伯爵令嬢、溺愛されるまで

うめまつ

文字の大きさ
81 / 98

81、香り

しおりを挟む
着替えの間も王妃のことばかり事ばかり考えていました。

「王妃みたいな御胸が欲しい。」

ぺったんこの自分の胸を撫でて、何の凹凸もないお腹や腰、棒みたいな手足をむにむにと引っ張ります。

王妃のお体は、どこも柔らかくて気持ちよかったです。

サラとディーナも、ふっくらした胸を持ってるので気になります。

「二人ともいいなぁ。」

服の上からも分かる女性らしい体が羨ましくて呟けば、

「ご飯を沢山食べれば体にお肉が付きますよ。体を治してご飯を沢山召し上がってください。」

「ええ。元気になれば、私共でマッサージ等を行います。女性らしいお体になるようにお手伝いいたしますから、安心されてください。」

「今はお肉が落ちて、頬が痩せてしまって。寂しいです。」

「ええ、本当に。ちゃんと、ふっくらさせましょうね。」

二人にほっぺをつつかれたので、空気を頬に含めて膨らませるとくすくすと笑われました。

その後、特別に二人が抱き締めてくれました。

柔らかい体が気持ちよくてうっとりします。

「もう少しこのままでいい?…女性の体ってこんなに柔らかくて気持ちいいのね。初めて知った…」

「リリィ様も柔らかくて気持ちいいですよ。」

どうして知らなかったのかしら、とぼんやり考え、そう言えばお母様やお姉様にこんな風に抱き締められた覚えがないと思い当たりました。

小さい頃はあったのでしょうが、もう覚えてません。

孤児院の皆と転がるように遊んでもこんな風に抱き締められたことはありませんし、屋敷の者やシスター達とも適度な距離がありました。

ヨルンガが部屋に食事を運んできて、ぺったり引っ付く私達を見てぎょっとしてます。

こんな光景、初めてですものね。

「3人で何事ですか?」

「…うん。二人が気持ちよくて、つい。」

「申し訳ありません。ですが、リリィ様のお望みでして。私どもに抱き締められたいと。」

「女性の柔らかさが恋しいそうです。」

「…そう、ですか。」

そう言えばヨルンガにいつも抱えられますが、こんなに気持ちよかったことはありません。

「ヨルンガは…固いのよねぇ。…だめ。違うわ。」

「ぐっ、そ、それは、申し訳ありません。」

小さく呟いたのに聞こえてしまって、ヨルンガに憮然と言われてしまいます。

サラ達にくすくす笑われました。

それから癖になってしまい、その日はディーナ達に引っ付いていました。

お仕事の邪魔をして申し訳ないと後で思い至り反省します。

私が二人に引っ付くとヨルンガが悔しそうにして、運ぶのは私の仕事ですよと何度も宣言してました。

二人に比べて力持ちなのだから、それは当然でしょう。

いくら私が小柄でも、ディーナ達では私を抱えられません。

ヨルンガも、私の馬と似ていじけやすいようです。

午後、王妃が部屋に訪れて、お相手してくださります。

「今夜も添い寝をしましょうか?」

と仰られ、恥ずかしながらお願いしてしまいました。

だって、王妃のお体は気持ちよくて良い香りがするんですもの。

隣に寄り添って座っていても、握られた柔らかい手が気持ちよくて、香りが胸に染みてうっとりとしました。

寝仕度を済ませ、ベッドで王妃を待っていると期待と恥ずかしさで胸がドキドキします。

昨夜より早い時間に来られて、隣に寄り添って下さいました。

柔らかい二の腕と胸に頭を抱かれ、香りを胸一杯に吸うと気持ちよくてうとうとします。

「…どうして王妃はこんなに良い香りで気持ちよいのでしょうか?」

不思議とサラ達に抱き締められた時よりなぜか心地よくて堪らないのです。

「そうね、母親だからかしら。」

「…そうなの、ですね。…王妃のようになりたいです。」

「うふふ、そうね。いずれ、ね。」

「はい。…私、あの、明日は一人で寝ます。こんなに甘やかしてくださって、ありがとうございます。」

「あら…、いい子ねぇ。」

顔を見上げ、王妃を見つめると優しく微笑んで髪にキスをして下さいます。

こんなに素敵な王妃を二晩も独り占めしてしまい、申し訳ないと思いました。

王妃がいないなんて、陛下はきっと寂しく思われてます。

「アダム達が小さい頃を思い出すわ。懐かしい。」

大きな姿しか知らないので想像つきませんが、きっと私と同じだったのでしょう。

髪や背中を撫でられ、ひんやりした手が心地よくて、すうっと眠りにつきました。

朝、目覚めると先にお目覚めの王妃がまだ私を抱き締めています。

「うふふ、おはよう。」

「むにゃ、…おはようございます。」

「私の添い寝はとてもよく眠れるでしょう?」

「…はい。…幸せでした。」

「まあ、そう?うふふ。顔色も良いわね。そうね、気分が良いなら、今日は陛下のペットを見に行く?」

「良いんですか?!」

「リリィの体調が良ければよ。ガレヌスに診てもらって、許可を取りなさい。良ければ午後に陛下のプライベートへ行くわよ。」

「はい!」

その後、ガレヌス医師にまだ早いと叱られましたが、足をいつもよりきつく固定して、絶対立つな暴れるな動くなと厳しく言い含められました。

もし破ったら泣くほど苦い薬に変えるそうです。

「効能は良いが味がなぁ。その薬は特に効くから本当は飲ませたいんですけど、大概の薬の味に慣れたワシでさえ身震いする程苦い。舐めただけで頭痛がします。飲んだことない小さいお嬢さんなら泣くかもしれませんね。」

「そ、そんなの口にしたら吐くかも。」

「改良の手伝いとして飲ませますよ。」

「約束守るからお薬を変えないで。お願いです。」

「言い付けを守ればいいんですよ。あぁでも、後学の為に味見しなさい。あー、君、水を持ってきてくれ。」

「ええ!しません!ヨルンガ!持ってきちゃダメ!」

「本当に効きますから。良くなる為と思って。さあさあ。」

「味見ですよね?!なぜ飲むことになってるんですかぁ!」

やだやだ言うのに、逃げられず飲まされました。

あまりの苦さにぼろぼろ泣いて苦しんでいると、ガレヌス医師は満足そうにしてます。

本当にこの医師は怖いです。

「炎症の鎮静作用がとてもありますからね。今日は動きやすくなりますよ。他に食欲不振と悪心の薬も混ぜていたので、後から食事もとれます。それで余計苦くなったのですが。飲めてよかった。はっはは!」

「えっぐっ、うぇえん!あ、ありがと、うございました。うえええん。もう、飲みたく、ないです!ひっく、ぐすん、苦いぃっ、ふぇえん。」

「次はこれを。口を大きくて開けて舌を上にあげて。舌に挟んで……はい、苦味が引くでしょう?」

乾燥した小さな実をパキパキ潰して、口に放り込まれました。

スーっとする味と香りに口の中がすーっとします。

「…ふぁい。おちつひ、まふ。ぐすん。」

「頑張りましたね。薬が効くまで横になるとよろしいです。午後から楽しまれてください。」

「ふぁい。ひっく。」

優しく涙を拭われてベッドに寝かされ、時間がたつと、本当にお腹の気持ち悪さがひいたので昨日よりしっかり食事を取れました。

とても良く効いたのですが、もう二度と飲みたくないです。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

王太子妃専属侍女の結婚事情

蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。 未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。 相手は王太子の側近セドリック。 ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。 そんな二人の行く末は......。 ☆恋愛色は薄めです。 ☆完結、予約投稿済み。 新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。 ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。 そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。 よろしくお願いいたします。

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

【完結】地味な私と公爵様

ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。 端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。 そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。 ...正直私も信じていません。 ラエル様が、私を溺愛しているなんて。 きっと、きっと、夢に違いありません。 お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)

婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』

鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間―― 目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。 そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。 一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。 選ばれる側から、選ぶ側へ。 これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。 --

ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。 「絶対駄目ーー」 と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。 何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。 募集 婿入り希望者 対象外は、嫡男、後継者、王族 目指せハッピーエンド(?)!! 全23話で完結です。 この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。

申し訳ありませんが、貴方様との子供は欲しくありません。

芹澤©️
恋愛
王太子の元へ側室として嫁いだ伯爵令嬢は、初夜の晩に宣言した。 「申し訳ありませんが、貴方様との子供は欲しくありません。」

逆行転生、断罪され婚約を破棄された落ちこぼれ令嬢は、神の子となり逆行転生したので今度は王太子殿下とは婚約解消して自由に生きたいと思います

みゅー
恋愛
アドリエンヌは魔法が使えず、それを知ったシャウラに魔法学園の卒業式の日に断罪されることになる。しかも、シャウラに嫌がらせをされたと濡れ衣を着せられてしまう。 当然王太子殿下との婚約は破棄となったが気づくと時間を遡り、絶大な力を手に入れていた。 今度こそ人生を楽しむため、自分にまるで興味を持っていない王太子殿下との婚約を穏便に解消し、自由に幸せに生きると決めたアドリエンヌ。 それなのに国の秘密に関わることになり、王太子殿下には監視という名目で付きまとわれるようになる。 だが、そんな日常の中でアドリエンヌは信頼できる仲間たちと国を救うことになる。 そして、その中で王太子殿下との信頼関係を気づいて行き……

処理中です...