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40※近衛隊長
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案の定ド派手で品のない仮面舞踏会。
給仕には女だけではなく子供と言っていい年齢の男まで揃えて客に提供しているのが気持ち悪い。
裕福な商人の主催。
成金趣味の彼らはわざとけばけばしく豪奢に執り行い、社交界ではあり得ないサービスでもてなす。
庶民の富裕層の他に仮面をつけても服装と背格好で多くの貴族が来ているのは分かる。
その上、数人の部下を見つけて眉をしかめた。
「……あいつら」
「……あら、あの方々は。……ふふ、こんなところでお会いするなんて」
呟くと察したルーラは扇で隠しながらだらしなく過ごす部下達を見つけてフッと小さく鼻を鳴らしている。
クックッと笑い続ける様子を横目に伺うと仮面から見える口元は小馬鹿にしてることを隠していない。
王宮では見せない開けっ広げな勝ち気さと今の装いが相まってイバラをまとった女王然とした態度にみとれていた。
羽目を外した部下のことなど忘れて男を見下したルーラの立ち振舞いに良い女だとそれだけが浮かび、唇を舐めた。
「あれらはいい。……それで話はまだ教えてくれないのか」
「またお聞きになるの?焦らないでくださいまし」
先程の邸宅でも馬車の中でも同じ返答。
「いい加減話してもらわないと」
そう言って粘ると仮面と羽飾りの扇から見せる視線に何やら睨み付けられて一瞬たじろいだ。
「私からは憚られる内容ですので主にお尋ねくださいませ」
「……最初から話す気がなかったようだな」
「まあ」
気づかなかったのかと意外そうに丸くなり、すぐにからかうように細めた。
遊ばれていることに腹が立ち軽く睨むと扇を口許にふわふわ揺らして臆することなく笑っている。
「ふふ、許してくださるかしら。でもお心が広い方がいいわ。私のこと甘やかしてくださる?」
「そういう手管も使えるわけか」
鼻にかかった声でしなだれる。
今夜初めて見せる慣れた女の仕草にどぎまぎしているが、それを隠して冷たく返事を返した。
「機嫌を損ねてしまったみたい。逃げたくなりましたわ」
「どこに行く気だ」
寄せた体が嬉しくて手を添えようとしたのにスルッと抜けてしまった。
「捕まえないでくださいまし。殿方なのだからどっしりと構えてらして。すぐに戻ります。それでは後程」
捕まえようにも伸ばした手を扇であしらわれて払われてしまう。
未練たらしく後ろ姿を見送っているとルーラの妖艶さに寄ってくる男達を扇ひとつ振るだけで遠ざけて賑やかな喧騒の中に隠れてしまった。
無下にあしらわれ姿が見えなくなったからと怒るつもりも捨て置くつもりもなく、護衛として呼ばれたのだからあちらから見えぬように遠巻きに視線を向けて離さぬようにした。
仕事の邪魔立てをするつもりはない。
女であれ彼女も主に忠誠を捧げている。
若い男のように短慮からがっついて追いかければ見下されてしまうだろう。
それもプライドに障る。
客人の隙間を縫ってドリンクを配る給仕から通り過ぎ様にグラスをひとつ取り上げて会場を見渡せる飾り階段へと向かった。
彼女の動きを見るなら高い場所がいい。
護衛として呼んだと言うがあれだけ場に溶け込み男のあしらいが上手いのだ。
高台から彼女を見るがするすると人波を泳ぎどこかの目的地へと進んでる。
子供っぽい奥様よりも指先や視線の動かし方まで色っぽく洗練されている。
立ち振舞いは気品のある貴族的にも見えるし、時折見せるわざとらしい大袈裟な所作は娼婦や女優らしいようにも見える。
気に入ったと男心がくすぐられるのと共に面白いとも思う。
貴族の傍流なのか出自が分からない。
悟らせる会話もなく、ただリカルド王子の駒のひとりと理解しているが……
いつの間にこんな使用人を見つけたのか、普段は陛下の近衛が所属とはいえ、長年皇太子であられたリカルド王子のお側にいたつもりだったのに。
そして上から一人気ままに振る舞うルーラを眺めて私のエスコートの必要など感じない。
パトロン探しの目的で紛れ込んだ女優のひとりにしか見えない。
私を共につけた理由は陛下への報告に私を使いたいのだろう。
だからリカルド王子は私を呼び、陛下はそれをお認めになった。
知らぬまま事だけを見ておけということか。
相変わらずリカルド王子は人遣いが荒いと苦笑いがこぼれる。
それと察して王家の望みのまま動けという見えない圧を感じて気が引き締まった。
給仕には女だけではなく子供と言っていい年齢の男まで揃えて客に提供しているのが気持ち悪い。
裕福な商人の主催。
成金趣味の彼らはわざとけばけばしく豪奢に執り行い、社交界ではあり得ないサービスでもてなす。
庶民の富裕層の他に仮面をつけても服装と背格好で多くの貴族が来ているのは分かる。
その上、数人の部下を見つけて眉をしかめた。
「……あいつら」
「……あら、あの方々は。……ふふ、こんなところでお会いするなんて」
呟くと察したルーラは扇で隠しながらだらしなく過ごす部下達を見つけてフッと小さく鼻を鳴らしている。
クックッと笑い続ける様子を横目に伺うと仮面から見える口元は小馬鹿にしてることを隠していない。
王宮では見せない開けっ広げな勝ち気さと今の装いが相まってイバラをまとった女王然とした態度にみとれていた。
羽目を外した部下のことなど忘れて男を見下したルーラの立ち振舞いに良い女だとそれだけが浮かび、唇を舐めた。
「あれらはいい。……それで話はまだ教えてくれないのか」
「またお聞きになるの?焦らないでくださいまし」
先程の邸宅でも馬車の中でも同じ返答。
「いい加減話してもらわないと」
そう言って粘ると仮面と羽飾りの扇から見せる視線に何やら睨み付けられて一瞬たじろいだ。
「私からは憚られる内容ですので主にお尋ねくださいませ」
「……最初から話す気がなかったようだな」
「まあ」
気づかなかったのかと意外そうに丸くなり、すぐにからかうように細めた。
遊ばれていることに腹が立ち軽く睨むと扇を口許にふわふわ揺らして臆することなく笑っている。
「ふふ、許してくださるかしら。でもお心が広い方がいいわ。私のこと甘やかしてくださる?」
「そういう手管も使えるわけか」
鼻にかかった声でしなだれる。
今夜初めて見せる慣れた女の仕草にどぎまぎしているが、それを隠して冷たく返事を返した。
「機嫌を損ねてしまったみたい。逃げたくなりましたわ」
「どこに行く気だ」
寄せた体が嬉しくて手を添えようとしたのにスルッと抜けてしまった。
「捕まえないでくださいまし。殿方なのだからどっしりと構えてらして。すぐに戻ります。それでは後程」
捕まえようにも伸ばした手を扇であしらわれて払われてしまう。
未練たらしく後ろ姿を見送っているとルーラの妖艶さに寄ってくる男達を扇ひとつ振るだけで遠ざけて賑やかな喧騒の中に隠れてしまった。
無下にあしらわれ姿が見えなくなったからと怒るつもりも捨て置くつもりもなく、護衛として呼ばれたのだからあちらから見えぬように遠巻きに視線を向けて離さぬようにした。
仕事の邪魔立てをするつもりはない。
女であれ彼女も主に忠誠を捧げている。
若い男のように短慮からがっついて追いかければ見下されてしまうだろう。
それもプライドに障る。
客人の隙間を縫ってドリンクを配る給仕から通り過ぎ様にグラスをひとつ取り上げて会場を見渡せる飾り階段へと向かった。
彼女の動きを見るなら高い場所がいい。
護衛として呼んだと言うがあれだけ場に溶け込み男のあしらいが上手いのだ。
高台から彼女を見るがするすると人波を泳ぎどこかの目的地へと進んでる。
子供っぽい奥様よりも指先や視線の動かし方まで色っぽく洗練されている。
立ち振舞いは気品のある貴族的にも見えるし、時折見せるわざとらしい大袈裟な所作は娼婦や女優らしいようにも見える。
気に入ったと男心がくすぐられるのと共に面白いとも思う。
貴族の傍流なのか出自が分からない。
悟らせる会話もなく、ただリカルド王子の駒のひとりと理解しているが……
いつの間にこんな使用人を見つけたのか、普段は陛下の近衛が所属とはいえ、長年皇太子であられたリカルド王子のお側にいたつもりだったのに。
そして上から一人気ままに振る舞うルーラを眺めて私のエスコートの必要など感じない。
パトロン探しの目的で紛れ込んだ女優のひとりにしか見えない。
私を共につけた理由は陛下への報告に私を使いたいのだろう。
だからリカルド王子は私を呼び、陛下はそれをお認めになった。
知らぬまま事だけを見ておけということか。
相変わらずリカルド王子は人遣いが荒いと苦笑いがこぼれる。
それと察して王家の望みのまま動けという見えない圧を感じて気が引き締まった。
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