伯爵令嬢、溺愛されるまで

うめまつ

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32、光の王子

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私たちの位置から、辺境伯の馬車がお母様達のところでゆったりと停まるのが見えます。

馬車から男性が降りてきてお母様に話しかけてます。
もうひとり馬車からエスコートされて女性も降りてきています。

「なんだかずいぶん眩しい方ね。」

「あら、素敵な殿方なのですか?」

「あ~、なんか、キラキラしてますねぇ。お嬢様のタイプですか?」

「いえ、物理的に眩しいのよ。髪の毛も洋服も光に反射してキラキラしてる。」  

金の髪が太陽に反射して眩しいです。
衣装までなぜかキラキラしてます。
隣に大人しい色合いの方がおられますが、隣の輝きにかき消されよく見えません。

「そ、そうっすか?」

「そうですね、お洋服は光沢のある絹でしょうか?」

「すごいわね。髪に合わせて金の刺繍もされてるのかしら?」

「白馬が似合いそうです。」

「馬車の馬は白馬と芦毛だったわ。合わせたのかも。」

「あそこの馬は有名ですよ。お嬢様の馬はランディック産のを掛け合わせて育てた奴です。」

「知ってるわ。私が育てたのよ。あ、もっとゆっくり進みましょう。」

「走るよりよろしいかと思います。」

この距離なら聞こえないので好きなように会話します。

「もういい加減聞こえますよ。」

護衛にたしなめられ、静かにお母様とお客様のもとへ進みました。
目線を伏せ相手の様子を眺めます。

お母様はご婦人のことをランディック夫人と呼んであれこれと話が弾んでいます。

予想通り、ランディック辺境伯の方でした。

お母様の話に耳を傾け、目はどうしてもきらびやかな方に目を向けてしまいます。

やっぱり白地に金の刺繍がほどこされて美しい仕上がりで、近くでも眩しかったです。

お母様から許しが出るまで側で静かに待つとあちらから声をかけられ、お母様が紹介してくださいました。


ランディック夫人とご兄弟で長男のキース様と次男のバン様。

キース様のことは、心の中で光の王子と呼ぶことにしました。

ちなみにバン様はダークブラウンの髪に装いは黒地に銀の刺繍です。

あんな見事な黒地の絹はなかなか手に入らないと思います。

こちらは闇の王子がテーマでしょうか。

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