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番外編※ラド

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色々と邪推して考えがまとまらねぇ。

親父は王宮で寝泊まりするから年に数えるほどしか会ったことなかった。

王宮の制限とかで手紙もない。

いつも一緒にいるのはお袋と妹、じいちゃん、ばあちゃん。

あとディアナ姉さんの息子ふたりと暮らしてた。

ディアナ姉さんはお袋の妹で親父より2つ年上。

お袋は親父より3つ上。

叔母なのに“オバチャン”と呼ぶと不機嫌になる。

職場でも親父より年下って誤魔化してるらしい。

お袋も同じ。

親父は諦めてそれに付き合ってた。

よーやるよと全員で呆れたけど怖いから俺達もだんまり。

俺達がある程度の歳になるとお袋も外に働きに出て四人の親は家に長いこと寄り付かなかったけど、他にも近所に親戚が住んでたし、ぶっちゃけうちは大家族だし従兄弟のふたりも親が側にいないのは一緒。

仲間意識で寂しさは半減した。

それに三人の稼ぎが良くて普通よりいい生活ができたから日々に不満を感じたことはなかった。

でもそれを妬む嫌な奴らもいるわけで別の苦労があった。

親が側にいないのを捨て子と嫌味を吐く奴ら。

大人になっても相変わらず。

なんだかんだで家族仲良く裕福に育ち、デカイ商会に婿入りした俺を妬んでる。

それで今日はガキの頃から付き合いのある嫌な奴らのところへ配達行かなきゃと支度を始めた。

いつもなら俺が経理や訪問客の応対。

お得意様回りを兼ねた配達は義父が他の使用人を連れて行ってくれるんだけど、今日は組合の集まりで不在だからしゃーねぇわ。

「行ってくるよ」

部屋で顧客宛の礼状を書く嫁と義妹に声をかけた。

「はーい、いってらっしゃーい」

「気を付けてね!義兄さんはうちの大事な跡取りなんだから!赤ちゃんもまた増えるんだからね!」

「分かってるって」

お姉ちゃん達を残すようなことはしないでよとやかましく小言を繰り返してる。

この義妹は口が軽くてこういうお調子者。

可愛いのになかなか嫁入り先が決まらない。

本人の理想が高過ぎるせいもあるけど。

うちの親父に一瞬だけ猛アタックしていた。

マジで一瞬。

惚れっぽくて移り気。

見目のいい男に見境がない。

そういえば嫁との付き合い始め、紹介された時も俺に危なっかしい態度を見せるから慌てたし、嫁を怒らせてた。

義父と義母がたしなめるけどあんまり反省しないし懲りない。

だけど家族に甘えてばかりとか自分勝手と言うことはなく、献身的で優しい一面があるからつい俺達も甘やかしてしまっている。

お姉ちゃん大好き、アディ大好きが口癖で義兄さんお姉ちゃん達をありがとうって毎日言われて仲良くしてくれるからなぁ。

嫁とアディに何かあれば一番に駆けつけるし、俺が不甲斐ないと思えば我慢強い嫁の代わりに怒鳴りに来る。

こちらこそ大事な姉ちゃんを嫁にもらえて感謝って奴だ。

「マイラ、うるさい。私の旦那よ」

「やん、お姉ちゃんこわーい。乱暴だしー。そんなんじゃ義兄さんに嫌われるよー」

こつんと嫁が義妹をこづいて、口うるさい小姑、暴力鬼嫁と口喧嘩を始めた。

でもお互い舌を出して笑ってる。

ツンデレな嫁は口にしないが妹大好きだもんな。

いいから仕事をしててと嫁が義妹を叱り俺達は玄関へ。

「ラド、気を付けてね」

「パパ、バイバーイ」

「おう」

最後に嫁とアディのお見送りを受けてニヤニヤと顔が緩んだ。

嫁は最高に可愛いし、義妹は面白可愛いし、アディは天使。

義父母も義妹に似て世話焼きでおもろい。

夫婦仲、家族仲はかなり良好で庶民的にしてはそれなりに金持ち。

妬まれるわー。

まあ、はねのけるけどね。

胸をふんぞらせて荷馬車をぽくぽく歩かせていたらパッと大事なことを思い出した。

「言ってねぇや」

親父の再婚。

親父のファンを自称する義妹と義母が泣くかも。

ご近所の奥様方も。

そしてまわりの嫉妬に苦労するのはルーラさんも同じじゃね?とよぎった。


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