白黒の猫~ずっと可愛い黒猫が欲しかったのに、気づけば茶とらの毛並みを撫でていた~

うめまつ

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「ケツ処女もらったし、責任取んなきゃ」

アホに磨きがかかっとる。

カナン様の命で拷問してケツに竿、刺しただけじゃん。

処女の女ならともかく、たかが男のケツ。

拷問のついでに。

馬鹿じゃね?

「てか、俺がアリィの主人だし養いたいってのはある」

じゃばーっと水洗いしたシャツを絞った。

「あいつの方が高給取りだろ。ほら、貸してみろ」

隣に行って水の滴るシャツを絞ってやるとまたじゃばーっと水が垂れるのを見て自分の手を不満そうに見つめた。

「……俺、よっわ」

「非力はしゃーねぇわ。お前は骨が細いから。気にすんな」

適当に慰めてやる。

シワを伸ばしてどこに干すのかと聞いたら外と答えた。

持って行くとこいつも後ろからついてきた。

真っ暗な中、少し爪先が引っ掛かってよろけながら。

腕を掴んで助けてやった。

戻れと言おうかと思ったが、酔い覚ましにちょうどいい。

指をさした先に洗濯物干し。

ダグが自分で干してシワを伸ばした。

だいぶ酒は抜けたらしい。

もうこのあとは寝かせよう。

やけ酒に付き合ってらんねぇ。

「俺が旦那なのに。嫁ちゃんを養えない。へこむ」

まだ言うか。

「アホ、あの大男のどこが嫁だ」

「色々ありまして」

「何?」

「アリィが俺だけがいいって言うから嫁に貰わなきゃ。いつもめっちゃ可愛くねだるし、俺も手放せないし」

えへえへと顔を隠してにやついてる。

しばらく考えて、はたっと玄関に入る前に足が止まった。

……ダグ。

お前は不思議そうに俺を見るが俺はお前が不思議だ。

ねだる、嫁の単語で合点がいった。

ついでにピンクのケツ穴。

「……マジかぁ。……あれ抱けんの?」

以前、冗談で言ったけど俺は無理。

「ヤれる。ぎんぎん。めっちゃ可愛いぃ」

幸せそう。

おおぅ、ドン引き。

「……お前、新境地開拓しすぎじゃねぇ?あとカナン様は何て?ご存じなのか?」

二人でまたテーブルに戻って座り込む。

俺、もう茫然よ?

取り敢えずボトルから直でワインを飲む。

俺の大好きな甘ちゃんの寂しがりやはあんな大男を食べる狼になっちゃったの?

ショックでか過ぎる。

思わずボトル半分一気飲み。

「カナン様?なんかアリィが伝えたら別にいいよって。俺にも、俺に抱かれる趣味はないからアリィとは好きにしろって言ってた。後ろはだめだけど」

「……ケツは納得。……竿はあいつ限定?」

悋気を抑えてダグをアリオンの餌に使ってるのか?

いや、あのカナン様があり得ない。

10年以上こいつを囲ってるがまだ執着してる。

多くの男娼を囲っても大して構わず、しかも3ヶ月も持たずすぐにお払い箱。

ダグが相手だと二、三日おきに失神させるわ腹上死させかけるわ、何度も死なせかけるのに。

「……さあ?……アリィ“とは”って言っただけだし。アリィ“となら”とは言ってない」

ダグはこういう言い回しに察しがいい。

「……多分、役立つことがあるなら使えって意味だよね」

「意外な才能のだな」

「えー、自信ない」

えー、はこっちの台詞だ。

なんかやってるとは思ったがそういうことしてたのかよ。

キスか抜きっこくらいのたかが知れたくらいと思ったら。

まさか立場逆転でヤることヤって、恋愛無知なダグをここまでたら仕込んでたのか。

自分を殺す気だったあの冷血な鬼畜どS伯爵まで懐柔済み?

何しやがった、あの騎士。

一年もしないうちに地盤固めすぎじゃねぇ?

嫁って何よ?

ダグはジョークじゃなくて本気ってこと?

は?マジかよ。

付き合いは一番古いのにマジで好きだって気づく前にカナン様に囲われて、次はあの騎士かよ。

体を触る隙も気持ちに付け入る隙も塞がれたってことか?

おいおい、俺は心底間抜けだなぁ。

親友の一番いい位置を陣取ってるくせに肩を抱くくらいしか出来なくて横から二回もダグを盗られた。

しかも騎士っつっても今は俺より下の、罪人上がりの奴隷にかよ。

最下層のスタート地点から抜け駆けされた。

カナン様の払い下げでダグを取り合うなら兄貴分のベイル部隊長だと思ってたのに。

今の現状をキープする俺らと違ってあいつは。

ずりぃ。

すっげぇずりぃ。

ちきしょう、ちきしょう。

頭ん中、怒りと嫉妬でぐるぐる。

くそ、飲み過ぎた。

ゲロじゃない違うのが腹の奥からせりあがってくる。

感情の歯止めが効かねぇ。

ダグが大丈夫なのかと心配する横で残りの酒もラッパ飲みでボトルを空にした。

「……目ぇ座ってるんだけど?……ロニー?」

「ずりぃ、ふざけんな」

「うお、」

乱暴に空のボトルをごんっとテーブルに叩きつける。

置いたつもりが倒れてゴロゴロ転がった。

「飲み足らねぇ」

勝手に戸棚を漁って酒を見つけた。

「見っけ」

「それ、アリィのなんだけど?」

「いいじゃん。貰い物で減らねぇって言ってたし」

近所やお礼やらであいつがあっちこっちから貰って貯まると団長や俺らにくれるし、それが早まるだけだ。

未開封のボトルが並ぶ中、飲みかけの結構いい酒を見つけて、そのボトルの首を持って眺めてたらダグに取り上げられた。

「これはだめ、俺がアリィに買った奴。アリィが気に入ってるし」

「へぇ、……貸せよ」

「……えー?」

手を出せば舜巡しながらも俺の手に。

わざと受け取った手の力を抜いた。
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