婚約破棄騒動を起こした廃嫡王子を押し付けられたんだけどどうしたらいい?

うめまつ

文字の大きさ
99 / 120
番外編※リカルド

2

しおりを挟む
「くぅっ、ふぁ、」

だめだ。

欠伸が止まらん。

昨日の件でルーラは本調子でないとライオネルが報告してたので今日は1日休みをやった。

ライオネルにも。

二人がいないからディアナに仕事を手伝わせようかと思ったが、ラインの側に置いておきたい。

いつものメンバーがいないおかげで仕事が回らん。

休憩のつもりでプライベートに戻った。

ラインは朝から慰労訪問でいないからつまらん。

癒しが足りない。

仕方なくティールームのソファーにくつろいだ。

淹れたてのお茶に安らぐかと思ったがそうでもなく。

ラインが初めて淹れたお茶がとてつもなく渋くて苦かったのを思い出した。

とんでもないものを飲ませたなと呆れた。

毒ではないから構わないが。

毎日、少しずつ上達してまともに淹れた時はホッとした。

不味い、とはっきり言うのは気が引けて「飲めなくはない」と長いことごまかしていたんだ。

今飲んでるお茶は最近ラインが気に入って飲んでる産地のものだ。

あっさりしてて、強すぎない香りがちょうどいい。

何をしても細々とラインのことを思い出して、側にいないことが気に触ってムッと不機嫌になってしまった。

昨日もラインの夜を過ごすはずだったのに。

やっとあの結婚式から少しずつ、本当に少しずつ夜の触れ合いが増えてきたのに。

閨教育は受けたと聞いていたがまともな教育じゃなかった。

娼婦の手順を教えて、しかもあの底意地の悪い兄姉達が夫婦の閨とは痛くて怖くて恐ろしいものだと植え付けていた。

腹立つことに母親も一緒になって。

兄姉は面白半分だろう。

だが母親までなぜそんなことをしたのか訳がわからん。

いや、思考と理由は分かる。

共感ができないというだけだ。

以前、ライラック家の処罰のために訪問した際。

あの母親は子供達に軽蔑を混ぜた視線を向けていた。
 
まともな親ならそうだろうと思って気にしなかったが彼らを叱責の途中、母親は自分の夫と子供達を嘲笑った。

夜遊びを繰り返していたことを子供達に「だから言ったじゃないか」と。

恥さらしと罵って。

父親の統主に対しても厳しく問い詰めて、金が浮くからと子供達を見捨てた父親と責めていた。

母親の豹変に思うところがあったが、再三の注意を無視してたことへの怒りならそれも納得いく。

彼らが母親の叱責に反省するのかと思ったら子供達は誰のせいだと言い返し、夫は子供達の教育の責任はお前だと責め立てた。

子供達の罵りに今まで家族の中で軽視されてた恨みつらみを叫んで、生まなきゃよかった、結婚しなければよかったと罵り返した。

子供は親のせいだと言い返し、夫の伯爵は私の前だと諌めるが同じように結婚しなければよかったとこぼす。

何もない、腹が丈夫なだけの女。

こんなに子供を産むからだと。

産みすぎだと子供らまで父親と一緒になって蔑んだ。

女ひとりの腹で子供が実るわけあるか。

父親を諌めろ。

産みすぎだと言うなら産まれた自分達はどうなのか。

ラインの兄姉は成人し私と年の変わらない者達。

小さい子供の浅知恵ならまだしも成人した人間が自分で選んだ行いさえ親のせいと言うのか。

彼らの分別のなさと思慮のなさを目の当たりにして、よくラインがお人好しに育ったなと感心した。

家族の関係を見れば母親が嘲笑ってのは心の底からの喜びだと理解した。

そしてその時に気になることを言っていた。

“ラインだけは違う。あの子には貞節を教えた”と。

何のことか分からなかったが、あの日は処分を了承させるためだけに行ったので、興奮する奥方は部屋から出て行かせた。

その時は殺伐とした家族関係と思うだけで深くは考えなかった。

思い返すようになったのは最近。

夫婦になりたいと覚悟を決めたラインと話し合う度におかしな知識と恐怖を見せた。

おかげであの言葉とおかしな家族関係が繋がった。

あの家族には底辺が必要だった。

受け皿は母親。

その下にライン。

何かしら誰かのせいにしないと気がすまない気質を満足させるために。

ラインに対して針と閨のみという極端な教育は“無能”を望んだからと今ならわかる。

あの家族はラインが家族の中で、下の下でなくてはならなかったんだ。

兄姉にとって末っ子のラインは憂さ晴らしの相手。

母親にとっても同じ。

針をするための働く手足。

母親は兄姉のように出歩くのを止めたかったのではなく、家から抜け出して外の世界を知った兄姉と同じように蔑むのが許せなかっただけだ。

貞節を教えたなど。

適当なことを。

母親の荒れた姿を見た時に気づくべきだった。

いや、勉強を教えた時に。

何も知らない異常さに。

出会った時の痩せてた頃。

いつでもいい。

少しでも早く。

もっとちゃんと話を聞くべきだったんだと気持ちが沈む。

なんにも知らずにただ待てばいいと言うものではなかった。

私はラインのために待っていたとは言えない。

自分のために待っていた。

バカだと罵りたくなる。

どうすれば、なんと声をかけたらと思考がさ迷う。

今はどうしようもないと分かっているのにいつまでも同じ悩みがを頭の中を巡り、軽い頭痛を感じてため息をつく。

「……ふぅ、私の奥方は拗れすぎてる」

でも手間だからと見捨てるような軽い愛情ではない。

それでもいいから側にいたい。

側にいるだけでいいと思うが抱き締めてキスをしたい。

もっと。

愛したい。

考えても先のわからなさで頭が痛い。

こうも堂々巡りに考え込むのは寝不足のせいだなと判断して目をつぶった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』

鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間―― 目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。 そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。 一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。 選ばれる側から、選ぶ側へ。 これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。 --

婚約破棄されたので、とりあえず王太子のことは忘れます!

パリパリかぷちーの
恋愛
クライネルト公爵令嬢のリーチュは、王太子ジークフリートから卒業パーティーで大勢の前で婚約破棄を告げられる。しかし、王太子妃教育から解放されることを喜ぶリーチュは全く意に介さず、むしろ祝杯をあげる始末。彼女は領地の離宮に引きこもり、趣味である薬草園作りに没頭する自由な日々を謳歌し始める。

手放したのは、貴方の方です

空月そらら
恋愛
侯爵令嬢アリアナは、第一王子に尽くすも「地味で華がない」と一方的に婚約破棄される。 侮辱と共に隣国の"冷徹公爵"ライオネルへの嫁入りを嘲笑されるが、その公爵本人から才能を見込まれ、本当に縁談が舞い込む。 隣国で、それまで隠してきた類稀なる才能を開花させ、ライオネルからの敬意と不器用な愛を受け、輝き始めるアリアナ。 一方、彼女という宝を手放したことに気づかず、国を傾かせ始めた元婚約者の王子。 彼がその重大な過ちに気づき後悔した時には、もう遅かった。 手放したのは、貴方の方です――アリアナは過去を振り切り、隣国で確かな幸せを掴んでいた。

偽者に奪われた聖女の地位、なんとしても取り返さ……なくていっか! ~奪ってくれてありがとう。これから私は自由に生きます~

日之影ソラ
恋愛
【小説家になろうにて先行公開中!】 https://ncode.syosetu.com/n9071il/ 異世界で村娘に転生したイリアスには、聖女の力が宿っていた。本来スローレン公爵家に生まれるはずの聖女が一般人から生まれた事実を隠すべく、八歳の頃にスローレン公爵家に養子として迎え入れられるイリアス。 貴族としての振る舞い方や作法、聖女の在り方をみっちり教育され、家の人間や王族から厳しい目で見られ大変な日々を送る。そんなある日、事件は起こった。 イリアスと見た目はそっくり、聖女の力?も使えるもう一人のイリアスが現れ、自分こそが本物のイリアスだと主張し、婚約者の王子ですら彼女の味方をする。 このままじゃ聖女の地位が奪われてしまう。何とかして取り戻そう……ん? 別にいっか! 聖女じゃないなら自由に生きさせてもらいますね! 重圧、パワハラから解放された聖女の第二の人生がスタートする!!

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~

水川サキ
恋愛
家族にも婚約者にも捨てられた。 心のよりどころは絵だけ。 それなのに、利き手を壊され描けなくなった。 すべてを失った私は―― ※他サイトに掲載

婚約破棄、しません

みるくコーヒー
恋愛
公爵令嬢であるユシュニス・キッドソンは夜会で婚約破棄を言い渡される。しかし、彼らの糾弾に言い返して去り際に「婚約破棄、しませんから」と言った。 特に婚約者に執着があるわけでもない彼女が婚約破棄をしない理由はただ一つ。 『彼らを改心させる』という役目を遂げること。 第一王子と自身の兄である公爵家長男、商家の人間である次期侯爵、天才魔導士を改心させることは出来るのか!? 本当にざまぁな感じのやつを書きたかったんです。 ※こちらは小説家になろうでも投稿している作品です。アルファポリスへの投稿は初となります。 ※宜しければ、今後の励みになりますので感想やアドバイスなど頂けたら幸いです。 ※使い方がいまいち分からずネタバレを含む感想をそのまま承認していたりするので感想から読んだりする場合はご注意ください。ヘボ作者で申し訳ないです。

処理中です...