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66、会場入り
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駆けつけた騎士達がロルフ様に指示を仰ぎ、ロルフ様はとても忙しく立ち回っていますのに、給仕から受け取った毛布のようなシーツを私にかけて下さいます。
周囲の緊張感に、急に頭が冷えました。
パッと顔をあげて皆さんの顔を見据えます。
皆さんが痛々しそうに私を見つめますが、背中の痛みは落馬より軽いです。
国家間のことを思えば、しがない伯爵令嬢の1日など大したことではないように思えてきました。
「私のことより、私まで大きい声を出してしまってやり取りが聞こえたのではありませんか?」
そっちの方が問題です。
「あぁ、サフィア嬢と第二王子も大声だったからな。給仕や騎士に人払いを指示したが、すでに聞いていた者がいたようだ。お二人には覚悟してもらわねばならないと思う。」
サフィア様は真っ青に震えて、仕出かしたことに後悔されています。
あの尊大な第二王子も項垂れています。
王家の主催の、各国の要人が多く出席したこのパーティーで他国の王子と令嬢ふたりで騒動を起こしたのです。
国内外で話が広まれば高位のお二人には苦しい状況になるかと予想されます。
「私もこんな格好をどうにかしなくては。ロルフ様、先程のダンスみたいになんとかなりませんか?」
「うーん…あれはアンバー嬢とキースの案で、皆でリリィを取り返そうとしただけなんだ。そのあとは成り行きだな。派手に踊って有耶無耶に。」
ロルフ様と相談していましたら、
「…本当にすまなかった。」
「第二王子はいつまでも反省されてくださいませ。私の溜飲が下がります。」
「分かった…。私が出来ることはなんでもする。」
何でもする。
いえ、出来ればご自分でどうにかして欲しいですね。
何か思い付いて解決してください。
せめてここにアンバー様かキース様がいらしてたら。
「あ!それならキース様とアンバー様の真似をしましょう。」
と言うわけで、第二王子はサフィア様を横抱きに抱えて会場に戻られます。
どうしてこうなったかと言うと、私は騒動が広まる前に二人の睦まじい様子を会場に晒す提案をしました。
以前、キース様とバン様に率先してご令嬢を運んであげるのはどうしてかと尋ねた時、紳士の勤めだからと仰っていましたので、ここで採用となりました。
皆さん、キース様が言ってたのなら間違いないと謎の安心感を得て、サフィア様は第二王子に抱えられて会場に向かいます。
本当にこんな方法でいいのかと心の片隅にありましたが、それしかないと考えた私達は疲れていたのだと思います。
人が変わったように大人しくなった第二王子がサフィア様を気遣い、サフィア様は第二王子の胸に顔を埋めて泣いていました。
お姫様抱っこが嬉しいと仰っていたので、良かったです。
よろよろと抱えて歩く第二王子の後ろ姿を眺めて、あとはお二人で解決すればよろしいと思いました。
「リリィ、君はこっちへ。別館で治療を受けさせる。」
「はい。」
会場の建物内に控え室があるのですが、この姿のままでは近づけません。
私が歩くより早いと言うことで騎士の一人に抱えられて、中庭を抜けて会場ホールとは別の宮殿へ運ばれます。
ミノ虫みたいにぐるぐるにシーツを巻いて、騎士にワインがかからないように気を遣いました。
「あの、こちらは?」
訪れた先があまりに豪華な宮殿なので恐る恐る尋ねました。
「母の宮殿だよ。恐れ多いとかそういうやり取りやめてね?ここ以外なら俺の部屋しかないよ。」
「あ、はい。わかりました。」
畳み掛ける口調に苛立っていることを察して何も言いませんでした。
私も疲れたので何も言いたくありません。
ワインで濡れた服を脱ぎたいです。
周囲の緊張感に、急に頭が冷えました。
パッと顔をあげて皆さんの顔を見据えます。
皆さんが痛々しそうに私を見つめますが、背中の痛みは落馬より軽いです。
国家間のことを思えば、しがない伯爵令嬢の1日など大したことではないように思えてきました。
「私のことより、私まで大きい声を出してしまってやり取りが聞こえたのではありませんか?」
そっちの方が問題です。
「あぁ、サフィア嬢と第二王子も大声だったからな。給仕や騎士に人払いを指示したが、すでに聞いていた者がいたようだ。お二人には覚悟してもらわねばならないと思う。」
サフィア様は真っ青に震えて、仕出かしたことに後悔されています。
あの尊大な第二王子も項垂れています。
王家の主催の、各国の要人が多く出席したこのパーティーで他国の王子と令嬢ふたりで騒動を起こしたのです。
国内外で話が広まれば高位のお二人には苦しい状況になるかと予想されます。
「私もこんな格好をどうにかしなくては。ロルフ様、先程のダンスみたいになんとかなりませんか?」
「うーん…あれはアンバー嬢とキースの案で、皆でリリィを取り返そうとしただけなんだ。そのあとは成り行きだな。派手に踊って有耶無耶に。」
ロルフ様と相談していましたら、
「…本当にすまなかった。」
「第二王子はいつまでも反省されてくださいませ。私の溜飲が下がります。」
「分かった…。私が出来ることはなんでもする。」
何でもする。
いえ、出来ればご自分でどうにかして欲しいですね。
何か思い付いて解決してください。
せめてここにアンバー様かキース様がいらしてたら。
「あ!それならキース様とアンバー様の真似をしましょう。」
と言うわけで、第二王子はサフィア様を横抱きに抱えて会場に戻られます。
どうしてこうなったかと言うと、私は騒動が広まる前に二人の睦まじい様子を会場に晒す提案をしました。
以前、キース様とバン様に率先してご令嬢を運んであげるのはどうしてかと尋ねた時、紳士の勤めだからと仰っていましたので、ここで採用となりました。
皆さん、キース様が言ってたのなら間違いないと謎の安心感を得て、サフィア様は第二王子に抱えられて会場に向かいます。
本当にこんな方法でいいのかと心の片隅にありましたが、それしかないと考えた私達は疲れていたのだと思います。
人が変わったように大人しくなった第二王子がサフィア様を気遣い、サフィア様は第二王子の胸に顔を埋めて泣いていました。
お姫様抱っこが嬉しいと仰っていたので、良かったです。
よろよろと抱えて歩く第二王子の後ろ姿を眺めて、あとはお二人で解決すればよろしいと思いました。
「リリィ、君はこっちへ。別館で治療を受けさせる。」
「はい。」
会場の建物内に控え室があるのですが、この姿のままでは近づけません。
私が歩くより早いと言うことで騎士の一人に抱えられて、中庭を抜けて会場ホールとは別の宮殿へ運ばれます。
ミノ虫みたいにぐるぐるにシーツを巻いて、騎士にワインがかからないように気を遣いました。
「あの、こちらは?」
訪れた先があまりに豪華な宮殿なので恐る恐る尋ねました。
「母の宮殿だよ。恐れ多いとかそういうやり取りやめてね?ここ以外なら俺の部屋しかないよ。」
「あ、はい。わかりました。」
畳み掛ける口調に苛立っていることを察して何も言いませんでした。
私も疲れたので何も言いたくありません。
ワインで濡れた服を脱ぎたいです。
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