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60、注目
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「またゆっくり考えてみます。」
これでもしつこいようなら席を立つつもりで、曖昧に答えました。
「今答えろっ!はっきりしろ!勿体ぶるな!」
「兄上、本当に止めてください。」
立ち上がりかけた第二王子の肩をがっしり押さえて落ち着かせて、何やら母国語で叱ってるようです。
早口だと聞き取れません。
あ、女性の扱いが悪いと言ったのは分かりました。
私は二人は放ってバラのチョコレートを食べました。
第二王子は怒鳴るし、第三王子はしつこいし、ご令嬢たちにケーキをぐちゃぐちゃにされて、なんだか今日は散々です。
「私、そろそろ中に戻りますね。」
チョコレートを一つ、ケーキを一口食べてもう諦めました。
「残してるぞ。」
「兄上っ。」
「もうお腹がいっぱいで。彼に頼むとおすすめを選んでくれますよ。」
先ほどの給仕が皿をどかしてくれます。
その場を離れましたのに、後ろから外交官も一緒に3人でついてきます。
第三王子がレディを1人で歩かせるなんてと仰ってエスコートしようとされるけど、会場にはそういう方もおられます。
急にボランティア精神に溢れてどうされたのかしら。
どうして第三王子が仰ったのに、第二王子が私の横に立ちますの?
うやむやに腕を取られホールへ連れていかれます。
やはり周囲へアピールをしたがっているのかしら。
「それで、リリィ嬢。よかったらダンスを踊ってくれませんか?ね、兄上。」
「ああ、踊ってやる。感謝しろ。いっ!お、踊ってほしい!」
ガッと足元から音がして、第二王子が顔をしかめてました。
これは、とうとう蹴られたのですね。
私は背が低いのでうっすら視界に映っています。
表面上はにこやかなのに、ふざけてるのか、ばかなのかと母国語で罵っておられます。
私はわからないふりで通しました。
「身長差がありますけど、よろしいのでしょうか?」
「うっ!か、構わん!いつっ!光栄だ!」
ガッガッと足元から何度も聞こえて、そんなあからさまにされたら見ないふりが難しいです。
やはり分からないように蹴るのは難しいのだと、サラとディーナに鍛えられて上手に蹴られるようになったのは良かったと思いました。
第二王子にエスコートされてホールの中央へ。
第二王子の国と友好をアピールする大事な場面です。
昨日のことを水に流してお互いにこやかに、ですね。
そう思ったのに、相変わらずしかめっ面の第二王子でした。
でもリードは巧みで踊りやすかったです。
「…おい。」
「はい、何か?」
「名前。」
覚えてらっしゃらないのだろうと思い、リリィ・サンマルクですと答えました。
そしたら、顔をくしゃくしゃに歪めてそれは知ってると仰るのです。
第二王子は感情が高ぶりやすくてダンスの最中、時々痛いほど手を握るので困ってしまいました。
「痛いっ。そんなに握ると、痛いです。」
「う、うむ。すまん。」
しょんぼりされる姿を見るとよっぽどきつく第三王子と外交官に叱られたのかと心配になります。
「第二王子、どうか私のことはお気になさらないで、いつものように元気でいてくださいませ。」
「…さっきはり、リリィの方が落ち込んでいた。」
「あぁ、あれはちょっとありまして。大したことではありませんのよ。」
ちょうど曲が終わり、第二王子から離れようとするともう一曲付き合えとまた手を引かれ、輪の中に戻されました。
「リリィが話をしろ。私が話すと、また。その、ああいう態度を取るから。頼む。」
もごもごと口ごもりながらそう言われ、ディーナ達に教えられたように抜けたそうとするのに、がっちりと手と腰を掴まれ、自分より上手な人には効かないと言われたのを思い出しました。
「お願いですから、ダンスは終わりにしてくださいませ。家族に怒られます。」
2曲目ということで周囲の注目が集まり、その中に驚いた顔のアンバー様やキース様を見つけてそちらばかり見てしまいます。
「よそ見するな。」
「だって。そんな。」
睨まれましたが、2曲続けてのダンスはある程度大人の親しい男女がするもので、私のような小娘がするのは、本当にはしたないことです。
動揺でステップを踏み外しそうになるのに、第二王子は思いのままに私を踊らせます。
足を蹴ろうとしてもわざと転ぼうとしても何もかも防ぐ第二王子の技量に舌を巻きました。
「ははっ、お前にも苦手があるんだな。」
「私のダンスは人並みです!」
一生懸命、足を踏もうとするのに軽く私をターンさせます。
これでもしつこいようなら席を立つつもりで、曖昧に答えました。
「今答えろっ!はっきりしろ!勿体ぶるな!」
「兄上、本当に止めてください。」
立ち上がりかけた第二王子の肩をがっしり押さえて落ち着かせて、何やら母国語で叱ってるようです。
早口だと聞き取れません。
あ、女性の扱いが悪いと言ったのは分かりました。
私は二人は放ってバラのチョコレートを食べました。
第二王子は怒鳴るし、第三王子はしつこいし、ご令嬢たちにケーキをぐちゃぐちゃにされて、なんだか今日は散々です。
「私、そろそろ中に戻りますね。」
チョコレートを一つ、ケーキを一口食べてもう諦めました。
「残してるぞ。」
「兄上っ。」
「もうお腹がいっぱいで。彼に頼むとおすすめを選んでくれますよ。」
先ほどの給仕が皿をどかしてくれます。
その場を離れましたのに、後ろから外交官も一緒に3人でついてきます。
第三王子がレディを1人で歩かせるなんてと仰ってエスコートしようとされるけど、会場にはそういう方もおられます。
急にボランティア精神に溢れてどうされたのかしら。
どうして第三王子が仰ったのに、第二王子が私の横に立ちますの?
うやむやに腕を取られホールへ連れていかれます。
やはり周囲へアピールをしたがっているのかしら。
「それで、リリィ嬢。よかったらダンスを踊ってくれませんか?ね、兄上。」
「ああ、踊ってやる。感謝しろ。いっ!お、踊ってほしい!」
ガッと足元から音がして、第二王子が顔をしかめてました。
これは、とうとう蹴られたのですね。
私は背が低いのでうっすら視界に映っています。
表面上はにこやかなのに、ふざけてるのか、ばかなのかと母国語で罵っておられます。
私はわからないふりで通しました。
「身長差がありますけど、よろしいのでしょうか?」
「うっ!か、構わん!いつっ!光栄だ!」
ガッガッと足元から何度も聞こえて、そんなあからさまにされたら見ないふりが難しいです。
やはり分からないように蹴るのは難しいのだと、サラとディーナに鍛えられて上手に蹴られるようになったのは良かったと思いました。
第二王子にエスコートされてホールの中央へ。
第二王子の国と友好をアピールする大事な場面です。
昨日のことを水に流してお互いにこやかに、ですね。
そう思ったのに、相変わらずしかめっ面の第二王子でした。
でもリードは巧みで踊りやすかったです。
「…おい。」
「はい、何か?」
「名前。」
覚えてらっしゃらないのだろうと思い、リリィ・サンマルクですと答えました。
そしたら、顔をくしゃくしゃに歪めてそれは知ってると仰るのです。
第二王子は感情が高ぶりやすくてダンスの最中、時々痛いほど手を握るので困ってしまいました。
「痛いっ。そんなに握ると、痛いです。」
「う、うむ。すまん。」
しょんぼりされる姿を見るとよっぽどきつく第三王子と外交官に叱られたのかと心配になります。
「第二王子、どうか私のことはお気になさらないで、いつものように元気でいてくださいませ。」
「…さっきはり、リリィの方が落ち込んでいた。」
「あぁ、あれはちょっとありまして。大したことではありませんのよ。」
ちょうど曲が終わり、第二王子から離れようとするともう一曲付き合えとまた手を引かれ、輪の中に戻されました。
「リリィが話をしろ。私が話すと、また。その、ああいう態度を取るから。頼む。」
もごもごと口ごもりながらそう言われ、ディーナ達に教えられたように抜けたそうとするのに、がっちりと手と腰を掴まれ、自分より上手な人には効かないと言われたのを思い出しました。
「お願いですから、ダンスは終わりにしてくださいませ。家族に怒られます。」
2曲目ということで周囲の注目が集まり、その中に驚いた顔のアンバー様やキース様を見つけてそちらばかり見てしまいます。
「よそ見するな。」
「だって。そんな。」
睨まれましたが、2曲続けてのダンスはある程度大人の親しい男女がするもので、私のような小娘がするのは、本当にはしたないことです。
動揺でステップを踏み外しそうになるのに、第二王子は思いのままに私を踊らせます。
足を蹴ろうとしてもわざと転ぼうとしても何もかも防ぐ第二王子の技量に舌を巻きました。
「ははっ、お前にも苦手があるんだな。」
「私のダンスは人並みです!」
一生懸命、足を踏もうとするのに軽く私をターンさせます。
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