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くんずほぐれつってこれだな。
お互いまだケツは未通だけど。
二人で清い処女。
朝から下ネタを脳内に巡らせてあくびをした。
木窓の隙間からめっちゃ明るい日差しが漏れてる。
昼前くらいかな。
朝、空が白くなるまでイチャイチャしてたもんな。
ついでに俺が枕にしているベイル部隊長は先に起きている。
俺の頭を撫でて髪をほぐしながら手遊びをしてた。
「おはようございます」
「おはよ」
「う、ぷ」
ぎゅっと抱き締められて息が漏れた。
「俺は夜勤だけどお前は午後から出勤だったろ?そろそろ飯食って仕事行け」
実家から貰ってくると言って、寝台から降りると服を着替え始めた。
「把握してるんですか?」
昨日言ってないのに。
合同以外のスケジュールは隊の独立した采配で動く。
「上官クラスのはな。団長やカナン様から用事を頼まれるから」
またもごもご。
それなら小隊長の親父を把握するだけでいい。
それにうちの小隊は副官の俺と副官補佐の弟、三人交代の24時間体制で勤務してるから穴はない。
分かりやすすぎ。
「そう言えばいつも俺の休みに合わせてくれますもんね。ありがとうございます」
「う、む。……行ってくる。勝手に帰るなよ」
「分かりました」
盛大に狼狽えた背中をニヤニヤしながら見送った。
こういうことかとも納得する。
俺のどこが可愛いってんだと疑問だったが、ベイル部隊長のああいう反応は可愛い。
なるほどなぁーとくすくす笑っているとまたベイル部隊長が戻ってきた。
「忘れてた」
すぐに昨日の皿を持って扉へ向かうから呼び止めた。
「新しい水を汲みに行ってきますよ」
乾かしていた桶を掴んで俺も行こうとすると取り上げられて首をかしげる。
「部屋にいろ。俺がしておく」
「……水はいつも俺がしてるじゃないですか」
少し顔をしかめて悩んでた。
昨日の騒ぎのせいだろう。
「まあ、目立ちますもんね。すいません」
「おい」
「はい?」
じろりとねめつけられて一瞬固まった。
しばらく俺をじっとり観察したあと空の桶に皿を入れて側に置くと、空いた両手で顔を挟まれた。
「な、なんですか?」
睨まれてるし、顔をぐにぐに揉まれて恥ずかしいんですけど?
「緩い顔してるぞ。外に行くならシャキッとしろ。仕事もあるのに」
「へ?」
「……雰囲気もゆるゆる。急になんだ?こんなに、」
「ん、は、」
ちゅぱ、と唇を舐めて隙間から口内へ侵入してくる。
「ん、朝っぱら、から、溶けた顔してる」
言われて頭にぼんっと血が昇った。
「そ、そんなことありませんよ?」
「垂れてる」
目元に鼻を擦られて頬にキス。
「見たことないくらいのタレ目になってる」
「まさかぁ?気のせいですって。いてて、ちょっとぉ、ベイル部隊長?」
びよびよと頬っぺたを両方から引っ張られて慌てた。
「水汲みは頼むけど、こんな緩い顔で外歩くな。心配になる」
「何の心配ですか?昼間っから。しかも女じゃあるまいし。いてて、いてぇってば、」
一段と強めに引っ張られてどう言うことよ。
「この無自覚のアホ」
「こんなの気に入るのベイル部隊長くらいでしょうが」
「本当にアホだな?ダグしか見てないから鈍いんだ。もっと視野を広く持て。そんなんだから防御が甘い」
「はぁぁ?そこまで広がる話ですか?」
「そうだよ。よし、少しはましな顔になったか」
やっと顔から手を離して、行くぞ、このタレ目って許された。
途中、別れて俺は近くの井戸へ、ベイル部隊長はまっすぐ向かいの実家へ入った。
小言が多くて、顔を緩めるなだの寄り道するなだのやかましい。
俺はガキじゃねぇってば。
むすくれて井戸の綱が結んである手桶を組み上げた。
「あら、おはよう軍医さん」
「おはようございます」
「今日も部隊長さんとお酒?」
「はい」
近所の顔見知りになった奥さん方と挨拶。
最初、ビビらせてたけど丁寧に接してたら慣れてきた。
少ないけどこうやって気にしない人もいる。
地元の人ばかりでベイル部隊長のことを子供の頃から知ってる人ばっか。
ベイル部隊長の部下ってことで受け入れられたんだと思う。
顔の包帯の話題になり、数人は昨日の騒ぎを知っていて話を聞いたら、災難だったねと同情された。
頼まれて数人の水汲みを手伝ってから部屋に戻ったら、またガキの集団とベイル部隊長の怒鳴り声。
「来るなと言っただろうが?!何しに来た?!」
「別に謝ったからいいじゃん!今日は川釣りの約束だろ?!連れてってよ!」
「そうだよ!約束したのにひどいじゃないか!」
「謝ったからって簡単に許されると思ってるのか?!あいつの怪我が治るまでは許さんからな!帰れ!」
「なんでだよ!謝ったならそれでいいだろ?!ケチ!」
「良くない!このアホども!」
すげぇ、あいつら。
こんだけ怒鳴られてるのに負けじと怒鳴り返してる。
怒られて泣いてる奴もいるが、強気に押し通そうと騒いでる奴も。
こいつらの扱いはベイル部隊長でも苦労してるんだと思ったら昨日、ガキの扱いも出来ないと落ち込んだのが和らいだ。
身内とは言え、コルトナー私兵団のナンバー2にこの反骨精神で対抗するのか。
とんでもねぇガキどもだと感心した。
「あ!ロニー!悪い!またこいつらが勝手に、」
「ぎゃー!まだあいつ居やがった!」
「仕返しに来やがったのか?!」
「やっつけてやる!」
「ふざけたことを言うな!」
怒りまくるベイル部隊長とアホすぎるガキどもにぽかんとした。
「ぷっ、」
たまんねぇ。
面白すぎる。
呆れて笑ってるとガキどもが顔を見合わせて狼狽えた。
「ベイル部隊長、水汲み終わりました。ぷくく、」
ガキどもは無視してベイル部隊長へ俺を見せた。
ベイル部隊長は俺の態度に驚いていたが、すんなり扉を開けて招いてくれた。
「おっと、」
入る前にガキの一人に服を引っ張られた。
「なんでだよ!ベイル兄ちゃん!そいつばっかり遊んでずるい!こんな奴嫌いだ!バカバカバカ!」
バタバタと乱暴に掴んで振り回してる。
一番、強気だったガキがぼろぼろ泣いていたので頭を撫でた。
「ああ、お前らそれで怒ってるのか。ごめんな、もう飯食ったら帰るから。俺も仕事だし」
どんなくそガキでもやっぱり子供だ。
優しく話しかけると大人しくなった。
涙に濡れて恨めしそうに睨む瞳に優しく笑ってみた。
「ここはアパートなんだから、そんな大声は出すな。近所迷惑になるし、ベイル部隊長の迷惑になるぞ?困らせたらまた来るなって怒られるから大人しくするんだよ?」
一瞬ガキの目が和らいだが、またキッときつく吊り上がった。
「白い死神なんか嫌いだ!男のくせにベイル兄ちゃんに好かれてるのもおかしいんだからな!気持ちわりぃ!」
そう来るか。
というか、こいつらにまで教えたのか。
アホ?
白い目でベイル部隊長を見ると慌てた顔をブンブンと横に振っている。
「あ、姉貴に聞いたんだろ」
「簡単に言うからですよ」
「ぐっ」
初めて論破したわ。
何か言いたそうにパクパクしてるのを黙って見下げていたら頭を抱えてしおれてる。
ざまぁ。
「もう帰りますね」
ガキにしがみつかれているし、寝台の端に置いてある洗濯済みの服を指さして、それをくださいと頼むとため息をつきながら持ってきてくれた。
「お姉さんによろしく伝えてください。お礼もお願いします」
「……悪い」
「いえ、俺がこんなだからしょうがないですよ」
普通の女ならよかったんだろう。
男でもダグやルガンダ兄さんみたいなら。
うちの家系ってこともあれだしな。
仕方ないと思った。
でも俺は家族が好きだし、拷問と言っても治験が中心で割かし人のためになってるから必要なことと割り切ってる。
気持ちがえぐれるところもあるが、大したことない。
ベイル部隊長とのやり取りのおかげでそこまでへこんでない。
あのぬるい心地好さと熱い激情に翻弄されて満足していたから。
今も俺のことばかり気にして顔色を伺うのも気分がいい。
「……また飲みに来るか?」
珍しく控えめに聞いてきた。
そう言われてもなぁ。
ちらっと子供らへ視線を送って眉をしかめた。
来たいのは山々なんだけど無理じゃね?
まだ兄ちゃん兄ちゃんと騒いでる。
「……タイミングが合えば。……またゆっくり会いたいんで。でも難しそうですね」
ぼそっと答えると、ううっと唸って顔をしかめてた。
「……もう絶対引っ越す」
「は?」
「明日にでもだ。今日、部屋探ししてやる。こいつらには教えねぇ」
「ちょ、ベイル部隊長?」
目が本気だ。
それを聞いたガキどもはギャン泣き。
子供特有の甲高い悲鳴が頭いてぇ。
「なんでだよー!ベイル兄ちゃんのばかぁぁ!うあーん!」
「えーん!ばかばか!兄ちゃんなんか嫌いだぁ!」
「このおっさんばっかり構ってずるいぃ!」
8人のガキの号泣は破壊力ある。
「当たり前だろうが。おい、ロニー」
「はい?」
ガキに圧倒されて壁に背中を張り付けていた。
ベイル部隊長はまとわりつくガキを押し退けて俺の目の前に。
すぐに胸ぐらを掴んだと思ったら、荒っぽく引き寄せられて、がつんとぶつける勢いでキスされた。
ビビって咄嗟に張り手。
パーンと肌の弾けた音。
「が、ガキの、前で、あんた、馬鹿かよ」
「……いてぇ」
キレた顔で睨まれてこっちの勢いが削がれた。
これは上官への暴行に当たるわ。
「す、いま、せん」
謝るけどまともに話せない。
静かになったガキどもの視線が居たたまれない。
見るな。
頼む。
俺は半泣きだ。
「いい。仕事に行け」
「は、い」
追い払うように手を振られて、背中をずりずりと壁にすりつけながら外へ飛び出した。
仕事に行く前に家へ帰って部屋で泣いた。
俺、人前は無理。
野外プレイ無理。
しょっちゅう昼間の中庭で見せびらかしながら事を致すダグとカナン様の心臓に剛毛生えてるんじゃねぇかと脳内で突っ込み入れた。
お互いまだケツは未通だけど。
二人で清い処女。
朝から下ネタを脳内に巡らせてあくびをした。
木窓の隙間からめっちゃ明るい日差しが漏れてる。
昼前くらいかな。
朝、空が白くなるまでイチャイチャしてたもんな。
ついでに俺が枕にしているベイル部隊長は先に起きている。
俺の頭を撫でて髪をほぐしながら手遊びをしてた。
「おはようございます」
「おはよ」
「う、ぷ」
ぎゅっと抱き締められて息が漏れた。
「俺は夜勤だけどお前は午後から出勤だったろ?そろそろ飯食って仕事行け」
実家から貰ってくると言って、寝台から降りると服を着替え始めた。
「把握してるんですか?」
昨日言ってないのに。
合同以外のスケジュールは隊の独立した采配で動く。
「上官クラスのはな。団長やカナン様から用事を頼まれるから」
またもごもご。
それなら小隊長の親父を把握するだけでいい。
それにうちの小隊は副官の俺と副官補佐の弟、三人交代の24時間体制で勤務してるから穴はない。
分かりやすすぎ。
「そう言えばいつも俺の休みに合わせてくれますもんね。ありがとうございます」
「う、む。……行ってくる。勝手に帰るなよ」
「分かりました」
盛大に狼狽えた背中をニヤニヤしながら見送った。
こういうことかとも納得する。
俺のどこが可愛いってんだと疑問だったが、ベイル部隊長のああいう反応は可愛い。
なるほどなぁーとくすくす笑っているとまたベイル部隊長が戻ってきた。
「忘れてた」
すぐに昨日の皿を持って扉へ向かうから呼び止めた。
「新しい水を汲みに行ってきますよ」
乾かしていた桶を掴んで俺も行こうとすると取り上げられて首をかしげる。
「部屋にいろ。俺がしておく」
「……水はいつも俺がしてるじゃないですか」
少し顔をしかめて悩んでた。
昨日の騒ぎのせいだろう。
「まあ、目立ちますもんね。すいません」
「おい」
「はい?」
じろりとねめつけられて一瞬固まった。
しばらく俺をじっとり観察したあと空の桶に皿を入れて側に置くと、空いた両手で顔を挟まれた。
「な、なんですか?」
睨まれてるし、顔をぐにぐに揉まれて恥ずかしいんですけど?
「緩い顔してるぞ。外に行くならシャキッとしろ。仕事もあるのに」
「へ?」
「……雰囲気もゆるゆる。急になんだ?こんなに、」
「ん、は、」
ちゅぱ、と唇を舐めて隙間から口内へ侵入してくる。
「ん、朝っぱら、から、溶けた顔してる」
言われて頭にぼんっと血が昇った。
「そ、そんなことありませんよ?」
「垂れてる」
目元に鼻を擦られて頬にキス。
「見たことないくらいのタレ目になってる」
「まさかぁ?気のせいですって。いてて、ちょっとぉ、ベイル部隊長?」
びよびよと頬っぺたを両方から引っ張られて慌てた。
「水汲みは頼むけど、こんな緩い顔で外歩くな。心配になる」
「何の心配ですか?昼間っから。しかも女じゃあるまいし。いてて、いてぇってば、」
一段と強めに引っ張られてどう言うことよ。
「この無自覚のアホ」
「こんなの気に入るのベイル部隊長くらいでしょうが」
「本当にアホだな?ダグしか見てないから鈍いんだ。もっと視野を広く持て。そんなんだから防御が甘い」
「はぁぁ?そこまで広がる話ですか?」
「そうだよ。よし、少しはましな顔になったか」
やっと顔から手を離して、行くぞ、このタレ目って許された。
途中、別れて俺は近くの井戸へ、ベイル部隊長はまっすぐ向かいの実家へ入った。
小言が多くて、顔を緩めるなだの寄り道するなだのやかましい。
俺はガキじゃねぇってば。
むすくれて井戸の綱が結んである手桶を組み上げた。
「あら、おはよう軍医さん」
「おはようございます」
「今日も部隊長さんとお酒?」
「はい」
近所の顔見知りになった奥さん方と挨拶。
最初、ビビらせてたけど丁寧に接してたら慣れてきた。
少ないけどこうやって気にしない人もいる。
地元の人ばかりでベイル部隊長のことを子供の頃から知ってる人ばっか。
ベイル部隊長の部下ってことで受け入れられたんだと思う。
顔の包帯の話題になり、数人は昨日の騒ぎを知っていて話を聞いたら、災難だったねと同情された。
頼まれて数人の水汲みを手伝ってから部屋に戻ったら、またガキの集団とベイル部隊長の怒鳴り声。
「来るなと言っただろうが?!何しに来た?!」
「別に謝ったからいいじゃん!今日は川釣りの約束だろ?!連れてってよ!」
「そうだよ!約束したのにひどいじゃないか!」
「謝ったからって簡単に許されると思ってるのか?!あいつの怪我が治るまでは許さんからな!帰れ!」
「なんでだよ!謝ったならそれでいいだろ?!ケチ!」
「良くない!このアホども!」
すげぇ、あいつら。
こんだけ怒鳴られてるのに負けじと怒鳴り返してる。
怒られて泣いてる奴もいるが、強気に押し通そうと騒いでる奴も。
こいつらの扱いはベイル部隊長でも苦労してるんだと思ったら昨日、ガキの扱いも出来ないと落ち込んだのが和らいだ。
身内とは言え、コルトナー私兵団のナンバー2にこの反骨精神で対抗するのか。
とんでもねぇガキどもだと感心した。
「あ!ロニー!悪い!またこいつらが勝手に、」
「ぎゃー!まだあいつ居やがった!」
「仕返しに来やがったのか?!」
「やっつけてやる!」
「ふざけたことを言うな!」
怒りまくるベイル部隊長とアホすぎるガキどもにぽかんとした。
「ぷっ、」
たまんねぇ。
面白すぎる。
呆れて笑ってるとガキどもが顔を見合わせて狼狽えた。
「ベイル部隊長、水汲み終わりました。ぷくく、」
ガキどもは無視してベイル部隊長へ俺を見せた。
ベイル部隊長は俺の態度に驚いていたが、すんなり扉を開けて招いてくれた。
「おっと、」
入る前にガキの一人に服を引っ張られた。
「なんでだよ!ベイル兄ちゃん!そいつばっかり遊んでずるい!こんな奴嫌いだ!バカバカバカ!」
バタバタと乱暴に掴んで振り回してる。
一番、強気だったガキがぼろぼろ泣いていたので頭を撫でた。
「ああ、お前らそれで怒ってるのか。ごめんな、もう飯食ったら帰るから。俺も仕事だし」
どんなくそガキでもやっぱり子供だ。
優しく話しかけると大人しくなった。
涙に濡れて恨めしそうに睨む瞳に優しく笑ってみた。
「ここはアパートなんだから、そんな大声は出すな。近所迷惑になるし、ベイル部隊長の迷惑になるぞ?困らせたらまた来るなって怒られるから大人しくするんだよ?」
一瞬ガキの目が和らいだが、またキッときつく吊り上がった。
「白い死神なんか嫌いだ!男のくせにベイル兄ちゃんに好かれてるのもおかしいんだからな!気持ちわりぃ!」
そう来るか。
というか、こいつらにまで教えたのか。
アホ?
白い目でベイル部隊長を見ると慌てた顔をブンブンと横に振っている。
「あ、姉貴に聞いたんだろ」
「簡単に言うからですよ」
「ぐっ」
初めて論破したわ。
何か言いたそうにパクパクしてるのを黙って見下げていたら頭を抱えてしおれてる。
ざまぁ。
「もう帰りますね」
ガキにしがみつかれているし、寝台の端に置いてある洗濯済みの服を指さして、それをくださいと頼むとため息をつきながら持ってきてくれた。
「お姉さんによろしく伝えてください。お礼もお願いします」
「……悪い」
「いえ、俺がこんなだからしょうがないですよ」
普通の女ならよかったんだろう。
男でもダグやルガンダ兄さんみたいなら。
うちの家系ってこともあれだしな。
仕方ないと思った。
でも俺は家族が好きだし、拷問と言っても治験が中心で割かし人のためになってるから必要なことと割り切ってる。
気持ちがえぐれるところもあるが、大したことない。
ベイル部隊長とのやり取りのおかげでそこまでへこんでない。
あのぬるい心地好さと熱い激情に翻弄されて満足していたから。
今も俺のことばかり気にして顔色を伺うのも気分がいい。
「……また飲みに来るか?」
珍しく控えめに聞いてきた。
そう言われてもなぁ。
ちらっと子供らへ視線を送って眉をしかめた。
来たいのは山々なんだけど無理じゃね?
まだ兄ちゃん兄ちゃんと騒いでる。
「……タイミングが合えば。……またゆっくり会いたいんで。でも難しそうですね」
ぼそっと答えると、ううっと唸って顔をしかめてた。
「……もう絶対引っ越す」
「は?」
「明日にでもだ。今日、部屋探ししてやる。こいつらには教えねぇ」
「ちょ、ベイル部隊長?」
目が本気だ。
それを聞いたガキどもはギャン泣き。
子供特有の甲高い悲鳴が頭いてぇ。
「なんでだよー!ベイル兄ちゃんのばかぁぁ!うあーん!」
「えーん!ばかばか!兄ちゃんなんか嫌いだぁ!」
「このおっさんばっかり構ってずるいぃ!」
8人のガキの号泣は破壊力ある。
「当たり前だろうが。おい、ロニー」
「はい?」
ガキに圧倒されて壁に背中を張り付けていた。
ベイル部隊長はまとわりつくガキを押し退けて俺の目の前に。
すぐに胸ぐらを掴んだと思ったら、荒っぽく引き寄せられて、がつんとぶつける勢いでキスされた。
ビビって咄嗟に張り手。
パーンと肌の弾けた音。
「が、ガキの、前で、あんた、馬鹿かよ」
「……いてぇ」
キレた顔で睨まれてこっちの勢いが削がれた。
これは上官への暴行に当たるわ。
「す、いま、せん」
謝るけどまともに話せない。
静かになったガキどもの視線が居たたまれない。
見るな。
頼む。
俺は半泣きだ。
「いい。仕事に行け」
「は、い」
追い払うように手を振られて、背中をずりずりと壁にすりつけながら外へ飛び出した。
仕事に行く前に家へ帰って部屋で泣いた。
俺、人前は無理。
野外プレイ無理。
しょっちゅう昼間の中庭で見せびらかしながら事を致すダグとカナン様の心臓に剛毛生えてるんじゃねぇかと脳内で突っ込み入れた。
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