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49※近衛隊長
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いくつかのパティスリーで買い物を済ませたあとレストランでご休憩のご予定だ。
「フォルクス。君が中へついてこい」
「え?リカルド王子?」
中の護衛は先輩なのか。
先程まで買い物に入った店内の警護は私だったのに急にどうしたのだ。
「ルーラと買い物してこい。私達はここで食事をしたら帰る」
「えっ?!」
「あれに用事を頼んだ。付き添いを頼むぞ」
驚いてるのは私だけで誰も動じてない。
ルーラが嫌な顔をするのではと怯んだが、以前と変わらない態度でよろしくお願いいたしますと頭を下げた。
冷たいことには変わりない。
「しかし、お三方の警護は私の目の届くところでなくては」
「仕込みはフォルクスの部下ばかりだから彼が残った方がやりやすい」
特に大事にしている使用人だからお前に頼むと言われてくすぐられる。
「どうしてもと言うならフォルクスの部下を借りるしかないなぁ」
「いやぁー、うちのは若いのばかりで美人に目がないんですよねぇ。女性の護衛にはなぁ。よろしくないんですけどぉ。注意はしときますがなにぶん若い衆ですからねぇ。城下じゃぁ、見たことないような高嶺の花と出会えて逆上せるだろうなぁ」
「行きます!」
ああ!またこの二人に転がされてる!
自覚がある!
二人にかかれば昔からこんなだ!
では行ってこいと払われて、戸惑いながらルーラと連れ立ってふた手に別れ、どこに行くのか少しここから遠いらしく馬に乗ると言うので、腰掛けさせて私も馬上を跨いだ。
「どこへ向かえばいい」
「洋装の専門店街へお願いします」
「何を買うんだ?」
「奥様へ送るプレゼントの下見に参ります。ご結婚記念日まで間がないのに決まらないそうです」
「任されたのか?」
「私も一緒に選んだ方が奥様が喜ぶからと。奥様もぜひ見てきてほしいと仰ってくださいました」
私の前に座って顔を見せないが先程から声が弾んでるのが分かった。
後ろから見る背中も心なしか浮き足立ってる。
苦手がる私のことなど気にならないほどお二人からの信頼が嬉しいのだ。
会話はなくても彼女の心は奥様への買い物のことばかりでそれを喜んでいるのが伝わってきた。
機嫌のいい彼女と過ごせることに私も安心して静かにルーラを眺めていた。
「ああ、素敵なお店ばかりぃ」
専門店が並ぶ街並みに入れば素っ気なかった態度が嘘のように消えて女性らしくはしゃいで楽しんでいた。
「どうでしょうか?こちらは殿方からご覧になって」
どのお店に入りましょうと目を輝かせて尋ねるから胸が高鳴って緊張してしまう。
とっさに近くの若々しい女性が好みそうな店を指差した。
「奥様にならイメージはあそこの店だが」
「あ、あそこは未婚の女性向けの」
「そうなのか。失礼。やはり私では女性ものが分からないから好きに入ってくれ」
「いえ、参考になりました。回りからご覧になってまだまだ幼さが抜けておられないのですね。側の私共が気を付けなくては」
奥様として磨かねばとやる気を出している。
ルーラは選んだ店舗に入ってからもあれがいい、これがいい、どれも奥様に似合うと小物やドレスを引っ張り出して喜ぶ。
「特別なお品を選ばなくては。どんなものがいいかしら。奥様が好むのはお勉強と刺繍ばかりで贈り物にするには味気ないとリカルド様もずいぶん悩まれているんです」
殿方の意見も聞きたいと話しかけてくるし、こんなに饒舌な彼女は初めてでこっちまで楽しくなってきた。
しかしルーラの選ぶ品に首をかしげた。
「夜会や式典に参加されないから普段着ばかりになるなぁ」
よくお召しになるものを選ぶなら王宮のプライベートで過ごす簡素な装い。
孤児院の訪問で外へ定期的に行かれるが、場を考慮して質素な装いを選ばれる。
たまに院の子達と遊ぶらしくブーツを履いていたり、針仕事を教えるから糸屑まみれで帰ってきたりと華やかさは二の次。
特別感がないし、これなら王宮のお針子が普段作ってるものと大差がないように思えた。
「宝石や装飾品もご興味が薄くてあまりつけたがりません。見るだけでいいと仰って今の装いで充分すぎると喜んで。……たまには豪華に仕上げてみたいのですけどね。……一度くらい」
「一度もないのか?」
「ええ、残念ながら。お立場がございますし、奥様本人がそういう装いは選ばれません」
「ああいう華やかなドレスを着るのは女性の憧れじゃないか?リカルド様もご覧になりたかろう」
私もまたあの美しく着飾ったルーラを見たい。
「……そうですよね」
ぶつぶつとリカルド様を満足させて奥様を喜ばせるものはどれだと呪文のように唱える。
夢中になる彼女の後ろ姿を眺めながら店内の商品に目を向けて、彼女にはこれが似合いそうだ、こっちを着せたいと口に出さず心に描くだけにした。
ふと立ち止まって動かなくなったので彼女の視線の先を見つめると、奥の目立つ壁に大きな額縁に飾られた純白のドレスに目を奪われていた。
「おお、これは」
「……すごい。……綺麗」
細部に至るまで全体に施された繊細な刺繍と光に反射して白く輝く銀糸の模様。
ここまで素晴らしいものは私も見たことがなく感心に目を奪われる。
「フォルクス。君が中へついてこい」
「え?リカルド王子?」
中の護衛は先輩なのか。
先程まで買い物に入った店内の警護は私だったのに急にどうしたのだ。
「ルーラと買い物してこい。私達はここで食事をしたら帰る」
「えっ?!」
「あれに用事を頼んだ。付き添いを頼むぞ」
驚いてるのは私だけで誰も動じてない。
ルーラが嫌な顔をするのではと怯んだが、以前と変わらない態度でよろしくお願いいたしますと頭を下げた。
冷たいことには変わりない。
「しかし、お三方の警護は私の目の届くところでなくては」
「仕込みはフォルクスの部下ばかりだから彼が残った方がやりやすい」
特に大事にしている使用人だからお前に頼むと言われてくすぐられる。
「どうしてもと言うならフォルクスの部下を借りるしかないなぁ」
「いやぁー、うちのは若いのばかりで美人に目がないんですよねぇ。女性の護衛にはなぁ。よろしくないんですけどぉ。注意はしときますがなにぶん若い衆ですからねぇ。城下じゃぁ、見たことないような高嶺の花と出会えて逆上せるだろうなぁ」
「行きます!」
ああ!またこの二人に転がされてる!
自覚がある!
二人にかかれば昔からこんなだ!
では行ってこいと払われて、戸惑いながらルーラと連れ立ってふた手に別れ、どこに行くのか少しここから遠いらしく馬に乗ると言うので、腰掛けさせて私も馬上を跨いだ。
「どこへ向かえばいい」
「洋装の専門店街へお願いします」
「何を買うんだ?」
「奥様へ送るプレゼントの下見に参ります。ご結婚記念日まで間がないのに決まらないそうです」
「任されたのか?」
「私も一緒に選んだ方が奥様が喜ぶからと。奥様もぜひ見てきてほしいと仰ってくださいました」
私の前に座って顔を見せないが先程から声が弾んでるのが分かった。
後ろから見る背中も心なしか浮き足立ってる。
苦手がる私のことなど気にならないほどお二人からの信頼が嬉しいのだ。
会話はなくても彼女の心は奥様への買い物のことばかりでそれを喜んでいるのが伝わってきた。
機嫌のいい彼女と過ごせることに私も安心して静かにルーラを眺めていた。
「ああ、素敵なお店ばかりぃ」
専門店が並ぶ街並みに入れば素っ気なかった態度が嘘のように消えて女性らしくはしゃいで楽しんでいた。
「どうでしょうか?こちらは殿方からご覧になって」
どのお店に入りましょうと目を輝かせて尋ねるから胸が高鳴って緊張してしまう。
とっさに近くの若々しい女性が好みそうな店を指差した。
「奥様にならイメージはあそこの店だが」
「あ、あそこは未婚の女性向けの」
「そうなのか。失礼。やはり私では女性ものが分からないから好きに入ってくれ」
「いえ、参考になりました。回りからご覧になってまだまだ幼さが抜けておられないのですね。側の私共が気を付けなくては」
奥様として磨かねばとやる気を出している。
ルーラは選んだ店舗に入ってからもあれがいい、これがいい、どれも奥様に似合うと小物やドレスを引っ張り出して喜ぶ。
「特別なお品を選ばなくては。どんなものがいいかしら。奥様が好むのはお勉強と刺繍ばかりで贈り物にするには味気ないとリカルド様もずいぶん悩まれているんです」
殿方の意見も聞きたいと話しかけてくるし、こんなに饒舌な彼女は初めてでこっちまで楽しくなってきた。
しかしルーラの選ぶ品に首をかしげた。
「夜会や式典に参加されないから普段着ばかりになるなぁ」
よくお召しになるものを選ぶなら王宮のプライベートで過ごす簡素な装い。
孤児院の訪問で外へ定期的に行かれるが、場を考慮して質素な装いを選ばれる。
たまに院の子達と遊ぶらしくブーツを履いていたり、針仕事を教えるから糸屑まみれで帰ってきたりと華やかさは二の次。
特別感がないし、これなら王宮のお針子が普段作ってるものと大差がないように思えた。
「宝石や装飾品もご興味が薄くてあまりつけたがりません。見るだけでいいと仰って今の装いで充分すぎると喜んで。……たまには豪華に仕上げてみたいのですけどね。……一度くらい」
「一度もないのか?」
「ええ、残念ながら。お立場がございますし、奥様本人がそういう装いは選ばれません」
「ああいう華やかなドレスを着るのは女性の憧れじゃないか?リカルド様もご覧になりたかろう」
私もまたあの美しく着飾ったルーラを見たい。
「……そうですよね」
ぶつぶつとリカルド様を満足させて奥様を喜ばせるものはどれだと呪文のように唱える。
夢中になる彼女の後ろ姿を眺めながら店内の商品に目を向けて、彼女にはこれが似合いそうだ、こっちを着せたいと口に出さず心に描くだけにした。
ふと立ち止まって動かなくなったので彼女の視線の先を見つめると、奥の目立つ壁に大きな額縁に飾られた純白のドレスに目を奪われていた。
「おお、これは」
「……すごい。……綺麗」
細部に至るまで全体に施された繊細な刺繍と光に反射して白く輝く銀糸の模様。
ここまで素晴らしいものは私も見たことがなく感心に目を奪われる。
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