伯爵令嬢、溺愛されるまで

うめまつ

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「フィンレーだ。フィンレーと私の名を呼ぶなら気が変わる。」

「フィンレー様!はい!呼びました!」


「あはは!躊躇ないのか!気が変わった。最後まで踊るぞ。」

「ひどい!」

もうすぐ曲が終わりそうです。

家族の失望した顔が頭に浮かんで目頭が熱くなってきました。

お互いの名前に傷がつきますと言っても、第二王子は2曲続けて踊ったぐらいで大袈裟だと笑う。


「3曲目も踊るか。」

「い、イヤです。」

ふるふると頭を振って訴えても、嬉しそうに笑うばかりで聞いてくれません。


突然、第二王子ではない力で、反対の方に手を引かれました。

「おい!リリィを返せ!」

「キース様!」

「やあ!助けに来たぞ!」

私はいつの間にか第二王子からキース様へとパートナーが変わっていました。
キース様はステップを踏みながら第二王子から私を引き離して行きます。

第二王子を見るとアンバー様がガッツリ捕まえて優雅に踊ってらっしゃいました。


「ごきげんよう、第二王子。次は私がお相手しますわ。」

「リリィ!おい!離せ!お前じゃない!」

「こんな場所でレディを放り出すなんて、また外交団に陳情が入れますわよ。」

「うるさいっ、赤い髪は嫌いだ!」

「あの子は私の赤い髪が大好きですのよ。趣味が合わないのなら諦めてはいかが?」
 
第二王子はダンスの見せ場のように、アンバー様を手放して距離をとります。

「次は私ですわ、皇女である私を無下にしないですよね?外交問題になりますものね!」

「なっ!」

「離しても私がいるわよ!」

クリス様、ヒバ皇女、アンバー様が代わる代わる現れ、第二王子が手を離すと次々入れ替わりに手を掴みます。

その近くでバン様とロルフ様のお兄様達が放された女性をダンスへと引き戻し、全てアドリブのはずなのに第二王子を中心に次々と女性が舞い、皆様は打ち合わせをして踊ってるような、完璧なダンスでした。

まわりの観客は手拍子をしたり、足でリズムを取って囃し立てます。

ワルツのはずが、次の曲が変更されたようで激しい曲に一段と盛り上がりを見せます。

「よし!俺たちも混ざるぞ!」

「え?何がよしなんですか?」

「面白じゃないか!」

私はこのまま安全な所に連れていかれるんじゃないんですか。

ステップを踏みながら第二王子に接近して、あちらも私に気づいて接近されて、すれ違い様に私はアンバー様とパートナーになりました。

あちらはキース様と第二王子です。

「な、な!なんでお前が!」

「あっはは!アンバーとリリィのファンにサービスですよ!」

きゃーっと会場には女性の黄色い声が響き渡りました。


「まあ!薔薇と妖精が1番でしたが、殿方同士も胸が高揚しますわ!また新しい扉が開きそう!」

ヒバ皇女はディーナ達が言うところ雑食を思い出します。


「女性同士はどうしたらいいんですか?」

「私に任せなさい、リリィ。」

アンバー様にリードされてくるくる回ります。

「アンバー様は男役も出来るんですか?」

「アンバー!ちょっと用事とか言ってその子と踊るなんて!今日はずっと私といるって約束したじゃない!」

ロイス様が巧みに私と替わられて、気付くと私は第二王子の弟、第三王子に捕まってました。

「兄が申し訳ない。」

「悪いと思うなら、第二王子の所へやらないでくださいませ。」

「そのつもりですよ。」

これ以上問題を起こされたくないと第二王子に接近し、今度はキース様に渡され、ご兄弟はペアに。

背の高い第三王子が男役をされ、また母国語で叱っていらっしゃいました。

「あはは!いやー!からかうと面白いな!」

「大丈夫なんですか?不敬じゃありません?」

「その為に第三王子を巻き込んでこちら側の王族を揃えたんだ。まわりは俺達のイベントと思ってるよ。何も言えないさ。」

次はこちらが兄弟と踊るさと、軽く仰います。

「私のところにリリィを渡さないで!私、男役は出来ないから!」

「では、私のところへいらっしゃい。私は踊れるわ。」

ヒバ皇女に手を取られくるくる回され、次はロイス様です。

「ロイス様も男役を?」

「アンバーに頼まれたのよ。じゃなきゃ、アンタなんかと。」

「うふふ、ありがとうございます。」

女性陣で踊ってる間、男性は男性同士で。

それはそれで盛り上がってます。

「最後はアンタを中心に男女揃うようにするんですって。」

しっかりやんなさいと放り出されます。

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