19 / 120
19
しおりを挟む
悲鳴の聞こえた先。
近衛や夜番の使用人も集まってる。
この先はルルドラ王子のお泊まりのお部屋。
「ルルドラ王子!」
「まさかルルドラが狙われたのか?!」
回りの近衛の剣を取り上げて、しかも突き飛ばす勢いで近衛の一人に私を押し付けたと思ったら、すごい早さで走って消えた。
本当に消えたって感じ。
でもすぐに追い付いた。
やっぱり悲鳴はルルドラ王子の部屋から。
泣き叫んでたのはルルドラ王子だった。
この世の終わりみたいな叫び声が怖かった。
きぃえええ、きいやああ、みたいな。
殺されてるみたいな、必死な声。
陛下とリカルド王子が何があったと問うけど泣き叫ぶだけで急にふつりと倒れてしまった。
「ルルドラ!」
「おい!しっかりしろ!御殿医を早く!」
すぐに御殿医が呼ばれてルルドラ王子を診てくださって、気付け薬を飲ますとガバッと飛び起きた。
すっごい苦いって。
こんな風に飛び起きるほど。
げぇげぇと吐きそうになってるから口直しの薬草を噛んでる。
何があったのか当事者のルルドラ王子はきょとんとしてるし、皆は叫び声に集まったと陛下が説明したら青ざめて泣き出した。
今度はさっきみたいなのじゃなくて落ち着いてる。
「陛下!兄上!ごめんなさい!」
ルルドラ王子の隠していたご病気。
眠るとああなるって。
死ぬんじゃないかって声で泣き叫んで暴れるって。
この1年でどんどん頻度が増えて、起きてもその時の記憶がないって話してた。
「も、申し訳ありません!こ、こんな、おかしい!僕はおかしい!頭がおかしいんです!皇太子なんか無理だ!うわあああっ!」
寝台で背中を丸めて号泣してる。
陛下は青ざめて椅子にどっと座って、リカルド王子も戸惑ってる。
私もどうしていいのか分からない。
でもルルドラ王子が泣くのは悲しい。
ゲームで負けて泣いていた時よりも苦しい。
とても辛そう。
勝手なことと思ったけど、放心する陛下とリカルド王子の間を抜けて、小さな背中に手を添えた。
きっとルーラさんとメイド長ならこうしてくれる。
二人が私にしてくれたみたいに。
自分はおかしい、ごめんなさいと叫ぶ10才のルルドラ王子のお気持ちが辛くて私も泣いてた。
細くて小さな肩を抱き締めたいけど、私の膝と両手にすがってる。
震える身体をリカルド王子がそっと抱き締めてくれた。
陛下もそろり、そろりと近寄ってルルドラ王子の背中と頭に手を添えてくれる。
「失礼します。ルルドラ王子、ご容赦を」
側にいた御殿医がルルドラ王子のお顔に布を宛がったら急に動かなくなってしまった。
「ルルドラ王子!?ルルドラ王子?!」
何が起きたのか分からず私が驚いてるのに陛下とリカルド王子はほっとしてる。
「ご安心を。眠くなるだけです。少々、強い副作用があるので乱用は出来ませんが」
「でも、」
「ライン、御殿医は信用していい。この子の側にいてやってくれ」
陛下になだめられて頷くしかない。
少し三人で相談するって。
私はルルドラ王子の側にいるしかできない。
二人だけ。
私達しか部屋に入れなたくないって。
どうしよう。
「……うっ、あ、」
静かな部屋に微かに聞こえるのはルルドラ王子の呻き声だけ。
強い薬で眠っても苦しんでる。
まだ10才の私より小さな男の子が。
ピクピクと動く細い手を握って背中をさすり慰めるしかできない。
「陛下と、リカルド王子が必ず治してくださいます。私も出来ることをします。ルルドラ王子、苦しまないで。お側にいますから」
眠ってるのに泣いてる。
きっと怖い夢を見てるんだ。
近衛や夜番の使用人も集まってる。
この先はルルドラ王子のお泊まりのお部屋。
「ルルドラ王子!」
「まさかルルドラが狙われたのか?!」
回りの近衛の剣を取り上げて、しかも突き飛ばす勢いで近衛の一人に私を押し付けたと思ったら、すごい早さで走って消えた。
本当に消えたって感じ。
でもすぐに追い付いた。
やっぱり悲鳴はルルドラ王子の部屋から。
泣き叫んでたのはルルドラ王子だった。
この世の終わりみたいな叫び声が怖かった。
きぃえええ、きいやああ、みたいな。
殺されてるみたいな、必死な声。
陛下とリカルド王子が何があったと問うけど泣き叫ぶだけで急にふつりと倒れてしまった。
「ルルドラ!」
「おい!しっかりしろ!御殿医を早く!」
すぐに御殿医が呼ばれてルルドラ王子を診てくださって、気付け薬を飲ますとガバッと飛び起きた。
すっごい苦いって。
こんな風に飛び起きるほど。
げぇげぇと吐きそうになってるから口直しの薬草を噛んでる。
何があったのか当事者のルルドラ王子はきょとんとしてるし、皆は叫び声に集まったと陛下が説明したら青ざめて泣き出した。
今度はさっきみたいなのじゃなくて落ち着いてる。
「陛下!兄上!ごめんなさい!」
ルルドラ王子の隠していたご病気。
眠るとああなるって。
死ぬんじゃないかって声で泣き叫んで暴れるって。
この1年でどんどん頻度が増えて、起きてもその時の記憶がないって話してた。
「も、申し訳ありません!こ、こんな、おかしい!僕はおかしい!頭がおかしいんです!皇太子なんか無理だ!うわあああっ!」
寝台で背中を丸めて号泣してる。
陛下は青ざめて椅子にどっと座って、リカルド王子も戸惑ってる。
私もどうしていいのか分からない。
でもルルドラ王子が泣くのは悲しい。
ゲームで負けて泣いていた時よりも苦しい。
とても辛そう。
勝手なことと思ったけど、放心する陛下とリカルド王子の間を抜けて、小さな背中に手を添えた。
きっとルーラさんとメイド長ならこうしてくれる。
二人が私にしてくれたみたいに。
自分はおかしい、ごめんなさいと叫ぶ10才のルルドラ王子のお気持ちが辛くて私も泣いてた。
細くて小さな肩を抱き締めたいけど、私の膝と両手にすがってる。
震える身体をリカルド王子がそっと抱き締めてくれた。
陛下もそろり、そろりと近寄ってルルドラ王子の背中と頭に手を添えてくれる。
「失礼します。ルルドラ王子、ご容赦を」
側にいた御殿医がルルドラ王子のお顔に布を宛がったら急に動かなくなってしまった。
「ルルドラ王子!?ルルドラ王子?!」
何が起きたのか分からず私が驚いてるのに陛下とリカルド王子はほっとしてる。
「ご安心を。眠くなるだけです。少々、強い副作用があるので乱用は出来ませんが」
「でも、」
「ライン、御殿医は信用していい。この子の側にいてやってくれ」
陛下になだめられて頷くしかない。
少し三人で相談するって。
私はルルドラ王子の側にいるしかできない。
二人だけ。
私達しか部屋に入れなたくないって。
どうしよう。
「……うっ、あ、」
静かな部屋に微かに聞こえるのはルルドラ王子の呻き声だけ。
強い薬で眠っても苦しんでる。
まだ10才の私より小さな男の子が。
ピクピクと動く細い手を握って背中をさすり慰めるしかできない。
「陛下と、リカルド王子が必ず治してくださいます。私も出来ることをします。ルルドラ王子、苦しまないで。お側にいますから」
眠ってるのに泣いてる。
きっと怖い夢を見てるんだ。
14
あなたにおすすめの小説
公爵家の次女ですが、静かに学園生活を送るつもりでした
佐伯かなた
恋愛
王国でも屈指の名門、公爵アルヴィス家。
その家には、誰もが称賛する完璧な令嬢がいた。
長女ソフィア。
美貌、知性、礼儀、すべてを備えた理想の公爵令嬢。
そして──もう一人。
妹、レーネ・アルヴィス。
社交界ではほとんど名前も出ない、影の薄い次女。
姉ほど目立つわけでもなく、社交の中心にいるわけでもない。
だが彼女は知っている。
貴族社会では、
誰が本当に優れているのかは、静かな場面でこそ分かるということを。
王立学園に入学したレーネは、
礼儀作法、社交、そして人間関係の中で、静かに周囲を観察していく。
やがて──
軽んじていた者たちは気づく。
「公爵家の妹」が、本当はどんな令嬢だったのかを。
これは、
静かな公爵令嬢が学園と貴族社会で評価を覆していく物語。
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
婚約破棄されたので、とりあえず王太子のことは忘れます!
パリパリかぷちーの
恋愛
クライネルト公爵令嬢のリーチュは、王太子ジークフリートから卒業パーティーで大勢の前で婚約破棄を告げられる。しかし、王太子妃教育から解放されることを喜ぶリーチュは全く意に介さず、むしろ祝杯をあげる始末。彼女は領地の離宮に引きこもり、趣味である薬草園作りに没頭する自由な日々を謳歌し始める。
婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』
鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
--
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
乙女ゲームは見守るだけで良かったのに
冬野月子
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した私。
ゲームにはほとんど出ないモブ。
でもモブだから、純粋に楽しめる。
リアルに推しを拝める喜びを噛みしめながら、目の前で繰り広げられている悪役令嬢の断罪劇を観客として見守っていたのに。
———どうして『彼』はこちらへ向かってくるの?!
全三話。
「小説家になろう」にも投稿しています。
手放したのは、貴方の方です
空月そらら
恋愛
侯爵令嬢アリアナは、第一王子に尽くすも「地味で華がない」と一方的に婚約破棄される。
侮辱と共に隣国の"冷徹公爵"ライオネルへの嫁入りを嘲笑されるが、その公爵本人から才能を見込まれ、本当に縁談が舞い込む。
隣国で、それまで隠してきた類稀なる才能を開花させ、ライオネルからの敬意と不器用な愛を受け、輝き始めるアリアナ。
一方、彼女という宝を手放したことに気づかず、国を傾かせ始めた元婚約者の王子。
彼がその重大な過ちに気づき後悔した時には、もう遅かった。
手放したのは、貴方の方です――アリアナは過去を振り切り、隣国で確かな幸せを掴んでいた。
お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました
蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。
家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。
アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。
閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。
養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。
※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる