモチャを見つけたような顔に気を取られた。

「おい、ふざけんな」

「ロニーもやろう?前、興味持ってたでしょ?」

ヤろうと言う一言に心臓が掴まれて言葉を失った。

それに興味云々と言われても何のことか分からず、鈍いと思っていたこいつに下心を見透かされていたのかと固まる。

「ちょうどいい練習になる。カナン様からこれは誉められたんだぁ」

いそいそと床に座った部下の肩を押して診察台に上半身だけを寝そべらせる。

期待を交えて茫然としたこいつは黙ってされるがままで、俺も何を始める気なのか理解出来ずに止めそびれた。

「……何の話だよ?」

やっと口に出来たのはこれだけ。

「え?ロニーも前に上手って言ってたじゃん?忘れた?」

手早く、診察台から突き出した下半身のズボンを緩めてずるんと尻を剥き出しに。

しかもその尻を覗く位置で診察台にうつ伏せた背中にどすんと跨いで座った。

それと一緒にぐぱぁ、と尻たぶを開いて覗き込んだからビビった。

早い。

手際が早すぎる。

「ひっ、だ、ダグさん、」

「怖がらないの。構ってあげるんだから喜んでよ」

ぐにぐに尻たぶを遊んで声が変わらず穏やかになだめてる。

「は、はぃ、ひ、」

おいおい、だから手慣れすぎてねぇか。

「茶色?黒っぽいね。シミ?黒子?なにこれ、うわぁ、なんか汚なぁい。触りたくないなぁ。でも洗えばましかなぁ」

診察台に置いたままの水差しからチョロチョロとゆすいで当てた手のひらと指でくちゅくちゅと洗ってやっている。

「毛ぇモジャモジャしてるし、やだなぁ。全部抜いてあげようか?」

ぴんぴんとケツの毛を引っ張って。

それに合わせて、ひ、ひ、と声を漏らす。

部下の悶える姿を見せられて俺はどうしろと?

「おい、ダグ。からかうのはもう止めとけよ」

そう言うと真正面に立ち尽くす俺を見上げて頷いた。

「そうだね。思ったより汚かったからやる気なくなっちゃったし」

すぐに降りて残りの水差しの水で片手を念入りに洗って洗い立てのガーゼでごしごしこする。

それでも気に入らないと眉をしかめた。

診察台からずり落ちて床に尻餅をついてこいつはケツを出したまま、そんなダグを呆然と見上げていた。

顔が脅えている。

「……きったなぁい」

冷めた目でダグがこいつを見下げて、ビクッと縮こまる。

「す、すいません」

「ごめんね?好みじゃなかったよ。触るのも嫌。可哀想だから身支度だけしてあげるね?膝を立たせてくれる?出来る?あぁ、上手だね」

また笑みを浮かべて子供のようにあやしながらズボンを引き上げてやっている。

「あ、可愛いおちんちん。ケツまんこよりピンクゥ。ふにゃふにゃぁ」

くすくす笑いながら、からかって指でつつく。

見たことのないダグの様子に何が起きたか分からないと混乱して小さく呻いて震えていた。

俺もだけど。

いや、俺は震えちゃいねぇけど。

ただ確実に俺もこいつ同様に玉ひゅんしてる。

迫力に圧倒されて背中がぞわぞわ。

そんな柔らかな肉食な物騒な笑み持ってたのか?

見下してんのか?

それともご機嫌とってんの?

上機嫌に目を細めた黒い瞳と薄く色ついてる唇から赤い舌がぺろってはみ出て。

しかも柔らかいのに強気に仕付ける態度がくっそ色っぽい。

甘えたこいつしか知らなかったわー。

こんな顔も出来るのかよ。

俺はありだわ、あり。

こいつの生意気な唇、舐めてぇ。

口の中のあふれた涎をごくっと飲み込んだ。

「あー、ごめん。水をかけたからお漏らしみたい」

「え?!あっ、……あ、」

ダグの言葉に慌てて下を覗いてまた茫然と呆けてやがる。

びしょ濡れになったズボン。

股間が特に。

「可哀想。でも失敗した赤ちゃんみたいで可愛いね。このままみんなに見せびらかして帰ってね?出来る?」

「そ、そんな、俺、」

半泣きのこいつの顔に満面の笑み。

「出来ないんだぁ。へぇ?……そう?」

笑みは変わらないのに残念そうに声が下がる。

「まあ、どっちでもいいか。もう興味ないし」

行こうよと誘われて少し緊張しながらあとに続く。

部屋に残ったこいつに後始末を言いつけてダグと外へ向かった。

「……ああ、拷問の手腕か」

しばらく考えてやっとあれの意味が分かった。

「今、気づきたの?カナン様が俺の意外な才能だって。でももうしたくないなぁ。アリィのピンクと違って汚ないもん」

ダグのお気に入りの奴隷。

アリィと呼ぶが、本名はアリオン・ザザ。

名前が出たことにムッとして顔を歪めた。

あいつは嫌いだし、こいつらの関係はよく分からない。

拷問したダグとあいつはケツを手酷くされた関係なのに。

本業の拷問官ではないダグは同情から死にかけのアリオンを引き取って看病した。

手練れの拷問官からの仕打ちだった。

爪剥ぎに骨折、全身の鞭打ちと確実に死ぬ出血量。

こいつの気まぐれからダグの奴隷として払い下げし、世話を許可をした領主も拷問を担当した俺達も予想していなかった。

死に水を取るだけのはずが、予想外に五体満足で回復してしまい、俺達は同じ屋根の下で世話をするダグはアリオンに寝首をかかれるんじゃないかと危ぶんだのに、信じられないことにお互いに強い主従関係を育んでる。

しかもアリオンの活躍は目覚ましく、奴隷の身分なので役職はつかないが、短期間で自他共に認める団長代理にまでなった。

もっと分からないことも。

監視目的で様子を見に行ったら、今まで別室だったのに、少し前から寝台並べて仲良く寝てると知って衝撃だった。

マジか!こいつ、死んだ!って思った。

ダグを殺しそうなほど執着するカナン様の斬首確定とよぎったのに意外と野放し。

今まで何人も拷問送りにしたのに。

ダグとお互い、俺の騎士様、私の主人ってよく言うけど。

熱い主従感の他にムカつくくらいのまったり甘ったるい空気もある。

なのにダグは相変わらずカナン様の閨の専属だし、アリオンも呑気に迎えに行ってヤり疲れたダグを背負って帰ってくる。

お勤めご苦労様ですって笑顔で労ってるから意味分かんねぇし、あの激しい悋気持ちのカナン様が二人を放ってるのも理解出来ない。

それよりあいつのケツ穴の色なんか聞きたくねぇ。

知りたくなかったわ。

「あいつ、ピンクかよ」

「うん、お気に入り」

ぼやいたらダグは嬉しそうに笑った。

そんなもんがお気に入りかよ。

すげぇ趣味してんなぁ。

知らんかったわ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

悪役令嬢と呼ばれた侯爵家三男は、隣国皇子に愛される

木月月
BL
貴族学園に通う主人公、シリル。ある日、ローズピンクな髪が特徴的な令嬢にいきなりぶつかられ「悪役令嬢」と指を指されたが、シリルはれっきとした男。令嬢ではないため無視していたら、学園のエントランスの踊り場の階段から突き落とされる。骨折や打撲を覚悟してたシリルを抱き抱え助けたのは、隣国からの留学生で同じクラスに居る第2皇子殿下、ルシアン。シリルの家の侯爵家にホームステイしている友人でもある。シリルを突き落とした令嬢は「その人、悪役令嬢です!離れて殿下!」と叫び、ルシアンはシリルを「護るべきものだから、守った」といい始めーー ※この話は小説家になろうにも掲載しています。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!

ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。 その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。 しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。 何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。 聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)

【16+4話完結】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜

キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」 平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。 そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。 彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。 「お前だけが、俺の世界に色をくれた」 蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。 甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー

ひとりも、ふたりも

鈴川真白
BL
ひとりで落ち着く時間も、ふたりでいる楽しい時間も両方ほしい 1人を謳歌するマイペース × 1人になりたいエセ陽キャ

前世が教師だった少年は辺境で愛される

結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。 ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。 雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。

窓のない部屋の、陽だまりみたいな君

MisakiNonagase
BL
都心の高層ビル、その「内臓」とも言える地下一階のメール室。 そこで働く山﨑智之は、目立たず、期待されず、淡々と郵便物を捌く「透明人間」のような毎日を愛していた。自分は低スペックで、華やかな地上には居場所がない。そう、諦めていた。 ​そんな彼の静寂を破ったのは、二十二階の住人、若きエース・風巻隼人だった。 完璧なルックス、圧倒的な成果、羨望の眼差しを一身に浴びる彼が、なぜか地下のメール室に足繁く通い始める。 ​「五分だけ、ここにいさせてくれないか」 ​一通の郵便物から始まった、五分間だけの秘密の共有。 次第に剥き出しになっていく隼人の孤独と、それを無自覚に包み込んでしまう智之の温度。 住む世界が違う二人が、窓のない部屋で見つけたのは、名前のつかない「救済」だった。

処理中です...