婚約破棄騒動を起こした廃嫡王子を押し付けられたんだけどどうしたらいい?

うめまつ

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悲鳴の聞こえた先。

近衛や夜番の使用人も集まってる。

この先はルルドラ王子のお泊まりのお部屋。

「ルルドラ王子!」

「まさかルルドラが狙われたのか?!」

回りの近衛の剣を取り上げて、しかも突き飛ばす勢いで近衛の一人に私を押し付けたと思ったら、すごい早さで走って消えた。

本当に消えたって感じ。

でもすぐに追い付いた。

やっぱり悲鳴はルルドラ王子の部屋から。

泣き叫んでたのはルルドラ王子だった。

この世の終わりみたいな叫び声が怖かった。

きぃえええ、きいやああ、みたいな。

殺されてるみたいな、必死な声。

陛下とリカルド王子が何があったと問うけど泣き叫ぶだけで急にふつりと倒れてしまった。

「ルルドラ!」

「おい!しっかりしろ!御殿医を早く!」

すぐに御殿医が呼ばれてルルドラ王子を診てくださって、気付け薬を飲ますとガバッと飛び起きた。

すっごい苦いって。

こんな風に飛び起きるほど。

げぇげぇと吐きそうになってるから口直しの薬草を噛んでる。

何があったのか当事者のルルドラ王子はきょとんとしてるし、皆は叫び声に集まったと陛下が説明したら青ざめて泣き出した。

今度はさっきみたいなのじゃなくて落ち着いてる。

「陛下!兄上!ごめんなさい!」

ルルドラ王子の隠していたご病気。

眠るとああなるって。

死ぬんじゃないかって声で泣き叫んで暴れるって。

この1年でどんどん頻度が増えて、起きてもその時の記憶がないって話してた。

「も、申し訳ありません!こ、こんな、おかしい!僕はおかしい!頭がおかしいんです!皇太子なんか無理だ!うわあああっ!」

寝台で背中を丸めて号泣してる。

陛下は青ざめて椅子にどっと座って、リカルド王子も戸惑ってる。

私もどうしていいのか分からない。

でもルルドラ王子が泣くのは悲しい。

ゲームで負けて泣いていた時よりも苦しい。

とても辛そう。

勝手なことと思ったけど、放心する陛下とリカルド王子の間を抜けて、小さな背中に手を添えた。

きっとルーラさんとメイド長ならこうしてくれる。

二人が私にしてくれたみたいに。

自分はおかしい、ごめんなさいと叫ぶ10才のルルドラ王子のお気持ちが辛くて私も泣いてた。

細くて小さな肩を抱き締めたいけど、私の膝と両手にすがってる。

震える身体をリカルド王子がそっと抱き締めてくれた。

陛下もそろり、そろりと近寄ってルルドラ王子の背中と頭に手を添えてくれる。

「失礼します。ルルドラ王子、ご容赦を」

側にいた御殿医がルルドラ王子のお顔に布を宛がったら急に動かなくなってしまった。

「ルルドラ王子!?ルルドラ王子?!」

何が起きたのか分からず私が驚いてるのに陛下とリカルド王子はほっとしてる。

「ご安心を。眠くなるだけです。少々、強い副作用があるので乱用は出来ませんが」

「でも、」

「ライン、御殿医は信用していい。この子の側にいてやってくれ」

陛下になだめられて頷くしかない。

少し三人で相談するって。

私はルルドラ王子の側にいるしかできない。

二人だけ。

私達しか部屋に入れなたくないって。

どうしよう。

「……うっ、あ、」

静かな部屋に微かに聞こえるのはルルドラ王子の呻き声だけ。

強い薬で眠っても苦しんでる。

まだ10才の私より小さな男の子が。

ピクピクと動く細い手を握って背中をさすり慰めるしかできない。

「陛下と、リカルド王子が必ず治してくださいます。私も出来ることをします。ルルドラ王子、苦しまないで。お側にいますから」

眠ってるのに泣いてる。

きっと怖い夢を見てるんだ。
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