婚約破棄騒動を起こした廃嫡王子を押し付けられたんだけどどうしたらいい?

うめまつ

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番外編※ラド

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「どうですかねぇ」

目の前の親父が困惑気味にのんびりと呟く。

久々に会いに来たけどふたりを連れ出して我が家の応接室に押し込んだ。

まだ家族には伝えてないってのを二人に話して、親父と結婚して大丈夫なの?どうなの?と問い詰めた。

隣のルーラさんは申し訳なさそうに項垂れた。

それを親父はちらっと目に入れて慰めてやる感じもなく無表情。

「お互いただ結婚しただけですよ。何も変わりません」

「いや、変わるだろう」

何言ってんの。

若い娘に逆上せたのかと会うまで悶々としたのに相変わらずの淡々。

二人とも俺が手放しに賛成していない空気を察してるのに動じないのは親父。

落ち込んでるのはルーラさんの方。

「自立したし、子供ではないから私のことに興味を持たないかと思ってました」

「持つわい。親父の再婚。しかもこんな若い嫁さんもらうなんて戸惑うに決まってんだろ」

今さら若い嫁をもらってどうするんだとぎゃいぎゃい騒いでるのに意外ですねと呑気。

なんだこのあっさりは。

「ルーラさんには将来があるのに自分の介護でもさせる気かよ?歳を考えろよ。その歳で簡単に結婚して。子供だってもう育てられるような年齢じゃないのに逆上せて、」

「申し訳ありませんっ。私が無理をお願いしたことなんです!」

俺が騒いでるといきなりルーラさんが頭を下げた。

「え?何?お願い?」

「私が結婚をお願いしたんですっ」

「はああ?」

まさかルーラさんはオジ専だったの?

「か、考え直してください!まだお宅は若いんだから何もこんなおっさんに。もっと他の若い男と結婚して普通にっ。そう、普通に!そっちのご家族だって賛成しないだろうし、子供好きならその方がいい、」

「ラド」

親父の低い声にピクリと止まった。

「こちらにも事情がある」

「……」

いつもの口調が変わり、じろっと睨まれたら何にも言えなくなった。

今日は帰るとソファーから立ち上がって顔色の悪いルーラさんの手を引いた。

それからゆっくりこちらを振りかえる。

「ラド」

「はい」

怖くて背筋を伸ばした。

「仕事を絡めてこちらも話せない事情がありますが、この結婚はお互いに望んでのことと理解してください。すぐにとは言いません」

「……はい」

「……ライオネル様、申し訳ありません。……私、あの」

「ゆっくり伝えていきましょう。私が軽く考えたせいでの不手際です。配慮が足りませんでした。申し訳ない」

俺にもすまないと謝るから口ごもった。

人間できてるわ。

応接室から親父達が出るとアディが待ち構えてた。

「帰っちゃダメ!ダメったらダメ!じぃじ!ダメ!ルゥお姉ちゃんと遊ぶの!」

通路の角をチラ見すると義妹のマイラが隠れてる。

ふたりで盗み聞きしてたなと察して思わず睨んだ。

「アディ、マイ、」

二人を叱ろうと口を開いたら。

「パパきらい!」

「いっ!」

いきなりゴンと脛を蹴られた。

「ルゥお姉ちゃんはアディのお姉ちゃんになるの!アディのなの!」

姉ちゃんにはならないっての。

義理のおばあちゃんになるの。

「きらい!きらい!」

「だめよ、アデライトちゃん。お父様にそんなことを言っては、あ!」

「こっち!」

驚いたルーラさんがアディをたしなめようとするのに手を引っ張って拐っていった。

「……マイラ」

バタバタ走るふたりの後ろ姿を見送ってぶすくれながら影に隠れた義妹を呼んだ。

「はーい、なぁに?」

しれっと顔を出してきた。

おじ様、再婚おめでとうございますとよそゆきの顔でにこやかに。

さすがの親父も盗み聞きに驚いて目を丸くしたままギクシャクと頷いてる。

「今日はご飯を食べていってくださいねー!ささやかですけどお祝いしますから!大ニュースだし!お母さん達に知らせなきゃ!!」

「マイラさん、私共はお暇を、」

「だめだめ!おじ様は座ってて!義兄さんはおもてなししてて!」

「おい!こら!待て!おいぃ!マイラ!マイラァァ!」

「お願いね!義兄さん!ねぇー!!お母さーんお姉ちゃーん!おじ様がルーラさんとご結婚ですってー!」

このやろう!

アディと同様にスカート捲れるのも気にせず走って行きやがった。

お前はいい歳だろうが!

奥でバタバタみんなが走り回ってる。

お祝いしなきゃと義母と義妹の騒ぐ声と嫁の驚いた声。

すぐに義父が酒瓶を片手に走ってきて飲みましょうとなし崩しに酒の席が出来上がり、しかも飲めればいいって感じのご近所まで集まってちょっとした祭り。

「俺は認めてねぇぞおおお!こらぁぁ!」

飲まされて管を巻く俺に全員がゲラゲラ笑ってた。

「親父さんが羨ましいんだろ」

親父達は勤め先の門限があるからと軽く飯を一緒に食べたらさっさと帰ってしまって絡まれてるのは俺一人。

それも腹立つ。

「あんな若い美人で羨ましい。うちの女房と変えてほしいわ」

「ばか、滅多なこと言うなよ。お前んところの怖いんだから」

「お前の顔と稼ぎじゃ無理だ」

「間違いねぇー」

なんたって王宮にお勤めだと皆が誉めそやす。

そうだよ。

なんたって親父はすげぇんだ。

王宮に勤めて上に上にと出世していった。

一応、血筋を遡れば貴族の血が流れてて親戚には伯爵やら男爵、子爵、騎士爵やら色々いるけど俺達の身分は平民。

貴族籍の親戚から推薦されて王宮に出入りしてお偉いさんにまでなった。

あとからディアナ姉さんも呼んでふたりで出世して、お袋もどこぞの高位貴族のお屋敷に出入りして今は主人に従って外国に。

三人ともすごいけど親戚全員の中でも一番の出世頭は親父。

女関係まですごくなくていいっつーの。
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