伯爵令嬢、溺愛されるまで

うめまつ

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「あは、楽しいな。リリィ!」

「ふふ。バン様、とっても楽しそう。」

「楽しいよ。最高だね。ほら、しっかり背筋伸ばして。ステップを強く!次々行くから。」

また次々パートナーが代わりますが、早くて相手が誰か見る余裕もありません。

止まることなく回されてるのに、周りの囃し立てる音やアンバー様やキース様達の笑い声が可笑しくて私も笑っていました。

「次はリフトだよ!ポーズとって!」

「きゃっ!」

突然持ち上げられてうろ覚えのポーズをするとロルフ様のお兄様と目が合いました。

横目には男性に支えられた女性達が美しく空中を滑ります。

「そう、そのまま見つめ合って。指先落ちてる。美しく上げて。顔に笑みを忘れないで。」

「は、はい。」

「次のペアともう一回リフト。今の感じを忘れないで、はい次。」


また放られて、背筋を伸ばしアンバー様達のような美しい指先を意識して次の方のもとへ。

そこにはロルフ様がいらっしゃいました。

「ロルフ様、いつの間に?」

「キースと交代。短く連続で持ち上げるよっ!」

リフト、下ろしてステップ、リフト。

他の皆様は滞空時間を長くリフト。

皆様、どうしてぶっつけ本番でこんなに魅力的に踊れるのでしょうか。

第二王子は渋々でしたのに、アンバー様とお互いの技量をぶつけ合うような激しいダンスを披露されて、周りの皆さんもお二人に引っ張られて熱を帯びていきます。

豪華に、清楚に、可憐に、気高く。

それぞれが持ち味を生かして、パートナー達は女性達の魅力を引き出して。

「周りに見とれてないで俺に集中しなきゃだめだよ。」

「はい。」

「気後れしないで。俺を見てなよ。」

気後れしてしまいます。

皆様がすごくて。

ロルフ様に微笑んだのに、微かに引きつるのが自分で分かります。

柔らかい眼差しに見つめられて、ロルフ様に力強くリードをされて私の身体は大きく動きます。

ロルフ様の身長は私と近く、必然的にお顔が近くに。

こんな間近に、異性のお顔があるなんて初めてで恥ずかしくて。

緊張で身が縮こまるのに、それでもロルフ様の優しい眼差しが心地好くて胸が熱くなりました。

「拙い所も、一生懸命な所も全てが初々しくて可愛いんだ。きっとこの会場の中で俺が1番リリィのダンスが好きだよ。」

君のことを好きな人な人は君のダンスを見たかっただろうねと仰います。

目蓋には私を可愛がる皆さんのお顔が沢山浮かびました。

思い出すだけで自然と口許がほころび、ロルフ様の優しい眼差しに感謝を込めてお礼を申し上げましたら、俺は君が君であればいいんだよと優しく微笑み返すのです。

最後は背中をそらせて後ろに倒れるようにと言われたので言う通りに致します。

ロルフ様の支えに体を預けて、ロルフ様がよしとされるまで背中をどこまでも反らせました。

私の手を握り腰を支えたロルフ様は少し驚いた表現を見せて、とても上手にできたと誉めてくださいました。

お辞儀をする私たちに会場は大きな拍手と歓声に包まれました。

特に第二王子は多くの女性に囲まれています。

あんなに傲慢で意地悪なのに、本気を出した第二王子は本当に素敵でしたもの。

ちらほらと男性が混ざってるのも、彼の素晴らしさに当たり前だと思います。

大勢の人に揉まれ、背の低い私はロルフ様に支えられホールから離れました。

「長く踊って疲れたろう?」

何か飲みに行こうと、誘われバルコニーへと訪れました。

中庭に人が見当たらず、沢山の人が王子様達のダンスに惹かれて屋内に留まっていたのだと思いました。

屋内からは次の曲が流れ、熱に浮かされた男女がダンスを再開していました。
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