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82、猫
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「リリィ、迎えに来たよ。」
「ロルフ様。わざわざ申し訳ありません。」
午後になると、部屋にロルフ様が迎えに来られて宮殿の奥へ案内されました。
王妃の宮殿と繋がっていて、細いと通路に近衛が立っています。
その入り口にはヘラクレス様が待っていました。
「すまないが、ここから従者の付き添いは出来ない。代わりに運ぶからおいで。」
ヘラクレス様がニコニコと手を広げてます。
「侍従はダメなのですか…?知りなかった…」
「決まりでね。安全の為に身分のある許された者しかダメなんだ。」
しょんぼりする私をヘラクレス様が受け取ってニコニコされてます。
恐れ多くも王子に抱えられ、手を離れるヨルンガを見つめました。
「ヨルンガ、い、行ってきます。」
「いってらっしゃいませ。」
「そう縮こまるな。」
「は、い。」
「晩餐もこちらで食べていけと母が言っていた。侍従はもう部屋に戻っておくといい。帰りはこちらから送り届けよう。」
「…承知いたしました。」
ヘラクレス様は広い歩幅でずんずん歩くので、指先から膝までがっちり固定された足がいつもより重くて、歩を進める度にぷらぷら揺れて少し体に響きました。
ヨルンガはいつも静かに歩くのでそんなことはなかったと思いました。
「兄上、リリィの足が揺れて痛そうですよ。もう少しゆっくり」
「そうなのか?すまん。大丈夫か?」
「あ、いいえ。あの、お気遣いありがとうございます。」
プライベートには、あまり人がいないそうで、メイドや執事を見掛けません。
調度品等も少なくあっさりとした内装です。
通路を抜けて中庭に辿り着くと、草花が繁り、蔦薔薇があちらこちらに絡んで大きなアーチを作っています。
豪華なアーチを抜けて噴水が見えました。
蔦薔薇の屋根の下に大きな敷物が敷かれ、陛下が王妃の膝を枕にゆったりと寝そべっていました。
近くではアダム様はネロと、ナヴィーン様は白い大きな猫と草むらに転がって戯れています。
「よく来た。こちらに座れ。」
陛下と王妃の隣に招かれヘラクレス様が私を降ろしてくださいました。
「陛下、お招き感謝いたします。」
ロルフ様がクッションを整えて下さって、陛下が起き上がって、これも使えと、側のクッションをロルフ様に投げ渡してました。
まわりに側仕えはいないようで、自分達でお茶を注いで、お皿のお菓子を摘まんで自由に過ごされています。
「ダーシャ、オリガ。おいで。リリィ嬢だ。仲良くしなさい。」
呼ばれて走ってきた大きな2匹に陛下が囲まれ、グリグリと頭を混ぜています。
二頭とも白黒の猫と思ったら、一頭は少し小さめの真っ黒い猫です。
小さめと言っても、それでも私くらいの大きさ。
日に当たるとうっすらと丸い模様が見えます。
「ぐるるる。」
「ぐう。」
「初めまして、よろしく。ダーシャ、オリガ。」
次に私が2匹に囲まれ、匂いを嗅がれます。
ただ鼻を寄せられるだけなのですが、力が強くて転がされてしまいます。
間にネロが入って庇われ、大きな黒と白の縞柄のダーシャと転がってじゃれ始めました。
少し小さめのオリガはまだ私の上でスンスンと鼻を押し付けて嗅いでいます。
お腹や首に顔を埋めて強く嗅がれるので、体を捩ると踏まれて押さえられてしまいます。
起き上がろうにも動けず、ネロとダーシャも一緒にのし掛かってきます。
見かねた陛下が3頭を制し、下敷きの私を引き上げて、王妃と陛下の間に座らせました。
「ほほ、ほほほ。リリィ。髪が、まあ。」
王妃が髪を整え直してくださって、抱き締められました。
また王妃のいい香りにうっとりとしてぴったり引っ付きました。
「むっ。こら、余の王妃に甘えるな。もう貸さんぞ。」
「あ、申し訳ありません。」
「まあ、陛下ったら。怒らないで。私が抱いて離したくないのよ。」
「アダム、あっちで構ってやれ。王妃が余を構わん。」
「もう、仕方ない人ね。アダム、リリィをお願いね。」
「良いですよ。父上、母上。」
「リリィ、あっちで遊ぶぞ。こうなると二人にしてあげなきゃいけない。」
アダム様に抱えられその場を離れると、蔦薔薇の隙間から陛下が王妃を膝にのせてぎゅうぎゅう抱き締めていらっしゃるのが見えて、頬が熱くなりました。
やっぱり王妃とお休みになれなくて寂しかったのだと思います。
皆様と一緒に隣のアーチに囲まれた広場に移動しました。
そちらにも大きな木陰があり、敷物が敷かれてました。
「びっくりしたろう、あの二人、本当に仲良くてね。特に父上がべったりなんだよ。くくっ、ふふ。」
アダム様が私を膝に抱えたまま敷物に座ります。
「小さい頃なんか、俺達が母上に甘えてもあんななってたんだぜ。すぐ交代とか言って除け者にする。」
「そうそう。いつも俺達をアダム兄さんに押し付けて。今思うと可哀想だった。」
「ふふ。二人の仲のおかげで、可愛い弟が三人もいるんだ。構わないよ。」
「そりゃぁ、弟は可愛いけど。末のロルフなんか俺達が育てたぞ。なあ?」
「ええ、父上といるより兄上達にお世話されてましたね。」
「くふふ。ナヴィーンもヘラクレスも、妹か弟がほしいとねだったんだ。願いが叶って良かったじゃないか。俺も欲しがったからな。ふふ。ロルフも欲しがってたな。」
「残念ながら俺で最後でしたね。以前、父上が謝ってくれました。頑張ったが、五人目は来ないと。」
「ぶふ。そうか、初耳だな。」
お喋りしながらも、ロルフ様とヘラクレス様、ナヴィーン様がそれぞれお茶とお菓子を運んで、手早く広げていきます。
絶対、私より手際がいいです。
「ぐるる。」
「お、オリガ、ダーシャ。お前らも追い出されたか。来い、遊んでやる。」
「俺も。」
「おう。」
ナヴィーン様とヘラクレス様が走って行かれました。
ネロが隣に寝転んだので、アダム様が私をネロを枕にするように乗せました。
「私は少し寝る。眠い。」
「適当に起こしますね。おやすみなさい。」
「ふぁぁ。ロルフ、頼む。」
クッションを枕にごろんと横たわりました。
本当に自由です。
「いつもこんなだから。アダム兄さんは昼寝して、ナヴィーン兄さんとヘラクレス兄さんはいつも走り回るんだ。」
「ロルフ様はいつも何を?」
「バラバラかな。昼寝に付き合ったり遊びに付き合ったり。」
「今日は遊ばなくてよろしいのですか?」
「うん。今日はリリィと付き合う。いいかな?」
「でも、私、横になるしか出来ませんよ。」
「いいね。一緒に横になろう。」
3人でごろ寝して、アダム様の寝息を横に私とロルフ様は起こさないように小声でお喋りを続けました。
時折、ナヴィーン様とヘラクレス様が汗だくで戻ってきて、果実水やお茶を飲み干してまた走っていきます。
「疲れた。寝る。」
ヘロヘロになったお二人が倒れるように寝転び、ごうごういびきをかいて眠ったので、ロルフ様と二人で笑ってしまいました。
ダーシャとオリガも疲れたようでネロの側で固まって丸まります。
「ロルフ様。わざわざ申し訳ありません。」
午後になると、部屋にロルフ様が迎えに来られて宮殿の奥へ案内されました。
王妃の宮殿と繋がっていて、細いと通路に近衛が立っています。
その入り口にはヘラクレス様が待っていました。
「すまないが、ここから従者の付き添いは出来ない。代わりに運ぶからおいで。」
ヘラクレス様がニコニコと手を広げてます。
「侍従はダメなのですか…?知りなかった…」
「決まりでね。安全の為に身分のある許された者しかダメなんだ。」
しょんぼりする私をヘラクレス様が受け取ってニコニコされてます。
恐れ多くも王子に抱えられ、手を離れるヨルンガを見つめました。
「ヨルンガ、い、行ってきます。」
「いってらっしゃいませ。」
「そう縮こまるな。」
「は、い。」
「晩餐もこちらで食べていけと母が言っていた。侍従はもう部屋に戻っておくといい。帰りはこちらから送り届けよう。」
「…承知いたしました。」
ヘラクレス様は広い歩幅でずんずん歩くので、指先から膝までがっちり固定された足がいつもより重くて、歩を進める度にぷらぷら揺れて少し体に響きました。
ヨルンガはいつも静かに歩くのでそんなことはなかったと思いました。
「兄上、リリィの足が揺れて痛そうですよ。もう少しゆっくり」
「そうなのか?すまん。大丈夫か?」
「あ、いいえ。あの、お気遣いありがとうございます。」
プライベートには、あまり人がいないそうで、メイドや執事を見掛けません。
調度品等も少なくあっさりとした内装です。
通路を抜けて中庭に辿り着くと、草花が繁り、蔦薔薇があちらこちらに絡んで大きなアーチを作っています。
豪華なアーチを抜けて噴水が見えました。
蔦薔薇の屋根の下に大きな敷物が敷かれ、陛下が王妃の膝を枕にゆったりと寝そべっていました。
近くではアダム様はネロと、ナヴィーン様は白い大きな猫と草むらに転がって戯れています。
「よく来た。こちらに座れ。」
陛下と王妃の隣に招かれヘラクレス様が私を降ろしてくださいました。
「陛下、お招き感謝いたします。」
ロルフ様がクッションを整えて下さって、陛下が起き上がって、これも使えと、側のクッションをロルフ様に投げ渡してました。
まわりに側仕えはいないようで、自分達でお茶を注いで、お皿のお菓子を摘まんで自由に過ごされています。
「ダーシャ、オリガ。おいで。リリィ嬢だ。仲良くしなさい。」
呼ばれて走ってきた大きな2匹に陛下が囲まれ、グリグリと頭を混ぜています。
二頭とも白黒の猫と思ったら、一頭は少し小さめの真っ黒い猫です。
小さめと言っても、それでも私くらいの大きさ。
日に当たるとうっすらと丸い模様が見えます。
「ぐるるる。」
「ぐう。」
「初めまして、よろしく。ダーシャ、オリガ。」
次に私が2匹に囲まれ、匂いを嗅がれます。
ただ鼻を寄せられるだけなのですが、力が強くて転がされてしまいます。
間にネロが入って庇われ、大きな黒と白の縞柄のダーシャと転がってじゃれ始めました。
少し小さめのオリガはまだ私の上でスンスンと鼻を押し付けて嗅いでいます。
お腹や首に顔を埋めて強く嗅がれるので、体を捩ると踏まれて押さえられてしまいます。
起き上がろうにも動けず、ネロとダーシャも一緒にのし掛かってきます。
見かねた陛下が3頭を制し、下敷きの私を引き上げて、王妃と陛下の間に座らせました。
「ほほ、ほほほ。リリィ。髪が、まあ。」
王妃が髪を整え直してくださって、抱き締められました。
また王妃のいい香りにうっとりとしてぴったり引っ付きました。
「むっ。こら、余の王妃に甘えるな。もう貸さんぞ。」
「あ、申し訳ありません。」
「まあ、陛下ったら。怒らないで。私が抱いて離したくないのよ。」
「アダム、あっちで構ってやれ。王妃が余を構わん。」
「もう、仕方ない人ね。アダム、リリィをお願いね。」
「良いですよ。父上、母上。」
「リリィ、あっちで遊ぶぞ。こうなると二人にしてあげなきゃいけない。」
アダム様に抱えられその場を離れると、蔦薔薇の隙間から陛下が王妃を膝にのせてぎゅうぎゅう抱き締めていらっしゃるのが見えて、頬が熱くなりました。
やっぱり王妃とお休みになれなくて寂しかったのだと思います。
皆様と一緒に隣のアーチに囲まれた広場に移動しました。
そちらにも大きな木陰があり、敷物が敷かれてました。
「びっくりしたろう、あの二人、本当に仲良くてね。特に父上がべったりなんだよ。くくっ、ふふ。」
アダム様が私を膝に抱えたまま敷物に座ります。
「小さい頃なんか、俺達が母上に甘えてもあんななってたんだぜ。すぐ交代とか言って除け者にする。」
「そうそう。いつも俺達をアダム兄さんに押し付けて。今思うと可哀想だった。」
「ふふ。二人の仲のおかげで、可愛い弟が三人もいるんだ。構わないよ。」
「そりゃぁ、弟は可愛いけど。末のロルフなんか俺達が育てたぞ。なあ?」
「ええ、父上といるより兄上達にお世話されてましたね。」
「くふふ。ナヴィーンもヘラクレスも、妹か弟がほしいとねだったんだ。願いが叶って良かったじゃないか。俺も欲しがったからな。ふふ。ロルフも欲しがってたな。」
「残念ながら俺で最後でしたね。以前、父上が謝ってくれました。頑張ったが、五人目は来ないと。」
「ぶふ。そうか、初耳だな。」
お喋りしながらも、ロルフ様とヘラクレス様、ナヴィーン様がそれぞれお茶とお菓子を運んで、手早く広げていきます。
絶対、私より手際がいいです。
「ぐるる。」
「お、オリガ、ダーシャ。お前らも追い出されたか。来い、遊んでやる。」
「俺も。」
「おう。」
ナヴィーン様とヘラクレス様が走って行かれました。
ネロが隣に寝転んだので、アダム様が私をネロを枕にするように乗せました。
「私は少し寝る。眠い。」
「適当に起こしますね。おやすみなさい。」
「ふぁぁ。ロルフ、頼む。」
クッションを枕にごろんと横たわりました。
本当に自由です。
「いつもこんなだから。アダム兄さんは昼寝して、ナヴィーン兄さんとヘラクレス兄さんはいつも走り回るんだ。」
「ロルフ様はいつも何を?」
「バラバラかな。昼寝に付き合ったり遊びに付き合ったり。」
「今日は遊ばなくてよろしいのですか?」
「うん。今日はリリィと付き合う。いいかな?」
「でも、私、横になるしか出来ませんよ。」
「いいね。一緒に横になろう。」
3人でごろ寝して、アダム様の寝息を横に私とロルフ様は起こさないように小声でお喋りを続けました。
時折、ナヴィーン様とヘラクレス様が汗だくで戻ってきて、果実水やお茶を飲み干してまた走っていきます。
「疲れた。寝る。」
ヘロヘロになったお二人が倒れるように寝転び、ごうごういびきをかいて眠ったので、ロルフ様と二人で笑ってしまいました。
ダーシャとオリガも疲れたようでネロの側で固まって丸まります。
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