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63※ルーラ
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配送の手続きも済んで少し休憩しようとカフェに入った。
「助かりました。ありがとうございます」
「気に入ってくださるといいのですが」
「喜びますよ。男の私が選ぶより若いもの向けで便利なものを探してもらえました」
二人で軽食を食べつつ執事長はコーヒー、私は紅茶を選んだ。
「あれも良さそうですね。石鹸。子供用の物と肌荒れになりにくいというもの」
それに化粧品も。
産後に使うと良いと評判の少し高い化粧水やハンドクリームをお店の方の勧めるままに。
「多すぎましたかねぇ」
「ふふ」
それだけ娘さんが可愛いのだと分かりやすい。
次は息子のお嫁さんに贈る品を頼まれた。
予定より早くお買い物ができたし、二人目を妊娠中らしく、王宮から近くの城下町で暮らしているからこのまま届けたいと仰った。
「二人目ですとそんなに必要な物はございませんね」
一人目の時のお下がりがあるはずだから。
「娘と何か揃えて買ったらよかったですね」
「それも素敵ですね。でも気が早いといけませんし、上にお子さまがいらっしゃるならお菓子なんかがよろしいかと思います」
お品を贈るのは産まれてからしようと決めてご家族で召し上がるお菓子や日持ちのする食材を沢山買って馬に乗せた。
「乗りなさい」
「歩きで構いません」
大荷物に遠慮すると手を引かれた。
「私が歩けば良いだけです。あなた一人くらい馬も平気ですよ」
荷物と一緒に馬に横座りで腰かけたけど、嫌な理由は慣れてないからなのよね。
支えてもらわないとお尻が滑り落ちそう。
「ここの持ち手を掴んでなさい」
「はい」
かっぽ、かっぽと蹄の音がリズム良く、ゆらゆらと揺れながら執事長の先導するペースでゆったりと歩が進む。
意外と慣れたら馬の振動が気持ちいい。
お互い黙っている間も悪くない。
町並みの喧騒が気になることもなく、ゆったりした時間は心地よくて気分がよかった。
「ルーラ」
「はい」
「孫が産まれたらまた買い物に付き合ってくれませんか?」
「私でよろしければ」
「ぜひお願いします」
おじさんの趣味では叱られそうだし、お金だけ渡すのも味気ないと苦笑い。
私の方こそ。
またご一緒していいならぜひ付き添わせてほしい。
私に縁のないものだけど可愛らしい小さな子供服や赤ちゃん用品は見るだけでとても楽しかった。
あれが可愛い、これが素敵とはしゃぐと片っ端から買う豪快な執事長も楽しかった。
息子のお嫁さんには妊婦向けのハーブティーを数種類と同居のご家族のためにお菓子。
あちらに婿入りしてご家族で日用品を扱うお店の切り盛りをしてるそう。
「きゃー!大変!ラドのお義父様が若い女性を連れてきたわー!!!」
「再婚ですか?!ライオネルおじさま!どうしたの!?こんなきれいなひと!」
「まあああ!本当だわー!」
かしましい。
お腹の大きな女性が息子さんの奥さん、その隣は妹さん、もう一人はその二人のお母さん。
この騒ぎに奥から若い男性と執事長より年配の殿方。
息子さんとそのお父さん。
「おお、これはめでたい!おめでとう!」
「親父、再婚するのか?」
「違う」
お使いで街に来ただけ。
奥様が女性の一人歩きは心配するから付き添ったと説明した。
「あーそう。俺達をびっくりさせないでよ」
「早合点をやめなさい」
おふたりのお話を横に聞きながらお孫さんのお人形遊びに付き合っていた。
まだ小さい。
3歳になったばかりの女の子。
アデライトちゃん。
「ルウお姉ちゃん、もっと遊んでぇ」
「何して遊ぶ?」
絵本を読んだり長い髪を櫛でといて結んであげた。
そうしていたら昨日のメイド長を思い出してたしかにこれは楽しいと胸にじわじわ広がる幸せを噛み締める。
「これ、つけたい」
「これ?」
私の髪飾りに興味を持って小さな手を伸ばした。
「少し大きすぎるわ。刺さらないからあなたの飾りを使いましょう」
この子の少ない滑るようなさらさらの髪では残念だけど簡単に落ちてしまう。
「今度、私のあげるね」
使わなくなった小さめの飾り紐がある。
この子の髪に似合いそうなの。
それで飾ってあげたい。
「さて私達はこれで帰ります」
お土産を渡してお茶を一杯いただいた執事長から声をかけられてこの子と離れる名残惜しさでがっかりしてしまった。
「そんなに落ち込まなくても」
「……はい」
ふむと頷いて息子のラドさんにまた連れてきていいかと尋ねてる。
「いい、」
「来て!ぜひいらして!」
「お姉ちゃん!絶対来て!」
ラドさんが答える前にアデライトちゃんと奥さんのアリエッタさん達がずずいと前のめりに迫ってきた。
また来なさいと騒いで、逆に次はいつ来れるのと聞かれて困ってしまう。
「ルーラが驚いてるから落ち着いて。ラド、また連絡します」
「了解。次は生まれた頃がいいかな。親父に二人目を抱っこしてもらいたいし、良かったらルーラさんにも」
ラドさんは幸せそうにアリエッタさんの肩を寄せて大きなお腹をさすり、お二人とも私に微笑みを向ける。
「はい、ぜひ抱っこさせてください」
皆さん、私の訪れを待ち遠しいと喜んでくださった。
なのにいきなり心が冷えた。
“人殺し”
ルルドラ王子の言葉が頭の片隅によぎる。
王妃のことも。
私のおこないを知ったらきっとこんな風に接するはずがない。
私のことを知らないから。
知られたくない。
人が怖い。
私はこのまま怯え続けるの?
まだ苦しまないといけない?
これからずっと?
奥様にも?
ぐるぐると回る恐怖に目眩がする。
でも私の手を握るアデライトちゃんのすべすべの肌は私を掬い上げた。
掴んだ小さな手は今まで触った極上の絹よりも吸い付く柔らかさと滑らかさ。
比べようがない手の感触に目を細める。
それに目の前の皆さんの魅力的な微笑みに今だけでも許されて良い気がした。
「助かりました。ありがとうございます」
「気に入ってくださるといいのですが」
「喜びますよ。男の私が選ぶより若いもの向けで便利なものを探してもらえました」
二人で軽食を食べつつ執事長はコーヒー、私は紅茶を選んだ。
「あれも良さそうですね。石鹸。子供用の物と肌荒れになりにくいというもの」
それに化粧品も。
産後に使うと良いと評判の少し高い化粧水やハンドクリームをお店の方の勧めるままに。
「多すぎましたかねぇ」
「ふふ」
それだけ娘さんが可愛いのだと分かりやすい。
次は息子のお嫁さんに贈る品を頼まれた。
予定より早くお買い物ができたし、二人目を妊娠中らしく、王宮から近くの城下町で暮らしているからこのまま届けたいと仰った。
「二人目ですとそんなに必要な物はございませんね」
一人目の時のお下がりがあるはずだから。
「娘と何か揃えて買ったらよかったですね」
「それも素敵ですね。でも気が早いといけませんし、上にお子さまがいらっしゃるならお菓子なんかがよろしいかと思います」
お品を贈るのは産まれてからしようと決めてご家族で召し上がるお菓子や日持ちのする食材を沢山買って馬に乗せた。
「乗りなさい」
「歩きで構いません」
大荷物に遠慮すると手を引かれた。
「私が歩けば良いだけです。あなた一人くらい馬も平気ですよ」
荷物と一緒に馬に横座りで腰かけたけど、嫌な理由は慣れてないからなのよね。
支えてもらわないとお尻が滑り落ちそう。
「ここの持ち手を掴んでなさい」
「はい」
かっぽ、かっぽと蹄の音がリズム良く、ゆらゆらと揺れながら執事長の先導するペースでゆったりと歩が進む。
意外と慣れたら馬の振動が気持ちいい。
お互い黙っている間も悪くない。
町並みの喧騒が気になることもなく、ゆったりした時間は心地よくて気分がよかった。
「ルーラ」
「はい」
「孫が産まれたらまた買い物に付き合ってくれませんか?」
「私でよろしければ」
「ぜひお願いします」
おじさんの趣味では叱られそうだし、お金だけ渡すのも味気ないと苦笑い。
私の方こそ。
またご一緒していいならぜひ付き添わせてほしい。
私に縁のないものだけど可愛らしい小さな子供服や赤ちゃん用品は見るだけでとても楽しかった。
あれが可愛い、これが素敵とはしゃぐと片っ端から買う豪快な執事長も楽しかった。
息子のお嫁さんには妊婦向けのハーブティーを数種類と同居のご家族のためにお菓子。
あちらに婿入りしてご家族で日用品を扱うお店の切り盛りをしてるそう。
「きゃー!大変!ラドのお義父様が若い女性を連れてきたわー!!!」
「再婚ですか?!ライオネルおじさま!どうしたの!?こんなきれいなひと!」
「まあああ!本当だわー!」
かしましい。
お腹の大きな女性が息子さんの奥さん、その隣は妹さん、もう一人はその二人のお母さん。
この騒ぎに奥から若い男性と執事長より年配の殿方。
息子さんとそのお父さん。
「おお、これはめでたい!おめでとう!」
「親父、再婚するのか?」
「違う」
お使いで街に来ただけ。
奥様が女性の一人歩きは心配するから付き添ったと説明した。
「あーそう。俺達をびっくりさせないでよ」
「早合点をやめなさい」
おふたりのお話を横に聞きながらお孫さんのお人形遊びに付き合っていた。
まだ小さい。
3歳になったばかりの女の子。
アデライトちゃん。
「ルウお姉ちゃん、もっと遊んでぇ」
「何して遊ぶ?」
絵本を読んだり長い髪を櫛でといて結んであげた。
そうしていたら昨日のメイド長を思い出してたしかにこれは楽しいと胸にじわじわ広がる幸せを噛み締める。
「これ、つけたい」
「これ?」
私の髪飾りに興味を持って小さな手を伸ばした。
「少し大きすぎるわ。刺さらないからあなたの飾りを使いましょう」
この子の少ない滑るようなさらさらの髪では残念だけど簡単に落ちてしまう。
「今度、私のあげるね」
使わなくなった小さめの飾り紐がある。
この子の髪に似合いそうなの。
それで飾ってあげたい。
「さて私達はこれで帰ります」
お土産を渡してお茶を一杯いただいた執事長から声をかけられてこの子と離れる名残惜しさでがっかりしてしまった。
「そんなに落ち込まなくても」
「……はい」
ふむと頷いて息子のラドさんにまた連れてきていいかと尋ねてる。
「いい、」
「来て!ぜひいらして!」
「お姉ちゃん!絶対来て!」
ラドさんが答える前にアデライトちゃんと奥さんのアリエッタさん達がずずいと前のめりに迫ってきた。
また来なさいと騒いで、逆に次はいつ来れるのと聞かれて困ってしまう。
「ルーラが驚いてるから落ち着いて。ラド、また連絡します」
「了解。次は生まれた頃がいいかな。親父に二人目を抱っこしてもらいたいし、良かったらルーラさんにも」
ラドさんは幸せそうにアリエッタさんの肩を寄せて大きなお腹をさすり、お二人とも私に微笑みを向ける。
「はい、ぜひ抱っこさせてください」
皆さん、私の訪れを待ち遠しいと喜んでくださった。
なのにいきなり心が冷えた。
“人殺し”
ルルドラ王子の言葉が頭の片隅によぎる。
王妃のことも。
私のおこないを知ったらきっとこんな風に接するはずがない。
私のことを知らないから。
知られたくない。
人が怖い。
私はこのまま怯え続けるの?
まだ苦しまないといけない?
これからずっと?
奥様にも?
ぐるぐると回る恐怖に目眩がする。
でも私の手を握るアデライトちゃんのすべすべの肌は私を掬い上げた。
掴んだ小さな手は今まで触った極上の絹よりも吸い付く柔らかさと滑らかさ。
比べようがない手の感触に目を細める。
それに目の前の皆さんの魅力的な微笑みに今だけでも許されて良い気がした。
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